【木の効果】
研究成果ライブラリー

住友林業
E20
  • 快適性効果

木の空間では他人に優しくなれる!

ここがPoint!
  • 賞金山分けゲームで比較
    木質/非木質空間で賞金山分けゲームを行い他人への寛容度を比較してみた。
  • 木の空間で寛大に
    木質空間の方が、自分の分け前が4~4.5割とやや不公平でも許容できる人が多かった!
  • 木の空間で平穏に過ごせる
    木質空間は他人に優しく、喧嘩をせず、みんな楽しく平穏に暮らせそう。
拒否率の結果

1.背景・目的

ビジネスにおいては、他者や他会社と契約を結ぶか否か、といった様々な意思決定が求められる。このような意思決定場面では、感情や衝動に流されない冷静かつ合理的な判断が求められるだろう。しかし、心の平静さの喪失、うつ、キレやすさなどが問題となっている近年のストレス社会では、これは必ずしも容易なことではない。例えば、これらの問題の一要因と考えられるセロトニン(脳内神経伝達物質の一種)の不足が、衝動的行動を増加させ、合理的な判断を困難にすることが実験的に確認されている。
木質空間には、このような衝動的反応を抑制する効果があるのか?本研究ではこの可能性を検討するため、“最後通牒ゲーム”とよばれる課題を用いた実験を行う。

2.実験概要

被験者

大学生および大学院生50名。

実験環境

実験は図1に示す木質空間および非木質空間で行われた。いずれも縦500cm×横258cm×高さ245cmの空間であり、木質空間には長手方向の壁4面に国産杉無垢材が床と水平方向に貼り付けられた。各実験空間には縦120cm×横75cm×高さ72cmの白い天板机と茶色のイスを二つずつ配置した。机の一方は被験者用、もう一方は実験者用であった。被験者用の机は窓側の壁から100cm離れた右壁面に設置し、デスクトップパソコン(DELL)および液晶ディスプレイ(EIZO)を配置した。実験者用の机は入口側の壁面に設置し、質問紙および認知課題の回答用紙を配置した。高さ110cm×幅195cmの窓枠には茶色のブラインド、出入り口には外から見えないように高さ186cm×幅140cmのクリーム色のパーティションを設置した。

図1 木質空間と非木質空間
図1 木質空間と非木質空間

方法

被験者は、他のプレイヤーと実験に参加し、一定額の金銭(本実験では10,000円)を二人で分け合う。分け方についての提案が他のプレイヤー側から行われ、被験者はそれを受理するか拒否するかを決定できる。提案を受理すれば提案額を獲得できるが、拒否すると被験者・他のプレイヤーともに1円ももらえない。合理的に考えれば、拒否すると被験者は1円も得られないのだから、仮に他のプレイヤーが9,000円、被験者が1,000円という分け方であったとしても受理するのが得策である。しかし、こういった極端に不公平な分け方を提案されると、多くの場合被験者は提案を拒否する(衝動的判断をする)ことが実験的に証明されている。この課題を、木質および非木質空間で行い、行動指標(提案の拒否率)を計測し、木質空間が衝動的反応を抑制する効果があるかを検証する。

3.結果

結果、かなり不公平な条件(1万円のうち自分が2,000円~2,500円)、不公平な条件(1万円のうち自分が3,000円~3,500円)では木質空間と白色クロス空間とでは拒否率に有意差が見られなかった。しかし、やや不公平な条件(1万円のうち自分が4,000円~4,500円)では白色クロス空間の拒否率が20%を超えていたのに対し、木質空間では拒否率が10%強に留まり、有意差が見られた。【図2】

図2 拒否率の結果
図2 拒否率の結果

4.考察

木質空間での拒否率は白色クロス空間に比べて低くなり、衝動的反応を抑制できる効果がある可能性が示唆された、木質空間ではより寛大で優しい気持ちになる効果が期待できそう。