【木の効果】
研究成果ライブラリー

住友林業
E10
  • 生産性効果

木の空間では
記憶を思い出しやすい!

ここがPoint!
  • 木の部屋は記憶を思い出しやすい
    記憶力、創造性、情動性、発想力、気分評価について木質/非木質空間を比較したところ、木質空間の方が過去の体験を思い出す時間が2~3割短かった!
  • 木の部屋は仕事が捗るはず!
    勉強部屋や仕事部屋の内装に木を使うと記憶を思い出しやすく勉強や仕事が捗るはず。
反応速度結果

1.背景・目的

木質空間では、記憶力が働きやすくなるだろうか?本実験では、この可能性を検討するため、被験者に過去に体験したことを思い出させる自伝的記憶課題を、木質および非木質空間で行う。記憶を思い出すまでの反応時間を計測し、木質条件と非木質条件における記憶の検索速度の違いについて検討する。

2.実験概要

被験者

大学生、大学院生32名。

実験環境

実験は木質空間および非木質空間で行われた。いずれも縦500cm×横258cm×高さ245cm の空間であり、木質空間には長手方向の壁4面に国産杉無垢材が床と水平方向に貼り付けられた。各実験空間には縦120cm×横75cm×高さ72cm の白い天板机と茶色のイスを二つずつ配置した。机の一方は被験者用、もう一方は実験者用であった。被験者用の机は窓側の壁から100cm 離れた右壁面に設置し、デスクトップパソコン(DELL)および液晶ディスプレイ(EIZO)を配置した。実験者用の机は入口側の壁面に設置し、質問紙および認知課題の回答用紙を配置した。高さ110cm×幅195cm の窓枠には茶色のブラインド、出入り口には外から見えないように高さ186cm×幅140cm のクリーム色のパーティションを設置した。

方法

木質空間、非木質空間それぞれで、「自伝的記憶課題(体験したことを思い出す課題)」を実施。与えたテーマについて、昔のことを思い出させ、その内容を思い出すまでの反応時間(思い出した段階でボタンを押してもらい、ボタンを押すまでの時間)と記憶の鮮明さを計測し、被験者に記述してもらい、傾向を分析する。
課題のテーマは、以下の3条件とした。

  1. fear条件:ゾッとしたこと、病にかかったこと、悲惨だったこと(怖い体験)
  2. neutral条件:礼儀正しかったこと、我慢したこと、熱心だったこと(中庸な体験)
  3. pleasant条件:ワクワクしたこと、愉快だったこと、幸せだったこと(楽しい体験)

木質空間、非木質空間それぞれで、POMS(30項目、6下位尺度)による気分評価を行った。

3.結果

  • 「自伝的記憶課題(体験したことを思い出す課題)」を実施した結果、fear条件、neutral条件、pleasant条件、いずれも木質空間の方が5秒程度有意に速く思い出せ、テーマによらず木質空間の方が非木質空間よりも記憶の検索速度が速くなる結果となった【図1】。
  • そのエピソードがどの鮮明かを、5段階評価で被験者に評価してもらった結果は、木質空間と非木質空間で有意な差はなかった。
  • 気分評価については、緊張、不安感に関して木質空間の方が有意に低い結果となった【図2】。
図1 反応速度結果
図1 反応速度結果
図2 気分評価の結果
図2 気分評価の結果

4.考察

今回の検証結果により、木質空間は非木質空間よりも記憶力が働きやすい環境である可能性が示唆された。知的生産性向上の効果が期待できる。