【木の効果】
研究成果ライブラリー

住友林業
E24
  • 疲労緩和効果

木の香りで疲労軽減!

ここがPoint!
  • オフィスの木の香りの有無で比較
    実際のオフィスに木の香りを取り入れたところ、怒り、混乱、疲労、緊張などを含む総合的な気分が改善された!
  • 木の香りで生産性アップ!
    職場環境に木の香りを導入すると、疲れにくく、緊張や混乱を抑えられるので、生産性の向上が期待できる。

1.背景・目的

執務者のストレス緩和は仕事効率や心身の健康状態等を保つために重要であり、特に日中の多くの時間を過ごす執務空間の環境改善は大きな課題となっている。一方近年木材がもたらす心地よさが居住空問の快適性に寄与できるとして注目されており、中でもにおいが与えるリラックス効果について多くの研究がなされ、執務空間においても木材のにおい導入が疲労感及び気分状態の改善に繋がると期待される。しかし執務空間において木材のにおい導入の影響を検討した研究はほとんどない。そこで本研究では、木材のにおいをオフィス環境に導入することが執務者の疲労感及び気分状態に与える影響について研究した。

2.実験概要

実験は都内にある二か所のオフィスで男女19名(平均年齢39.7土12.1歳)を対象に実施した。被験者が通常通り勤務する間、各自デスクの上ににおい発生器(本研究のために試作)を設置し、ヒノキチップまたは精油のにおいを発生させた。においによる気分ならびに疲労への影響を評価するため、自覚症しらべ、気分プロフィール検査(POMS2)を用いた。あわせて香りの印象評価と勤務時間等に関する日誌への記入を依頼した。自覚症しらべは疲労感テストであり「ねむけ感(1群)」「不安定感(Ⅱ群)」「不快感(Ⅲ群)」「だるさ感(1V群)」「ぽやけ感(V群)」を項目別に評価することができる。またPOMS2は「怒り、敵意」「混乱・当惑」「抑うつ・落込み」「疲労、無気力」「緊張、不安」「活気、活力」「友好」の7尺度について評価が可能であり、加えてこの7尺度から「TMD(TotalMood DisNrbance)得点」を算出し、総合的な気分状態を評価することができる。TMD得点は高いほどネガティブな気分状態が高いことを示す。被験者は毎日の終業時に日誌を記入し、週の最終日(金曜日)には自覚症しらべ、POMS2、香りの評価への記入も行った。実験は三週間にわたって行い、被験者は第1週目はにおいを発生させずに、第2週、第3週目はにおいを発生させて業務を行った。

3.結果

自覚症しらべの「ねむけ感(1群)」と、POMS2の「TMD得点」の推移を図1、2に示す。
自覚症しらべにおいて、ねむけ感の得点はにおいの導入により有意に低下した。またPOMS2においてもTMD得点が第1週と比べて第2週、第3週で有意に低下しており、においの導入により気分状態が改善していることが分かった。自覚症しらべ、POMS2のどちらも、他のいくつかの尺度において得点が有意に低下していた。加えてTMD得点の四分位範囲は第1週から第2週になると大幅に狭まり、第3週でさらに狭くなっていることから、多くの被験者のTMD得点がにおいの導入により下がり、0付近に集中する傾向が認められた。

ねむけ得点
TMD得点

4.考察

オフィスへの木のにおい導入により,執務者のデスクワーク中の気分を改善し,疲労感を低下させる効果があることが示唆された。

引用文献:
「オフィス環境へのヒノキのにおい導入が執務者の疲労感及び気分状態に与える影響」第69回 日本木材学会大会(2019年,函館)