人が出入りできるスペースのあるウォークインクローゼットは収納力が高く、衣類や小物などのアイテムから大型の荷物まで出し入れしやすいのが魅力です。また、着替えや片付けの動線を考慮して設置場所を決めることで、家事が快適になり暮らしにゆとりが生まれます。ここではそのメリットを活かした人気の間取り、設置面積の目安、便利なアイデア、使い方のコツなどを解説します。
平沼橋第二展示場(神奈川県横浜市西区西平沼町6-1TVKハウジングプラザ横浜)
まずはウォークインクローゼットの基本的な構造や、注意したいメリットとデメリットについて確認しましょう。
内部に人が入って歩き回れる広さが確保された大型収納をウォークインクローゼットといいます。しまってあるモノ全体を見渡すことができ、洋服はもちろん、大きなキャリーケースや季節家電なども出し入れしやすいのが特徴です。それに対し、一般的な壁面のクローゼットの場合は、奥行きが45~60cm程度とコンパクトで、出し入れは部屋側から扉を開け閉めして行います。ウォークインクローゼットが人気を集める理由は、クローゼットと比べて出し入れの手間が少なく、整理や管理がしやすい点にあるといえそうです。
なお、寝室や子ども部屋などの各居室に設けるウォークインクローゼットに対し、廊下やリビングなどの共用スペースに隣接して家族全員の荷物をまとめて収納するものは「ファミリークローゼット」と呼ばれます。
ファミリークローゼットとは? メリット・デメリットや設置のポイント、間取りの魅力を解説
出入り口が1カ所のウォークインクローゼット(WIC)に対し、出入り口が2カ所あるタイプをウォークスルークローゼット(WTC)と呼んで区別することがあります。出入り口が2カ所あると両側からアクセスが可能になり、通り抜けながら出し入れができるので、住まいの動線効率がアップします。また、空気がこもらず、換気がされやすいといった利点もあります。
こうした通り抜けやすさを活かし、最近は寝室とランドリールームや洗面コーナーといった水まわりの間にウォークスルークローゼットを配置し、通り抜けの動線を兼ねる計画も増えています。洗濯物を畳んでそのまましまう、朝の身支度をひと続きで済ませるなど、家事や毎日の支度がスムーズになるのが魅力です。
ただし、通路を兼ねる分、廊下とは別に通路スペースを確保することになるため収納スペースが削られる可能性もあり、家づくりの際は間取りと動線をきちんと検討する必要があります。
・メリット
十分な奥行きとスペースがあるため、衣類や小物だけでなく、前述したキャリーケースや扇風機などの季節家電といった大型の荷物も1カ所にまとめて収納できます。ウォークインクローゼット内に鏡を設置し、その場で着替えてコーディネートを完成させれば、日々の身支度の時短にもつながります。衣替えで衣類を入れ替える手間を減らせる点もうれしい特徴でしょう。
また、あらかじめ少し広めのスペースを確保しておけば、かさばる布団などの寝具や、生活感の出やすい日用品などもすっきりと片付けることが可能です。
・デメリット
収納スペースに加えて、人が歩けるスペースを確保しなければならず、一般的な壁面のクローゼットより広い床面積が必要になります。通路スペースにはモノを置けないので、それらを考えて収納スペースの広さを検討する必要があります。また、コーナー部分の奥などにモノが押し込まれて取り出しにくいこともあるため、キャスター付きの収納などで工夫すると良いでしょう。
前橋みなみ展示場(群馬県前橋市鶴光路町765上毛新聞e住まいるプラザ前橋南)
スペースに余裕があるからと無計画にモノを置くと、取り出しにくいだけでなく、収納力も低下してしまいます。ストレスを感じず効率的にしまえて、おしゃれな雰囲気も演出する、そんな使い方のコツを紹介します。
収納するアイテムの量や種類に合わせて、内部に棚板やハンガーパイプを配置するようにしましょう。その際に「上段」「中段」「下段」と高さによってエリアを分け、しまうモノの種類によって定位置を決めておくと使い勝手が良くなります。ただし、最初から細かく分けすぎると将来的に使いにくくなる可能性もあるため、ライフスタイルの変化に対応できるようフレキシブルな構成にしておくと良いでしょう。
