Project|木構造推進室|新卒・中途採用情報|住友林業

Project story #03



INTRODUCTION
2018年4月、従来、構造材や外壁材等、木材建材の仕入販売を担っていた木材建材事業本部の配下に、木構造推進室が新設された。人口減少社会の到来により、住友林業は「非住宅」市場への取り組みを加速させているが、木構造推進室の発足もその流れの中にある。木構造推進室のクライアントは主にゼネコン(ゼネラル・コントラクター=総合建設業)であり、住友林業はサブコン(サブ・コントラクター=専門工事業者)という位置づけだ。中大規模建築の木質化・木造化を企画開発から建設まで元請として一括で担い「非住宅」分野の拡大を進める「建築市場開発部(木化事業)」との違いもそこにある。木造建築のノウハウがないお客様に向けて、資材を調達・販売するだけでなく工事も一体で受注することで、より高い付加価値を提供することが狙いだ。その実際の取り組みを、事例と共に紹介する。

木材建材事業本部
特販推進部 木構造推進室長
至田 康二 Koji Shida
1988年入社 商学部卒

入社後、大阪営業部へ配属、輸入製品販売に従事する。1993年、営業開発部へ異動。東京営業部、東海支店等に赴任。2000年、大阪営業部製品グループで集成材カット工場立ち上げに携わる。2008年、住友林業フォレストサービス(株)に出向。2016年、木材建材事業本部、木材建材部へ異動。2019年4月、新たに発足した木構造推進室に室長として着任。非住宅市場における木造建築推進の取り組みを進めている。

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国内の戸建住宅マーケットが人口減少の影響を受ける中で、住友林業は成長の活路を海外市場にも見出しているが、国内で注力している分野が「非住宅」市場である。「非住宅」とは、その名が示すように、庁舎などの公共建築物、店舗、オフィス、福祉施設、保育所等々、住宅以外の建築物であり、それらの木質化・木造化を推進する取り組みを加速させている。それを後押ししたのが、2010年に施行された「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」だった。日本では、戦後、造林された人工林が資源として利用可能な時期を迎える一方、木材価格の下落等の影響により、森林の手入れが十分に行われず、国土保全など森林の多面的機能の低下が懸念される事態になっている。この状況を克服するために、木を使うことにより、森を育て、林業の再生を図ることが国策と位置付けられたのだ。木構造推進室が進める「非住宅」市場への取り組みは、国策に合致した社会的貢献の意味合いも持つ。一方、それら外的要因のみならず、内的要因があることを木構造推進室長の至田康二は指摘する。
「私が入社した年の国内戸建住宅着工数は一定の規模があったものの、現在、マーケットは伸び悩みの傾向にあります。そうした環境の中で非住宅への取り組みは必然的なものといえますが、同時に内的な要因もあります。木材建材事業本部は、商社として国内外から資材を調達し販売してきました。しかし現在、商社を介在するビジネスモデルは変わりつつあります。サプライヤーが直接お客様に供給するような形態も生まれています。流通におけるコミッションだけでは、その存在価値が問われる状況になりつつある。厳しい競合、供給過多の中で生き残っていくためには、新たな付加価値を提供していく必要があります。そこで私たちは、元請けであるゼネコンに対してサブコンとして、工事を提案し請負う取り組みを開始しました。」(至田)
だが、流通の存在価値が問われているという問題意識は、競合する他商社も同様に抱いており、「プラス工事」の一体化サービスは、すでに競合他社が先行している。追う立場である住友林業は、どのような戦略で市場に臨んでいるのだろうか。

