木の空間では
ストレスが溜まりにくい!
- 木の空間は平常心を保ちやすい
さまざまな刺激画像を見た際にいかに平常心を保てるかを検証したところ、木質空間では刺激画像を見た際の脳波の振幅が小さく、より平常心を保ちやすかった! - 木の空間はストレスが溜まりにくい
木質空間では感情のコントロールがしやすいことから、ストレスが溜まりにくいとも言える。 - ストレスフルな空間に木の内装を
コールセンター、保安検査場、満員電車などイライラしやすい場所に木を使うと平常心を保ててストレス軽減に!

1.背景・目的
社会適応のためには、人間は感情を適切に制御する必要がある。感情制御がうまくできない人は、過剰に感情的になり、感情が命じるままに行動してしまうため、社会環境に適応して生活することが難しいと考えられる。また、恐怖を感じるような事象(例えば地震)に対し、感情反応をうまく制御できない人は、より強いストレスを感じ、心身に大きな負担がかかると考えられる。例えば、感情制御が不得手な人は、心臓病、糖尿病、喘息といった疾患にかかるリスクが高いという指摘もある。
木質空間では、人は感情をよりうまく制御できるようになるだろうか?本実験では、この可能性を検討するため、被験者に恐怖や不快に関連した刺激を呈示し、刺激に対する感情反応を意図的に抑制する課題を、木質および非木質空間で行う。刺激に対して出現する脳波成分を計測し、木質条件と非木質条件における感情制御の違いについて検討する。
2.実験概要
- 2013年(平成25年)6月24日~12月20日
- 被験者:成人48名(女性10名、男性38名:平均年齢22.5歳:年齢範囲18~36歳)
- 刺激:IAPS(International Affective Picture System)
- 不快・快・中性画像をそれぞれ64枚選定 - 条件:部屋2水準(木質条件 vs. 非木質条件)

教示:
“画像が連続的に呈示されます(中性・不快・快)”
“各画像に対して生じる感情反応を抑制して下さい(快か不快かに関わらず)”
“心の平静・平穏を保ち、感情や気分を反映する内的反応を小さくして下さい”
“感情や気分を反映する外的反応(表情などの感情表出)も抑えて下さい”
生体信号計測:
- 脳波(頭皮上19部位)
- 眼電図(垂直・水平)

生体信号解析:
- サンプリング周波数:1000Hz
- バンドパスフィルタ:0.05~20Hz
- エポック区間:画像呈示前0.2s~後5s
- アーチファクト除去:独立成分分析(ICA)
- 加算平均:各被験者について、
画像3種 x 課題2種 x 部屋2種の組合せによる12条件のERP波形を算出
3.結果
画像に対する事象関連脳電位(ERPs)を測定した結果、中心-頭頂部を優位とする後期陽性電位(LPP)が、画像呈示後約600~1500ms にわたって観察された。部屋の種類が、IAPS画像に対する脳活動に及ぼす影響を比較した結果、非木質空間に比べ木質空間でのLPPは、画像の種類を問わず、1000~1500ms区間で減衰した。LPPは情動刺激に対する自動的・持続的な注意を反映していると考えられている。


4.考察
非木質空間に比べて木質空間では、情動価の高い事象に対しての反応が意図的に抑制される傾向が見られた。感情を上手くコントロールできないと過度にストレスが溜まりやすい事例もあるため、木質空間にはストレスが溜まりにくくなる効果がありそう。ただし、メカニズムの特定は現時点では困難である。
- 引用文献:
- 「実験環境が情動刺激処理に及ぼす影響:木質空間と非木質空間の比較」日本基礎心理学会第33回大会 (首都大学東京:南大沢キャンパス) 2014.12.