木の空間で
コミュニケーションが活発化!
- 来場者の自然な行動を観察
図書館の休憩コーナーに木質ブースと非木質ブースを作り、何も知らされていない来館者の無意識な行動を比較した。 - 木の空間では会話量が増加
木質ブースでは発話時間が長くなったり会話のテンションが高くなったりした!発話時間は木質ブースの方が1.4~1.7倍多かった。 - 木の空間でコミュニケーション向上へ
木の空間はコミュニケーションが活発になり、アイデア出しやディスカッションの場を盛り上げる効果が期待できる。

1.背景・目的
企業や学校では、コミュニケーションが課題となっている。例えば、一般社団法人ニューオフィス推進協会の発表によると、企業が新しいオフィスを作る際に立てるコンセプトには、コミュニケーションがキーワードとして最も頻出していると報告されている。 そこで、企業や学校におけるより活発なコミュニケーションを誘発できる空間づくりに役立てるため、木質化空間と非木質化空間を比較して、コミュニケーションの活発さを比較する実証実験を行うこととした。
2.実験概要
1)実験フィールドの設置
県立の図書館において休憩コーナーに無垢の杉材によるウッドフレームを設置した空間とメタルフレームを設置した空間を作り、来館者がそこを利用する際の無意識の行動評価をすることにした。測定していることを意識させない状態での自然観察によって、滞在時間や発話回数や行動評価をすることにより、材料の違いがコミュニケーションへ与える影響を確認する。

2)データ収集の仕組み
木質化空間と非木質化空間に、それぞれIPカメラ、集音マイクを設置してデータを収集し比較した。IPカメラでは、人の入退室が検出することで、それぞれの空間の利用人数や、滞在時間を測定し、集音マイクでは、人の発話を検出し、発話の回数や時間から、コミュニケーションの活発さを測定した。これらのデータを元に、木質化空間と非木質化空間の違いを分析する。

3)実験の期間
休憩コーナーに両フレームを設置した後の2017年12月5日~17日に1回目の測定を行った。その後、12月18日にウッドフレーム空間にのみ追加で床に無垢材のヒノキフローリング施工を行い、2018年1月16日~28日で2回目の測定を行った。
3.結果
ウッドフレーム空間ではメタルフレーム空間よりも、入室者数、1人あたりの発話時間、1人あたりのテンション値、いずれも1回目、2回目ともに多くなる結果となった。ただし、ウッドフレーム空間において、床材にヒノキフローリングを追加して木材率を増加させた効果については、入室者数の増加にはつながったものの、1人あたりの発話時間、1人あたりのテンション値に与えた影響は見られなかった。なお、2回目では、ウッドフレーム空間が満室であったためにメタルフレーム空間へ移動した利用者が発生したため、メタルフレーム空間の入室者数の増加につながったことも付記しておく。
※テンション値:テンションは声の「張り」を表す指標で、音声の物理的特徴量(音圧、基本周波数、周波数成分等)から求まり、瞬間値は[0~100]の範囲で推移し、発声区間で積算した値(面積)を合計テンションとする。
4.考察
図書館の休憩コーナーに設置したウッドフレーム空間とメタルフレーム空間を比較した結果、声のテンションの観点ではウッドフレーム空間の方がにぎわっていることがわかった。テンションの大小にかかわらず、会話時間だけに着目した場合でも、ウッドフレーム空間の方が会話が多くなっており、コミュニケーションが活発となる様子が伺えた。上記はあくまでも「コミュニケーション」という観点のみの考察あり、一人で利用した状況は本結果には含まれていない(会話が生じないため)。