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Project story #01

M&A

INTRODUCTION
かつては年間100万戸を超えていた国内の住宅着工戸数は、人口減少や少子高齢化など、社会環境の変化を受けて、減少傾向にあるのは否めない事実である。現在では、住宅メーカー成長の活路は、海外へ向けられている。そんな中で住友林業は海外での実績を着実に重ね、事業規模を拡大。現在では、米国、豪州併せて約10,000棟を供給しており、5年間で約10倍の規模に拡大している。ここでは住友林業が展開する海外住宅・不動産事業の中でも米国での取り組みについて紹介する。(※注)

(※注)住友林業の海外事業は「資源環境事業」、「木材建材事業」、「海外住宅・不動産事業」の3分野。「海外住宅・不動事業」では、米国以外に豪州で住宅メーカー3社を傘下に収め、インドネシア、ベトナム、タイなどでも住宅事業に参入している。

アメリカ住友林業株式会社
(Sumitomo Forestry America,Inc.)
代表取締役社長
岩崎 淳Atsushi Iwasaki
1997年入社 外国語学部卒

入社後、総務部文書グループへ配属。株式実務、業法対応、契約書、法務に従事。2002年、国際事業本部へ異動。米国住宅事業のスタートアップに関わる。同年、米国(シアトル)に赴任。米国住宅事業の管理業務を担当。2007年帰国。海外事業本部に異動。新規投資及び既存事業の管理に携わる。2010年、再度米国(シアトル)に赴任。その後、持株会社の責任者として、住宅、不動産、土地開発をはじめとした、米国事業全般を統括。

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日本の人口は1967年に1億人を突破、その後も増加を続け、2008年には1億2808万人とピークに達した。しかし、以後減少局面に入ってきており、今後は一転して人口減少社会に突入、国内人口は急勾配の下り坂を降りていくことが見込まれている。こうした社会環境の変化に伴い、国内の住宅市場が縮小傾向にあるのは否めない事実である。この人口減少社会の到来は早くから指摘されていたことだった。住友林業はその危機感から、2000年初頭、海外市場に活路を見出す戦略を打ち出した。ターゲットとする市場は米国及び豪州。2001年、米国市場を調査分析するクロスファンクションチームが結成された。そのメンバーの一人だったのが、現在、アメリカ住友林業(株)で代表を務める岩崎淳である。
「様々な角度から調査分析した結果、米国の住宅市場は極めて有望であることがわかりました。その背景には、持続的な経済成長、雇用の拡大、日本とは異なる人口の増加などがあります。しかも米国は世界最大の木造住宅市場。将来的にも、旺盛な住宅需要が見込まれると考えられました。そして2002年に、シアトルの地元企業Bennett Homesと合弁会社を設立、翌年から年間100棟ペースで分譲住宅の販売に乗り出したのです。」(岩崎)
岩崎が指摘するように米国は先進国の中でも人口が増え続けている数少ない国であり、それがアメリカ経済の力強さの一因ともなっている。1995年、2億5005万人であったアメリカの人口は、2018年には3億2716万人と増加の一途を辿っている。なぜ人口が増えているかといえば、他国からの移民を積極的に受け入れてきたからだ。人口が増えることは、消費が拡大し、また労働力の増加は生産力を高めることにもなる。それによる経済成長が、住宅需要拡大を牽引している。

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M&A」の成

シアトルでの住宅事業は、現在ほどの供給戸数とまではいかないが順調に推移していた。そこを襲った激震が2008年のリーマンショックである。当時日本に帰国していた岩崎は、リーマンショック後の市場低迷期、再び渡米し、事業の整理・再構築に奔走した。当時、住友林業は豪州にも進出しており、現地の住宅メーカー、Henley社と合弁事業を進めていた(後に子会社化)。Henley社が米国市場に興味を示し、同社がBennett Homesを再建したことで、住友林業の米国市場への「再参入、再チャレンジ」(岩崎)が開始された。経済環境も後押しした。米国経済や住宅産業が力強い回復の兆しを見せ始めていたのだ。そうした中、岩崎らは新たな市場開拓に乗り出す。シアトルは地理的制約から住宅供給が限られており、将来的な成長拡大には限界があった。住友林業が着目したのは、ハイテク産業で発展を遂げ、人口や雇用も拡大し堅調な住宅需要が見込まれるテキサス州だった。テキサス州に本社を置くBloomfield Homes Group、年間販売1000棟超の大手住宅メーカー、Gehan Homes Groupを買収、傘下に収めた。このM&A戦略こそが、米国住宅市場開拓の原動力といっても過言ではない。
「私たちは自分たちでコネクションを創り、住友林業のパートナーとして相応しいかどうかをしっかりと見極めて、これまで実行してきました。経営理念、経営方針に共感しあえるかどうか、リーマンショックをどう乗り越えてきたか、お客様に真摯に対応しているかどうかなど、評価する要素は多岐にわたりますが、文化や価値観が異なる中で、何かしらの問題が起きたときでも友好的な関係を築ける相手であるかを判断し、最終的に決定してきました。」(岩崎)
その買収手法は、多くの場合、買収先の経営者に継続して株の一部を保有してもらう形態を採用しており、いわば「緩やかな連携」ともいえるM&Aだ。
「米国の買収は一般的に、買収先を支配し、買収側の完全なコントロール下に置きます。私たちはそれとは真逆のスタンス。経営幹部や従業員はそのまま残っていただき、経営も従来のメンバーに任せてあります。ブランドも住宅建築の方法も従来通りのスタンスを尊重します。したがって、買収先がそれまで培ってきた企業カルチャーも残ります。その中で、現地駐在員が共同経営者として買収先の事業最適化を図り、持続的な成長に向けて経営をサポートするのが、私たちの役割といえます。」(岩崎)

