木の学校で自己肯定感アップ!
- 実際の木造校舎で検証
木造校舎では児童の自己肯定感が高く、教職員の意欲・集中力・快適感・リラックスも向上した! - 日本の児童の自己肯定感は低い
日本の児童は海外と比べて自己肯定感が低いことが問題となっており、自己肯定感は近年教育現場で最も注目されている指標のひとつである。 - 木造校舎で自己肯定感向上
校舎を木造とすることで子ども達の自己肯定感が上がり、将来さまざまなことに挑戦し、失敗しても試行錯誤を繰り返し問題を乗り越える力を蓄えることに繋げられる。

1.背景・目的
木の持つ様々な効果から、木造校舎の良さが見直されてきている。東松島市立宮野森小学校は「森の学校」をコンセプトとし、2016年12月に竣工。校舎は木造平屋建(一部2階建)で、構造材だけでも約500m3の地域産スギ材やヒノキ材を用い、木の香りに包まれ木の美しさが際立つ学び舎である。宮野森小学校が竣工してから、学校関係者の方々からも「木の香りや温もりが感じられる」「身体も心も健康になれる」「宮野森小学校の児童は自己肯定感が高い」等の声が得られているため、これらの定量化を試みる。
2.実験概要
東松島市立宮野森小学校の小学4年から6年の児童66名対して、校舎・教室への印象および、自己認識に関するアンケート調査を実施、64名の児童から回答を得て(回収率97%)、全国の公立小学校への意識調査結果等との比較分析を行った。
3.結果
全国意識調査と比較した結果、宮野森小学校の小学5年生の「学校の友だちが多い」の項目、および小学6年生の「学校の友だちが多い」「自分らしさがある」「自分が好き」の項目について全国平均よりも統計的に有意に高くなった。(図1)
また、東松島市の結果と比較した結果、宮野森小学校の6年生は「先生が認めてくれている」が統計的に有意に高く、「自分に良いところがある」が高い傾向があった。以上の結果から、宮野森小学校の児童は他の学校と比べて「自己肯定感が高い」可能性が示唆された。
教室環境についての印象は全ての質問項目において全国平均よりも高い値となった。宮野森小の児童は他の学校と比べて校舎に「開放感・広さ」や「活気」を感じている。また、「あたたかみ」や「快適性」を感じていることが確認された。(図2)
宮野森小の児童は校舎について「木の香り」や「木の多さ」を感じており、校舎への「満足度」が高く「好き」と感じていることが確認された。(図3)
また、アンケート項目のうち、「校舎に満足している」「校舎が好き」と自己肯定感に関連する項目として「自分には良いところがある」「自分らしさがある」「自分が好き」の項目ついてクロス集計を行った結果、「校舎が好き」と回答した児童ほど、「自分が好き」「自分らしさがある」「自分には良いところがある」などの自己肯定感に関する項目にあてはまると回答する傾向がみられた。
以上から、「校舎が好き」である人ほど「自己肯定感が高い」傾向が確認された。(図4)




4.考察
近年では我が国の子供たちの自己肯定感が、他国の子供たちに比べて低いという調査結果が示されており、教育再生実行会議が、子供たちの自己肯定感を育む取組を進めていく必要性を打ち出している。
宮野森小学校でも、自己肯定感は重要な取組み項目として認識され、「全校生徒一人ひとりに出番と役割を与えきちんと認める」等の取組みがなされている。宮野森小学校児童の自己肯定感の高さは、校舎環境だけでなく、児童・教師・地域の皆様等との総合的な関わり合いも含めて醸成されたものであると思われるが、宮野森小の児童は校舎について「木の香り」や「木の多さ」を感じており、校舎への「満足度」が高く「好き」と感じており、校舎が好きと回答した児童ほど自己肯定感が高い傾向も確認されていることからも、教室や校舎などの環境が児童に与える影響も重要な要素であること考えられる。

- 引用文献:
- 「木造校舎を対象とした児童の自己肯定感に関する調査」第26回日本感性工学会2024