目線より高い「上段」の棚板(枕棚)には、重いモノやかさばるモノは避け、利用頻度が低い帽子やバッグ、季節用品などをしまいましょう。見やすく出し入れしやすい「中段」のハンガーパイプには、着用の機会が多い洋服などを掛けるようにすることで、シワになりやすいアウターやシャツ類もきれいに保管でき、楽な姿勢で扱えます。重量物を安定して置ける「下段」の足元には、キャスター付きの衣装ケース、季節家電やスーツケースをしまうようにします。頻繁に利用するアイテムは、目線の高さ=「中段」にまとめるのがポイントです。
衣類の種類に応じて「吊るす」と「畳む」を使い分けるのも重要なポイントです。前述の通り、折り目やシワが付くのを避けたいスーツやシャツ、着丈の長いロングコートやワンピースなどを、吊るした状態で収納しやすいのがウォークインクローゼットの利点です。
吊るす衣類は、着丈(長さ)のサイズに合わせて並べ、下の空いたスペースを有効活用するのがおすすめです。伸びて型崩れしやすいニットやセーター類、かさばりやすいTシャツ・ズボンなどは、畳んで衣装ケースやチェストに入れてコンパクトにしまいましょう。
ハンガーパイプに衣類を掛けすぎると出し入れしにくくなるだけでなく、服同士が擦れて生地が傷んだり、シワが付く原因になったりします。
また、通気性が悪くなり湿気がたまってカビが発生することもあるため、収納量はスペース全体の8割程度として余裕を持たせて使うことが大切です。衣装ケースやチェストにしまう場合も同様で、あえて2割程度のゆとりを残すことで衣類を良好な状態で保管でき、日々の片付けもスムーズに行えるでしょう。
厚みや形状、寸法が異なるハンガーを混在させて使うと、洋服の位置がバラバラになりデッドスペースが生じがちです。効率的にしまうには、なるべく厚みのないハンガーで統一すると良いでしょう。また、使用するハンガーの本数が多くなると、1本あたりの厚みの違いが収納量に大きく影響します。
引き出し式の収納ボックスや衣装ケースも、奥行きや高さのサイズを揃えることで効率的にスペースを利用でき、見た目の印象もおしゃれになります。できるだけカラーや素材など、デザインの統一感を持たせられると良いでしょう。
また、市販の収納ケースを活用する際、ふたを開けて上から出し入れする積み重ね式だと、下に置いたケースの中身が取り出しにくくなるため、ケースを重ねて使うなら引き出し式を選ぶのがおすすめです。さらに、中身が見える半透明タイプにする、外側にラベルを貼るなどして、開けなくても何が入っているか分かるようにしておくと、探す手間や戻す場所の迷いがなくなります。買い足す可能性を考えて、長く販売されている定番シリーズから選んでおくと、あとから同じ規格で買い足したり並べ替えたりしやすくなります。
二俣川展示場(神奈川県横浜市旭区さちが丘47番1tvkハウジングプラザ二俣川会場内)
ウォークインクローゼット内部は、場所によって出し入れのしやすさが異なるため、「手前側」と「奥側」をうまく使い分けるようにしましょう。日常的によく着る通勤服やお気に入りのアイテムは、ドア近くの出し入れしやすい「手前側」に置くことをおすすめします。
冠婚葬祭用のスーツや防寒着など出番が少ない衣類は、収納の「奥側」付近に寄せておきます。このように「手前側」と「奥側」の使い方のルールを決めておくことで、日々の身支度がスムーズになり、衣替えの手間も大幅に減らすことが可能になります。

ウォークインクローゼットは内部のレイアウトの違いで4タイプに分けられます。注文住宅での家づくりやリフォームを予定している場合は、居室と収納スペースのバランスを考慮して暮らしに合ったタイプを選びましょう。
相模原・古淵展示場(神奈川県相模原市南区古淵6-3-9相模原・古淵ハウジングステージ)
壁側の1辺にだけ収納スペースを設けたのが「Ⅰ型」のウォークインクローゼットです。収納と通路のスペースが平行になるので内部で移動しやすく、出し入れもしやすいのが特徴です。ただし、上部の棚板やハンガーパイプが1列分しかないため、収納量はそれほど多く確保できないかもしれません。衣装ケースや収納ボックスなどを用いて工夫しながら使うと良いでしょう。Ⅰ型のタイプは1.5畳程度から計画することができ、比較的コンパクトなスペースでも設置できるので、さまざまな場所に作りやすいのも特徴といえます。