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テキサス州進出後、M&Aは加速する。2016年、東海岸・メリーランド州の大手住宅メーカー、Dan Ryan Builders Groupを、翌2017年はユタ州、ソルトレークシティにあるEdge Homes Groupをそれぞれ子会社化した。この新規エリア進出は、地理的な戦略に則っとったものだ。進出するのに相応しいエリアは、テキサス州がそうであったように、雇用が拡大し人口も増大、旺盛な住宅需要があるエリアだ。住友林業がそのターゲットとしたのが「サンベルト」である。サンベルトとは、西海岸のカルフォルニア州南部から東海岸のノースカロライナ州に至る、北緯37度より南の、サウスカロライナ、ジョージア、フロリダ、テネシー、アリゾナ、コロラドなどの州が含まれる温暖なエリアを指す。先端技術産業の集積地が多いことでも知られる。2018年には、新たな事業への挑戦も開始した。米国市場進出以来、戸建分譲住宅を提供してきたが、集合住宅や商業複合施設の開発を手掛ける総合不動産会社、Crescent Communities Groupを子会社化した。米国では、戸建住宅は景気循環の影響を受けやすいとされている。その備えとして他の業態を事業ポートフォリオに組み入れ、安定化させるという戦略だ。また、同年、東海岸で分譲住宅向けの土地を開発するMarkⅢ Properties, LLCの株式も60%取得。現在、分譲住宅事業で5社、集合・商業複合開発事業で1社、宅地開発事業で1社、他にキャビネット製造販売会社1社を傘下に収めている。ちなみにキャビネット製造販売会社Canyon Creek Cabinet Companyの買収も米国での新たなチャレンジの一つである。では、こうした買収先にはどのようにアプローチしているのだろうか。
「私たちの調査からパートナーとして相応しいと思われる企業にアプローチする場合もあれば、先方からM&Aの話を持ち掛けられる場合もあります。ただそれ以上に、人脈で仕事をしてきたという実感があります。多くの人との出会い、そしてそこからの信頼関係づくりが、住友林業のM&Aのベースにあります。」(岩崎)
こうしたM&Aをテコに、住友林業は2019年、全米トップビルダー・ベスト10相当の住宅を供給するまでに成長を遂げた。

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米国の住宅市場はリーマンショック以降、右肩上がりに堅調に推移しており、住友林業が傘下に収めた住宅メーカーもすべて業績は上向き基調だ。そうした市場環境も住友林業の快進撃を支えている。
「すでに次の3年間を見据えた投資計画があり、常に複数の案件を検討しています。ただ、私たちの事業の中心である分譲住宅事業は、土地の仕入れが先行し、投資した資金は住宅を販売したときに回収するというビジネスモデルです。したがって、米国住宅市場の将来性が確かなものであって、常に慎重な姿勢を崩さずにM&Aを進めていきたいと考えています」(岩崎)
今後、米国で住友林業が目指すものを岩崎に聞いた。
「私たちは住宅事業を展開するために米国にやってきました。お客様にとって住宅は人生最大の買い物であることは日本も米国も同じです。したがって、高品質の住宅を提供していくことが私たちの最大の使命です。そのためには、地元の文化や風土に根付いた取り組みが必要不可欠であり、その手段がM&Aということになります。当面、年間販売戸数10,000棟超え、トップ10ビルダーの地位を確固たるものにすることを目標としていますが、規模拡大を追うのではなく、理念を大切に長期的かつ持続的な成長によって着実に利益を確保していきたいと考えています。」(岩崎)
今後も、買収先との長期的なパートナーシップを継続し、米国住宅市場でのプレゼンスを確実に高めていくことで、米国住宅市場開拓を、さらに加速させていくことが予想される。