ニュースリリース(2013年)

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2013年2月14日

小田原市指定天然記念物“長興山の枝垂桜”
組織培養により増殖した苗木を小田原市で植樹

  住友林業株式会社(社長:市川晃 東京都千代田区大手町 )は、バイオテクノロジーの一手法である組織培養により、長興山紹太寺(住職:武内徳昭 神奈川県小田原市)のシダレザクラの苗木の増殖に2009年3月に成功しております。このたび、その苗木が植栽可能な大きさに成長したことから、親木のある長興山紹太寺の境内に里帰りさせるとともに、紹太寺より小田原市へ苗木が1本寄贈され、市内の「小田原こどもの森公園わんぱくらんど」へも植樹されることとなりましたのでお知らせします。

  長興山紹太寺のシダレザクラは、その優美な枝ぶりから江戸時代には「瓔珞桜(ようらくざくら)」とも呼ばれ、永く人々に親しまれており、現在は小田原市の天然記念物に指定されています。花は白色単弁で、樹高約13m、幹周り3.8m。枝張りは東西12m、南北13m。樹齢約340年を超えると言われ、神奈川県のみならず、関東では比類なき名木で、3月下旬から4月上旬の花の季節にはその堂々とした姿で人々を迎えてくれますが、近年樹勢の衰えが心配されていました。

【長興山紹太寺のシダレザクラ】

  シダレザクラの組織培養による苗木の大量増殖技術は、当社が1998年に開発に成功したフタバガキ科樹木(ラワン)の苗木の大量増殖法の技術を応用し、総本山醍醐寺(京都市伏見区)境内三宝院の玄関前のシダレザクラ(太閤しだれ桜)を研究対象にして、2000年4月に初めてサクラの組織培養による苗木の増殖に成功しました。紹太寺のシダレザクラについては、2003年2月より研究を進めてきました。培養の要件が醍醐寺の“太閤しだれ桜”とは異なること、樹齢が高く芽の成長に時間がかかることなど難しい側面もありましたが、今回植栽した苗木は、樹高約3.3m、幹周り約19cm(直径6cm)に成長し、最初の花をつける時期は、2015年の春頃と予想されます。

  当社グループでは各地の名木、希少木の樹勢回復および、組織増殖技術を用いた後継稚樹の保存・育成を通し、貴重な名木を枯死させることなく後代へ伝えていく取り組みを進めています。再生可能な自然素材である「木」にこだわり、森林育成から住宅事業まで手掛ける総合住生活関連企業として、サステナブルな循環型社会の構築に貢献するため、事業を通じて「木」の魅力、すばらしさをお伝えしてまいります。

■長興山紹太寺シダレザクラ 組織培養による苗木の開発経緯

2002年 住友林業筑波研究所より、紹太寺のシダレザクラの組織培養による増殖について相談させて頂き、紹太寺・小田原市より承諾を得る。
2003年2月 研究開始。紹太寺シダレザクラより材料採取。
2009年3月 紹太寺シダレザクラのクローン苗の増殖に成功。
2013年2月   紹太寺境内・小田原こどもの森公園わんぱくらんどに苗木を植栽。

<組織培養技術 概要>

当社では、1998年に「フタバガキ科樹木(東南アジアの熱帯雨林の主要在来種であり、日本では“ラワン”の名で合板材料として有名)を組織培養で大量増殖する方法」の開発に成功しており、その技術をシダレザクラの苗木の増殖に応用しています。フタバガキ科(ラワン)増殖技術の確立により、インドネシアでの「熱帯林再生プロジェクト」における植林、森林再生に寄与しました。

1)   シダレザクラから冬芽を採取し、その中から芽の先端組織(茎頂部)だけを摘出する。
2)   茎頂部をシダレザクラ用に開発した培養液の中で培養し、大量の芽(多芽体)を生産する(3ヶ月間)。
3)   多芽体を固体培地(培養液を固形剤で固めたもの)に移植し、芽(シュート)を伸長させる。
4)   伸長した大量の芽を1本ずつ切り分け、発根を促す培養液を添加した人工培養土に移植すると、2週間程度で発根が認められ、完全な植物体が再生される。
5)   低温処理を2週間程度施した後、外の条件に慣らすため温室内で育苗する(順化処理)。
6)   その後、苗畑に定植してさらに育成させる。

■長興山紹太寺 (神奈川県小田原市入生田303)

長興山紹太寺は臨済宗、曹洞宗と並ぶ日本禅宗三派のひとつ黄檗宗(おうばくしゅう)の寺院です。箱根駅伝の名物「山のぼり」の第5区小田原中継所から程近い入生田に位置する山寺で、小田原藩主稲葉氏一族の菩提寺です。初代城主の稲葉正勝の母親は徳川家光の乳母として有名な春日局で、2代目藩主稲葉美濃守正則が、寛文9(1669)年、父母と祖母春日局の霊を弔うために現在地へ移建し、シダレザクラを植栽したと言われています。

このシダレザクラは江戸時代から「瓔珞桜(ようらくざくら)」*1と呼ばれ親しまれており、その名を刻字した石標が稲葉氏一族の墓所の入口にあります。紹太寺が移建された寛文9(1669)年に植栽されたとすると、樹齢は約340年と推定されます。

*1 “瓔珞(ようらく)”とは古くはインドの貴族が身につけていた珠玉や首飾りなどの装身具、または仏堂で天井から吊り下げられる装飾のことを指し、垂れ下がる物に“瓔珞”という言葉が使われるようになりました。

<長興山 紹太寺 ホームページ  http://www.choukouzan.com/

■住友林業(株)筑波研究所 概要

木の総合的な活用を目指し、広く研究開発を進めていくことを目的に1991年に茨城県つくば市の「筑波研究学園都市」に設立。「木質資源分野」・「建築住まい分野」の観点より、素材としての木の可能性を探求し、魅力ある住宅用木質材料の研究、資源の有効活用、快適な住環境の研究開発など循環型社会に向けさまざまな研究テーマに取り組んでいます。また、各種部材や住宅部材の品質について検査・検証を行う「テクノセンター」、研究成果や技術情報の収集、タイムリーな情報提供を行う「木と住まい先端情報室」を併設し、先端技術の実用化に向けた取り組みを支えています。

住所  :  茨城県つくば市緑ヶ原3-2(テクノパーク豊里内)
敷地  :  約25,000平方メートル

以上

《本リリースに関するお問合せ》
住友林業株式会社
コーポレート・コミュニケーション室 佐藤・飯塚
TEL 03-3214-2270

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