ニュースリリース
(2017年)

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2017年11月02日

~住友ゆかりの新居浜市市制施行80周年~
「口屋あかがねの松」のクローン松を新居浜に寄贈

 住友林業株式会社(社長:市川 晃 本社:東京都千代田区)は11月2日、「口屋あかがねの松」のクローン松を、新居浜市市制施行80周年記念として市に寄贈します。

 当社は植林苗や歴史的に貴重な名木を増殖する技術として、接ぎ木や組織培養などのクローン増殖技術を開発してきました。そのノウハウを応用し、新居浜と別子銅山の「生きた産業遺産」である「口屋あかがねの松」の苗木増殖に成功しました。


 2012年春より新居浜市の協力の下、「口屋あかがねの松」の調査を開始。東日本大震災の「奇跡の一本松」※1と同じ接ぎ木で増殖・育成を試みてきました。老木のため最適な材料が採取できず、増殖が困難と思われていましたが、2014年、苗木増殖に成功。寄贈したクローン松の苗木は新居浜市とともに「口屋あかがねの松」の横に植樹し、これからも住友ゆかりの地である新居浜の未来へ繋げることとなります。


 口屋あかがねの松

 樹種はクロマツで推定樹齢は250年以上。別子銅山の口屋(浜宿)開設と同時期に植えられたとされています。
1702年(元禄15年)、別子銅山から立川山村を経て新居浜浦へ至る輸送経路が開通したことで、口屋が開設されました。口屋には住友家の手代※2が常駐し、入港する船の積み荷や別子で生産された銅を大阪に船積みする管理を行っていました。貿易の要となった口屋は、新居浜の中心地でした。その頃から「口屋あかがねの松」は別子銅山で働く人々を見守り続けた、言わば生き証人といえます。


 調査開始時、幹や太い枝の多くが空洞化していました。通常、接ぎ木には1年間に20cmほど伸びた元気な枝が必要ですが、老木のため、枝は1~2cmしか伸長していない状況で、増殖できる可能性が30%以下と低い状況でした。
 住友林業の筑波研究所は、「奇跡の一本松」の増殖に成功したノウハウで、最適な時期に接ぎ木を行い、クローン松の増殖に成功することができました。


 今後も「奇跡の一本松」や「口屋あかがねの松」などの経験を活かし、各地で大切に受け継がれてきた松の名木を保護・増殖することで文化の継承に取り組んでいきます。

 住友林業では、全国の梅、松、桜などの名木や希少木の増殖に関するご相談をお受けしています。
詳しくは、「森林・緑化研究センター」(WEBサイトhttp://sfc.jp/flrc/)までお問い合わせ下さい。


※1東日本大震災の津波に耐えた岩手県陸前高田で一本だけ残った「奇跡の一本松」。当社が震災直後から組織培養に挑戦している。また苗木の育成も実施。

※2手代(てだい)とは、本来は江戸時代中期以降に、郡代・代官などの下役として農政を担当した下級役人であるが、転じて商家の従業者の地位をあらわす言葉ともなる。

以上

《リリースに関するお問い合わせ先》

住友林業株式会社

コーポレート・コミュニケーション部  真鍋・中嶋

TEL 03-3214-2270