その担い手たちの横顔 Designers File

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井家 睦 建築士

お客さまと一緒に、つくりあげていく

建築士によって設計のスタイルは異なるものだと思います。また、同じ建築士でも現在と10年後では変わるのかもしれません。今の私のスタイルは、徹底してお客さまと話し合い、お客さまと一緒に考え、ご一緒につくりあげていくというものです。あらゆる可能性を検討して、ご要望に対する最適な“答え”を見つけます。

Work style

  • 土地が持っている可能性を徹底的に考える
  • 過去の設計事例という“財産”に学ぶ
  • お客さまと一緒に練り上げていく

Design

最近の設計実例から

東京都 Kさま邸

都内の駅に近い敷地でのご自宅の計画でした。Kさまご夫婦が求められたのは賃貸併用住宅とすること。東西を3階建てのアパートに挟まれるという厳しい条件の下、お仕事の関係で建築に明るいご夫婦と一緒に、最適な答えを探っていきました。

土地が持っている可能性を徹底的に考える

設計は敷地を読み解くことから始まります。しかしそれは方位や道路との関係だけではありません。高低差や眺めなど、あらゆることを検討します。具体的なプランニングに進む前に、敷地の魅力を最大限に引き出す建物のあり方、その可能性を徹底的に探ります。

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道路側は、ほぼ全面をガラス窓にして光を採り入れています。太い外枠で安定感のある堂々とした表情をつくりました。ブルーとグリーン、そして黄色の縦のラインが外観のアクセントです。

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3階に設けたK邸のリビング。バルコニーから光と風を採り込みます。正面の窓が、外の緑を1枚の絵のように切り取って空間を彩ります。メイプルの床がリビングをさらに明るくしています。

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バルコニーはプライバシーが守られた心地よい外部空間です。読書はもちろん、時には食事の場所にもなります。ガラスのドアを左右2カ所に設けているので、リビングや水まわりからもすぐに出られます。

過去の設計事例という“財産”に学ぶ

住友林業は注文住宅事業を本格的に始めて40年以上になり、設計事例の蓄積も豊富で実例集も数多くあります。過去の事例は貴重な“財産”であり、私も図面や実例集などを読み込み、お客さまとの打ち合わせ資料として活用しています。

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私にとって過去の事例は、住友林業のさまざまな設計ノウハウが詰まった “参考書”です。お客さまから「こんなイメージにしたい」と伺ったときには、ご希望に合うものを実例集の中から示してお客さまと共通認識をつくる素材にしたり、イメージをさらに具体化するために使っています。

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壁を中から外へと連続させ、室内空間の広がりを強調する手法は、お客さまとの打ち合わせの中で「ぜひやってみよう」と決めたものでした。外観のワンポイントのアクセントになりました。

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Kさまの賃貸併用住宅は、各戸が1階に独立した玄関をもつ形式です。そのため4つの玄関ドアとインターホン、ポストが道路側に並びますが、住宅の設計ノウハウを活かし、植栽や天然石などを使って外構を美しく整えました。

お客さまと一緒に練り上げていく

私は“完成形”をご提案するよりも、お客さまとお話しながら、設計案を一緒につくりあげていくことを自分のスタイルにしています。お客さま自身が気付いていない“要望”もしっかりつかみとり、1つだけではなくいくつもの答えを用意したいと思っています。

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3階の自宅部分のダイニングとキッチン。ご夫婦のアイデアでコンロをダイニングテーブルに組み込み、空間を効率的に使っています。北側の大きな窓から、明るい光が入ります。右の引き戸はランドリーコーナーや浴室に続きます。

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3階のバルコニーから採り入れた光を、階段を通して2階に届けるために、階段の上部を“グレーチング”と呼ばれる簀(す)の子状のものにしています。ビル用の部材に詳しいご主人の発案でした。

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2階の賃貸住戸のリビング。大きな窓から光が差し込み、明るい空間となっています。窓のブラインドはあらかじめ備え付け、全室共通にして外から眺めたときの美しさを演出します。

Photo gallery

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井家 睦 建築士

設計を終えて 厳しい敷地条件の中で賃貸併用の住宅を計画するという難しいプロジェクトでした。とくに、必要な3戸の賃貸スペースを確保しながらご家族の居住空間をいかに広く快適なものにできるか、各階ごとに柱の位置が自由にできる当社独自のビッグフレーム構法を採用し、高精度のシミュレーションを実施しました。幸い“ウェイティングリスト”ができるほどの人気の賃貸住宅になりましたが、それもご夫婦とアイデアを出し合ってつくりあげていったからだと思います。これからもこの建物が、Kさまご一家やここで暮らす方々の快適な暮らしの拠点となり、通りの美しいシンボルであり続けることを願っています。

井家 睦 建築士 Atsushi Ika

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