E06
部屋の用途に合わせて
床の仕上げを選ぶのもアリ!
- 床仕上げの違いで脳活動が変化
様々な床材に触れてもらったところ、滑らかな床ほどリラックス感が増し、凹凸加工の粗い床ほど脳が活性化していた! - 用途に応じて仕上げを選択
家族がリラックスするリビングは肌触りの滑らかな無垢床、ご主人のテレワークスペースはなぐり調の床など、床材の仕上げを変化させるとより快適な空間にできそう。

1.背景・目的
木の快適性、健康性を科学的根拠に基づき訴求するため、内装木質床材の触覚的刺激が、心理反応および脳波等をはじめとした生理反応に及ぼす影響を明らかにし、より効果的で魅力ある木の使い方提案に繋げる。
2.実験概要
- 試験体:【図1】に示すオリ住友林業オリジナル木質フロア12種類(約300mm×300mm)。
- 評価指標:既往の研究より建材の触覚に影響すると考えられる4指標[温冷感][硬軟感][粗滑感][乾湿感]に[快不快感]を加えた5指標で主観評価を実施。
- 条件:室温が28℃と10℃の2条件にて、目隠しして視覚を遮断した状態で行った。なお、評価はすべてオーク突板貼フロアを触ったときとの比較による7段階相対評価とした。
- 被験者:20~40歳台の男女20名。
- 密度測定:X線を用いた密度測定器EWS DENSE-LAB Xにより、厚み方向の密度分布を計測。スキャン間隔は0.02mm。
- 脳波測定:日本光電マルチテレメータWEB5500および脳波電極NE512Gにより、触っている間の脳波測定を実施。室温は10℃では冷た過ぎて正確に測定できなかったため28℃の1条件にて、目隠しして視覚を遮断した状態で行った。なお、測定時間は10秒間、アクティブタッチし続けたときの平均値とし、直前に触っていたオーク突板貼フロアからどれほど変動したかの相対値を分析した。【写真1】に脳波測定風景を示す。


3.結果
- 主観評価の結果を【図2】に示す。28℃と10℃では概ね似たような傾向であったが、どちらの条件でも特に粗滑感で最も各床材による違いが現れた。
- 快不快感を目的変数に、その他の4指標を説明変数に重回帰分析を行った結果、快不快感に及ぼす影響の度合いは、温冷感:硬軟感:粗滑感:乾湿感=1:2:6:1 であった。
- 温冷感の主観評価の結果を【図3】に示す。温冷感では28℃と10℃の両条件に若干の違いが見られ、28℃のときは10℃のときよりも各床材による評価がより散らばる傾向が見られた。
- 厚み方向の密度分布を測定した結果を【図4】に示す。樹種の違いはもちろん、表面塗装の違い、接着層の違いなどが明確にプロファイルできた。
- 密度分布測定結果の表面からの厚みによる平均値の違いを【図5】に示す。表面に近いほど平均値はばらつき、深くなるほど木材本来の密度550~700kg/m3付近へ収束していく。
- 表面からの厚みごとの密度平均と主観評価の相関を調べたものを【表1】に示す。粗滑感は表面から0.1mmまでの密度平均と高い相関が見られた。温冷感は28℃のときは表面から0.3mm あるいは0.5mm までの密度平均とより高い相関が見られたことに対し、10℃のときは床材全体としての密度平均がより高い相関が見られた。
- 樹種が同じ(オーク)で、粗さが異なるオーク無垢フロア(ウレタン)、オーク巾広挽板フロア(オイル)、オーク挽板貼なぐり調フロア(ウレタン)、オーク挽板貼うづくりフロア(ウレタン)の4 種で脳波測定を行った結果を【図6】に示す。滑らかになるほどα波が、粗くなるほどβ波の比率が高くなる傾向となった。





図6 脳波測定結果4.考察
- 冬場でも裸足で木の温もりを楽しみたい場合は、表面仕上げよりも基材そのものの密度を重視する方がよい可能性が示された。
- 滑らかな床材ほどリラックス感が増し、粗い床材ほど脳を活性化させられる可能性が示された。
- 部屋の目的や用途、あるいはライフスタイルに応じて床材の特性を変化させることで、より効果的で魅力ある木の使い方を提案できそう。