ニュースリリース(2015年)

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2015年03月11日

~菅原道真公ゆかり 平成の飛梅(とびうめ)プロジェクト~
実用化技術としては世界初
北野天満宮本殿前“御神木の梅”の組織培養による苗木増殖に成功

  住友林業株式会社(社長:市川 晃 本社:東京都千代田区 以下、住友林業)は、京都・北野天満宮本殿前の御神木として祀られている梅の保護・保存を目的として後継稚樹の増殖に関する研究開発を進めておりましたが、このたび、バイオテクノロジーの一手法である組織培養法によって、この貴重な梅を後世に引き継ぐ苗木の増殖に成功しましたので、お知らせいたします。
  本殿前の“御神木の梅”は樹齢300年以上と推定されており、梅の古木からの増殖成功および苗生産などの実用化を想定した研究開発としては、世界初の例となります。

  天暦元年(947年)、菅原道真公をお祀りする全国およそ1万2千社の天満宮・天神社の宗祀(そうし)(総本社)として創建された北野天満宮には、梅をこよなく愛した菅原道真公ゆかりの地として約50品種・1500本の梅が植えられており、梅の名所として、また古くより学問の神として広く信仰を集めています。
  本殿前の“御神木”とされている梅は、菅原道真公が大宰府(現、大宰府天満宮)へ転勤した際、道真公を慕って一晩のうちに大宰府に飛来したという“飛梅伝説”伝承の木とされており、今回の増殖成功は北野天満宮および全国の天満宮・天神社の歴史文化の継承に加え、千有余年にわたる天神信仰の護持と更なる発揚に大きく寄与するものと考えております。
  北野天満宮では、組織増殖に成功した苗木を“「飛梅伝説」伝承の御神木 紅和魂梅(べにわこんばい)”と命名し、後世に残し伝えていく方針です。※ 学術資料検索サイト : Web of science/Google Scholar/J DreamⅢ 調べ

■組織培養による増殖を行なった背景とこれまでの経緯

  近年、ウメやモモなどのバラ科植物に広く感染する“ウメ輪紋ウイルス(plum pox virus(プラム ポックス ウィルス) 以下、PPV)が世界各地に広がっており、2009年には東京都青梅市の梅で国内初となるPPV感染が確認されました。PPVに感染した植物には、葉に退緑斑点や輪紋が生じるほか、果実の表面に斑紋が現れ商品価値が失われるなどの被害が発生しており、治療法や予防薬は現時点で見つかっていないことから、これまでに全国で40万本以上のウメがPPVにより伐採・焼却されています。
  農林水産省や各都道府県では、緊急防除策が講じられ、北野天満宮においても、これまで以上に予防策を強化しています。しかしながら不測の事態を想定し、歴史的に貴重な“御神木の梅”を後世に引き継ぐべく、北野天満宮より、様々な樹木の組織培養・苗生産技術の成功実績を持つ住友林業へ技術協力依頼があったものです。
  組織培養法において、“茎頂(けいちょう)”という芽の先端分裂組織を材料に用いた手法(茎頂培養法)で増殖した苗は、樹病などを継承しないウイルスフリーである可能性が高いと言われているほか、対象となる樹木の樹齢と比較して“幼若化(若返り現象)”することが期待されています。“御神木の梅”の保護・保存および後世への継承の観点より、本組織培養法が最適であることを双方で確認し、2009年に同研究プロジェクトをスタートさせました。
  研究開発に携わった住友林業筑波研究所では、当初これまでに成功したサクラなどの培養実績や文献を参考に“御神木の梅”の培養研究に取り組みましたが、ウメはスモモやアンズなど他の植物と交雑することが多く、品種ごとの培養条件が異なることを確認。幾度にも及ぶ実験を行い、5年の歳月を経てこのたびの成功に至りました。

■今後の取り組み

~組織培養からDNA品種鑑定、そして“北野の名所”を後世に~

  このたび組織培養で増殖した苗は、北野天満宮の“御神木の梅”の保護・保存に加え、京都の景観維持や文化の継承に大きく寄与するものであると考えております。本プロジェクトチームでは、DNA鑑定による品種調査を進めるとともに、本宮にある他の梅についても組織培養技術での保護・保存を進め、北野天満宮の景観を後世に渡って守り、皆さまに楽しんでいただけるよう、引き続き調査研究を進めてまいります。
  また住友林業では、今回開発した技術をもとに全国の梅の名木・古木の増殖に関するご相談をお受けしていく予定です。詳しくは、担当部署である「森林・緑化研究センター」(WEBサイト:http://sfc.jp/flrc/)までお問い合わせ下さい。

■「平成の飛梅プロジェクト」これまでの取り組み

2009年 4月 東京都青梅市の梅で国内初のPPV感染が確認される
2009年 12月 北野天満宮“御神木の梅”研究開発プロジェクトに着手
調査研究方針の決定、保護・保存対象木の選定
2010年~2011年 組織培養技術の予備研究・開発に着手
2011年
2012年 1月 北野天満宮“御神木の梅”からの材料採取を開始
2015年 2月 組織培養による御神木の梅の増殖に成功

■組織培養法による増殖技術概要

【組織培養の流れ】

冬芽を採取し、その中から芽の分裂組織(茎頂(けいちょう)部)だけを顕微鏡下で摘出する。
茎頂部を試験管に移し、御神木の梅用に開発した培養液を中に入れ培養することにより、大量の芽(多芽体(たがたい))を生産する。写真1
多芽体を固体培地で培養することにより、多芽体から芽を伸長させる。写真2
伸長した大量の芽(シュート)を1本ずつ切り分け、発根を促す培養液を添加した人工培養土に植えつけると、4週間程度で発根し、完全な植物体(幼苗)が再生される。ここまでは、無菌条件下で行なわれる。写真3
外の条件に慣らすため温室内で育苗する(順化処理)。写真4


写真1 多芽体(培養3ヶ月目)


写真2 多芽体(培養6ヶ月目)


写真3 人工土壌で発根した幼苗(培養8ヶ月目)


写真4 一般の土壌で育成中の苗木

以上

《リリースに関するお問い合わせ先》
住友林業株式会社
コーポレート・コミュニケーション室 大西・飯塚
TEL:03-3214-2270

北野天満宮社務所 神原・東川
TEL:075-461-0005

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