真ん中に通路スペースを設け、その両側を収納スペースとするのが「Ⅱ型」のウォークインクローゼットです。通路を挟んで両面に収納を設けるため、広さは2〜3畳程度が目安となります。棚板やハンガーパイプが左右に2列分あることで、収納量を増やせるため、家族で使う場合はⅠ型より大きいⅡ型がおすすめです。
エリアを分けて、「夫用/妻用」「オンシーズン/オフシーズン」といったように整理してスペースを活用する方法もあります。夫婦で共有しながら、出し入れがしやすく身支度が快適なウォークインクローゼットを実現できます。
豊田第一展示場(愛知県豊田市秋葉町4丁目75とよたハウジングガーデン)
左右どちらか片側と奥側、2辺の壁とコーナー部分を連続させて収納スペースを設けるのが「L型」のウォークインクローゼットです。広さの目安は1.5〜2畳程度で、Ⅰ型と同様に比較的コンパクトなスペースにも設置できて、より収納量を確保しやすいのが特徴といえます。
使い方によってはL型のコーナー部分で、ハンガー同士が重なったりして不便を感じることもあるかもしれません。その場合は、コーナー部分は可動棚にバッグや小物類をしまうなどして、デッドスペースが生じないよう工夫すると良いでしょう。
日立展示場(茨城県日立市大沼町1-6-3日立ハウジングステーション内)
左右両側と奥側、3辺の壁とコーナー部分を連続させて収納スペースを設けるのが「U型」のウォークインクローゼットです。広さの目安は3畳以上とある程度の床面積が必要ですが、収納量をしっかり確保できるので大人数の家族にぴったりです。
入り口以外の壁面を有効活用するのが特徴ですが、L字型の場合と同様にコーナー部分の使い方がポイントになるため、キャスター付きラックなどを置いて工夫しましょう。また、中央の通路幅が狭いと、出し入れがしにくく圧迫感もあるため、80~90cmを目安に確保してください。仮に中央で着替えるなら100cmあると快適でしょう。
ウォークインクローゼットといえば一般的に寝室に隣接しているイメージがありますが、そのほかにもさまざまな場所に設置が可能です。

朝起きて部屋着から通勤服へと身支度を整える、夜帰宅後に部屋着へと着替える、こういった毎日のルーティンを寝室で完結させることができます。就寝前にウォークインクローゼットへ入り、翌日のコーディネートを準備しておけるのも便利です。また、プライベート空間のさらに奥にあるため生活感が表に出にくく、来客時に見られる心配もないので寝具なども一緒にしまっておけます。
さらに、図面のように寝室と隣の部屋の間にウォークインクローゼットを配置する間取りもおすすめです。部屋と部屋の間に収納空間を挟むことで、ウォークインクローゼットがそのまま防音壁のような役割を果たし、隣の部屋の生活音や話し声が寝室に響きにくくなるというメリットもあります。

収納空間の中に仕事や趣味のスペースを組み込むことで、まるで秘密基地のような適度なおこもり感が生まれ、作業にグッと集中しやすくなります。周囲が衣類に囲まれているため吸音効果も期待でき、タイピング音やWeb会議の声が寝室など他の部屋に響きにくいという隠れたメリットもあります。
朝起きて着替えを済ませ、そのままゼロ距離でテレワークに移行できる、無駄のないスムーズな動線も魅力です。

子ども部屋の床面積はコンパクトになりがちですが、だからこそ機能的なウォークインクローゼットを設けるという考え方もあります。可動棚や可動式のハンガーパイプなどを採用し、背が低い幼少期から、中高生くらいまで成長に合わせて使えるようにするのがポイントです。おもちゃやゲーム類、通学服や部活道具、衣替えの衣類まで片付けられるようにすることで、整理整頓の習慣や自立心も育むことができそうです。ユニット式の収納なども取り入れて、スペースを効率的に活用すると良いでしょう。
子供が2人いる場合に、すべての子ども部屋にウォークインクローゼットを設けるのが難しい場合は、2部屋の間に2人分のものをまとめて収納するウォークインクローゼットを配置するのもおすすめです。Ⅱ型のクローゼットにしておけば、通路を挟んで左右でそれぞれの専用スペースに分けることができるため、空間を効率よくシェアできます。
せっかくウォークインクローゼットを設けたのに、失敗して後悔することのないよう導入時に準備したい設備や環境について解説します。快適に使うために、換気、照明、防音などの対策をしておくのがおすすめです。