STORY -- 2




木構造推進室の活動は、二つのチームで展開されている。その一つが「ロードサイド建築チーム」だ。全国展開するコンビニエンスストアなどの大手チェーンや地域の中小ゼネコンを対象とした受注活動を進めている。特に発足以来、大手コンビニエンスストアへの木質化・木造化の提案を積極的に進めてきており、現在では、累計205棟を完工。ちなみに、木構造推進室が手掛ける工事は、木造が採用される屋根や外壁、骨組みなどの構造躯体工事となる。コンビニエンスストアの場合、基本的に定型パターンの店舗が多いが、木構造推進室が注力するのは、地方などで存続が危ぶまれる商店街に出店するコンビニエンスストアだ。商店街の活性化に一役買うとともに、狭小エリアの商店街では、木造ならではの自由設計が可能であり、イートインや2階建てといった要望にも応えることができるからである。コンビニエンスストアのみならず、薬局やコインランドリー、携帯電話ショップなども対象となる。もう一つのチームが「中大規模チーム」である。その名の通り、中大規模建築を、サブコンとして構造躯体工事を請負うことがミッションとなる。その工事受注に向けた取り組みは、木構造の建築物が新設される情報をキャッチすることから始まる。ポイントとなるのが、設計織り込み活動。設計を担当する設計事務所に、木構造推進室の提案を採用してもらうのが狙いだ。
「住友林業は、川上から川下まで木を軸に事業を進めてきた、競合他社にはない強みを有しています。商社として適材適所の木材、耐火部材、木材保護材料等の提案・調達ができるこ と、また施工会社として構造設計協力や構法選定、防耐火コンサルができることなど、木造に関する総合力を発揮することで、受注に結びつけています。またクライアントに喜ばれているのが、当社グループの全国流通ネットワークや施工ネットワークによる現場対応。全国どこでも同じ品質を約束できることが、受注に向けた営業に効果を発揮しています。」(至田)
木構造推進室の取り組みを加速させたのが、林野庁が新たに発信した「ウッド・チェンジ」だ。これは、木材利用を進めていくために、木材の需要者である建設会社や設計事務所、建築物の施主に、木造化への協力を要請するもの。木造のイメージをチェンジし、低層非住宅・中高層建築物を木造にチェンジし、持続可能な社会にチェンジすることを目指している。木造利用は着実に進んでおり、「ビジネスチャンスの到来」といえる状況だ。

STORY -- 3




木構造推進室が、中大規模兼建築で手掛けた施工事例を見てみると、東京では、「神田明神文化交流館」がある。創建1300年奉祝記念事業の一環として建設されたもので、サブコンとして構造躯体工事を担当した。神田明神は町中にあるために、重要視されたのが建物の耐火性能である。それを確保するため、住友林業が販売する純木質耐火集成材を適用した。耐火建築物では、不燃材等で木を覆うことで耐火性能を担保するのが一般的だが、この純木質耐火集成材は木をあらわした(露出した)耐火木造建築物を実現する構造材。この材料の適用によって、木材あらわしの空間を実現した。この部材は「長崎県庁」建設工事に伴う行政棟8階展望室の構造躯体工事でも採用され、木質感溢れる空間を創り出している。その他の建築物では、屋根トラス架設工事や、躯体工事で「木質ハイブリッド」を採用した。これは低層階を鉄骨造、中・高層階は木質ハイブリッド造としたもので、最大の特徴は、鉄骨を完全に木で覆う「木質ハイブリッド集成材」を使用している点だ。柔らかな木の質感と鉄の強さを併せ持ちながら、木が熱から鉄を守る耐火被覆材として機能するため、ビルの木質化普及に貢献するものだ。この耐火集成材等の採用に見られる、施工における商品や構法を支えているのは、世界有数の「木」の研究施設である筑波研究所だ。研究所から生み出された技術・商品が他社との差別化の要素にもなっている。木材保護塗料でも研究所の成果が施工に導入されている。高い耐候性を確保しつつ、強撥水性や表面潤滑性、速乾性、安全性などを兼ね備えており、多くの建築物に採用されている。

STORY -- 4


木構造推進室のこれまでの施工に対する周囲の評価は高く、それが信頼獲得の力にもなっている。流通機能に工事がプラスされたことで、何が変わるのか。
「今やサービスを付加しなければ、資材の販売は難しい環境になりつつあります。人口減少などにより、住宅需要の大幅な増加が見込みにくい状況の中で、『非住宅』という未知で新しい市場の創造が必要です。役割を見直すためには、流通機能にプラスして工事を付加することが大切であると考えます。新たな挑戦でありますが、当社として最も社会に貢献できることは何かを検討することが肝要であり、そこから商機やチャンスが見えてくる。それが新しいビジネスにつながる可能性もある。これからが挑戦の正念場と捉えています。」(至田)
現在、木構造推進室が課題としていることの一つは、建築現場に携わることからこそ発生した、現場のあり方である。徹底した安全・安心の確保だ。一方、ビジネス拡大のために、コンビニエンスストアなど大手チェーンストアにアプローチするだけでなく、物流施設など、新たな市場開拓を進めていく考えだ。その過程で、木構造推進室が目指すビジョンは何か。
「資材調達から製造・加工、営業、施工までをワンストップで提供できる組織になりたいと考えています。現在、提供できているのは、営業に加えてグループ会社が手掛ける施工のみ。資材調達、製造・加工を充実させていきたい。製造・加工に関しては、社内にある製造・加工のインフラを、戸建住宅から非住宅に向ける足掛かりになればいいと思っています。そうした取り組みを通じて、当社にサブコン事業を定着させていきたいと考えています。」(至田)