ウォークインクローゼットは汗などが原因で衣類に付いた湿気がこもりがちです。カビや害虫の被害、衣服の劣化を防ぐため、除湿機やサーキュレーターを使えるよう内部にコンセントを用意しておきましょう。コンセントがあると、ハンディスチーマーやアイロン掛け、コードレス掃除機などの充電にも使えるので何かと便利です。コンセントは異なる高さに複数設置しておくと良いでしょう。
ウォークインクローゼットを快適に使うために、十分な明るさの照明を設置することが大切です。天井中央のシーリングライトだけで不足しそうなときは、棚板の裏側などにも設置しましょう。人感センサー付きなら点灯の手間がなく、消し忘れも防げるので便利です。注意したいのが照明ランプの色温度(光が持つさまざまな色)です。電球色のランプだと、すべてがオレンジ色っぽく見えてしまい、コーディネートがやりづらくなってしまう場合もあります。太陽光に近い昼白色や昼光色のランプを取り付けるようにしましょう。
ウォークインクローゼットはさまざまな場所に設置できます。ただし、しまっているモノと使う場所が離れていると、取り出したり片付けたりするのに手間がかかり、使いにくくなってしまいます。収納量だけでなく家事動線について検討しておくことが大切です。
浜田山第二展示場(東京都杉並区高井戸東3-36-35浜田山住宅公園内北側会場)
広さや内部の仕様などを細かくカスタマイズできるのがウォークインクローゼットの魅力です。その分、どうしたら良いか迷うことも多いかもしれません。ここではよくある質問についてお答えします。
通路が確保されていることが使いやすさの前提になるため、まずは通路と収納のスペース配分を決めるのがおすすめです。通路幅は<人が通れる幅=60cm以上><着替えや動作がしやすい幅=80cm以上>を基準とすると良いでしょう。 また、もし4人家族で全員の衣類やスーツケース等をしまうファミリークローゼット にするなら「3~4畳程度」が一般的な目安といわれます。
内部をしっかり隠したい場合は「開き戸・引き戸」、コストを抑えつつ視線を遮りたい場合は「ロールスクリーン・カーテン」、出入りのしやすさや通気性を優先する場合は「扉なし(オープン)」というように、使い方や費用面を考慮して選ぶと良いでしょう。 ただし、扉の種類によっては注意点もあります。「開き戸」は開閉のためのスペースが必要になり、手前にはモノが置けなくなります。また「扉なし」は通気性が良い半面、においやホコリも入ってきます。さらに、直射日光が当たる位置だと衣類が日焼けする可能性があるため注意が必要です。
開閉できる窓があると風通しが良くなり、日中は自然光が入って明るくなるのがメリットです。湿気がこもりにくくなり、カビや害虫を防げる点でも優れています。 しかし、日光が直接当たると大切な衣類が日焼けしたり退色したりするリスクがあります。ウォークインクローゼットに窓を設けるときは、強い日差しが入る方角を避ける、窓のサイズを小さめにする、UVカットガラスや遮光ブラインドを採用するなどの対策を必ず行うようにしましょう。
これから一戸建ての家づくりを計画しているなら、レイアウトの違いによるメリット、効率的な収納アイデアなどを活かして、理想的なウォークインクローゼットを実現させましょう。
今回は、Ⅰ型・Ⅱ型・L字型・U型といったレイアウトの特徴、上段・中段・下段の効果的な使い分け、8割収納などの活用法について解説してきました。現在ウォークインクローゼットのある住まいで暮らしているなら、ハンガーや収納ケースを統一したり、使う頻度によりしまう場所を変えたりすることで、より使いやすくできるかもしれません。これから新築やリノベーションを予定している場合は、暮らしに合わせて間取りや動線を計画し、使いやすい設備を揃えることで、理想的な収納計画の実現も可能でしょう。
完成してからモノが入りきらなかったり、使わないスペースができたり、出し入れに不便を感じることがないようウォークインクローゼットのプランの検討を進めましょう。失敗や後悔を防ぐためにも、ハウスメーカーのホームページなどで実例の写真や間取りを見てイメージを膨らませると良いでしょう。住宅展示場のモデルハウスを訪ねて、実際の間取りや動線を確かめたり、住まいづくりのプロに相談したりするのもおすすめです。
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