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コンプライアンス
基本的な考え方
住友林業グループでは、経営理念と行動指針を踏まえた上で、方針や規程の具体的な礎として「住友林業グループ倫理規範」を制定しています。これにより、住友林業グループは、グループ会社だけでなく住友林業のサプライヤーに対してもコンプライアンス、贈収賄などの腐敗防止、公正な取引、情報の機密性、健全な政治との関係性、人権の尊重などを求め、サプライチェーンを含むグループ全体として本規範に則った企業運営を行います。
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コンプライアンスの推進
住友林業グループでは、グループ横断的なコンプライアンスリスクに対応するため、「リスク管理委員会」の下部組織として、総務部長が委員長を務め、グループ会社の主管部門も含むリスク管理担当者で構成される「コンプライアンス小委員会」を設置しています。委員会では、建設業法をはじめ住友林業グループにとって重要な法令遵守のための管理体制やツールなどのグループ標準を定め、コンプライアンスリスクに効率的に対応しています。
2023年度は同委員会を2回開催し、次のような活動を通じてコンプライアンス体制の継続的改善に取り組みました。こうした取り組みにより、グループ全体のコンプライアンス担当者のボトムアップ、目線合わせを図り、併せて危機意識を共有する機会としています。
- 業法3法(建設業法、建築士法、宅建業法)の遵守体制に関する一斉点検
- 安全運転管理体制に関する一斉点検
- 下請法遵守体制に関する一斉点検
- グループ各社特有の行政手続きや法令要求事項への対応状況の一斉点検
- 下請法・独占禁止法の執行強化に向けた取り組み事項の共有(下請中小企業に対する取引の公正化や適切な価格転嫁など)
これらの活動は、四半期に一度、取締役会に報告・答申し、業務執行に反映させるしくみを整備しています。また、監査役や内部監査部門にも、毎月活動報告をしている他、特に重要なグループ共通の取り組みやリスク情報については、グループ監査役会を通じて各社監査役と共有しており、業務執行ラインの内外からのアプローチによるコンプライアンス推進体制を整備しています。
さらに、サプライヤーと協力して、「住友林業グループ調達方針」に基づき木材の合法性確認や人権、労働慣行及び生物多様性保全や地域社会への配慮を含む持続可能な木材調達活動を行うことを通してサプライチェーンにおけるコンプライアンスリスクに対応しています。木材建材事業本部、住宅事業本部及び関係会社の木材及び木材製品調達部門の調達責任者で構成する「木材調達委員会」(委員長:サステナビリティ推進執行役員)では、木材の調達基準や違法伐採のリスク評価など、グループ全体の木材調達に関する審議を毎年4回実施しています。サプライヤーのコンプライアンス意識の状況把握を含む「サステナビリティ調達調査」の回答結果や現地ヒアリング結果も同委員会で報告され、課題のあるサプライヤーに対しては是正要請等を実施しています。また、リスク評価においては、年に一度、各伐採国のリスク区分を国際NGOの腐敗認識指数や、FSCの国別リスクアセスメント、環境NGOによるレポートの情報などを参照し、見直しを行っています。
コンプライアンス教育
住友林業グループでは、コンプライアンスの重要性の理解と遵守意識の醸成を図るため、入社時に法令・社内制度を含むコンプライアンス研修を実施しています。2023年度は新卒採用者375名、キャリア採用者(単体)123名に研修を実施しました。さらに、「新任主管者研修」など階層別の集合研修でもコンプライアンス教育を実施しています。
また、eラーニングに「リスク管理・コンプライアンス」、「情報セキュリティ」、ハラスメントなどに関する内容を含む「仕事と人権」といった講座を必修講座に定め、派遣社員・アルバイトを含むグループ社員全員が毎年受講することを義務付けています。繰り返し受講することで、コンプライアンス意識の定着と企業価値の向上を目指しています。
2023年度は12,533名(単体5,723名、グループ6,810名)が受講しました。
コンプライアンス・カウンター
住友林業グループでは、日常の業務に潜んでいる不正の芽を早期に摘みとるための自浄機能を備えた職場環境づくりに取り組んでいます。コンプライアンス違反を報告する機能として2002年からコンプライアンス・カウンター(相談窓口)を設置しています。さらに、住友林業グループがグローバルに事業展開している現状に鑑み、2019年10月から海外の主要グループ会社に対しても共通の内部通報窓口を設置しました。受付窓口には多言語対応が可能な外部業者を利用しており、英語・中国語・インドネシア語・ベトナム語・タイ語での通報が可能となっています。
2023年度は、不正行為が疑われる事案やハラスメントなど15件の相談が寄せられました。
コンプライアンス・カウンターの仕組み
コンプライアンス・カウンターには、社内(総務部長)・社外(顧問弁護士)の2つの窓口を設け、電話や専用のメールアドレスにて相談・通報を受け付けています。相談・通報者の権利保護を関連規程等に明記しイントラネットにて公開するとともに、通報窓口連絡先(社内・社外)を記載したカードを、グループ会社を含む全社員に配布するなど、窓口を利用しやすい環境づくりに努めています。
通報が寄せられた際には慎重に調査を実施し、コンプライアンス違反などの事実が確認された場合は必要な是正措置を講じています。コンプライアンス・カウンターの運用実績は四半期ごとに取締役会に報告しているほか、通報事例をモデルケース化して、必要に応じて研修等で用いることで再発防止につなげています。
コンプライアンス・カウンターの仕組み
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コンプライアンスに関する監査
住友林業グループでは、内部監査において各事業所のコンプライアンスに係る事項を監査し、問題がある場合は是正または改善を指導してフォローアップを行っています。
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コンプライアンス意識に関する調査
住友林業グループでは、コンプライアンスに関する意識及び浸透度を測るため、国内グループ会社の全社員を対象に、2年に一度コンプライアンス意識調査を実施しています。
調査により把握した課題を抽出し、コンプライアンスの取り組みに反映しています。
贈収賄の防止
住友林業グループでは、国内外を問わず法令違反となる贈収賄行為を未然に防止することを目的に、贈収賄防止規程の制定を進めています。同規程においては、ファシリテーション・ペイメント(通常の行政サービスの円滑化のための少額支払)への注意や政治献金などの寄付についての条件・事前決裁を基本原則としたうえで、公務員等に対する金品その他の利益の供与の申し出、約束、実施、またはそれらの承認をしない旨を定めています。また、海外連結子会社においては、贈収賄防止に資するよう、「コミッション(販売手数料)チェックリスト」などの共通ツールの導入を進めています。引き続き、贈収賄防止の取り組み状況に関するヒアリングや研修を実施し、リスクの把握とグループ社員への教育に取り組んでいきます。
上記の他、委託業者や代理店等の新規起用、契約更新に際しては、当該委託先等が贈収賄行為をするおそれのないことを適切に確認するとともに、他社との合弁にあたっては、汚職状況を含むデュー・ディリジェンスを適切に実施しています。
なお、2023年度、住友林業グループにおいて、ファシリテーション・ペイメントを含めた贈賄行為が行われたという報告はありませんでした。
公正な競争及び適正な下請取引の推進
住友林業グループは、「独占禁止法ガイドブック」を発行し、社内イントラネット掲載やeラーニングなどを通じて、独占禁止法の趣旨・概要、競合他社との接触によるカルテルリスク、公正な競争を推進するための心構えなどを周知しています。また、下請法(下請代金支払遅延等防止法)の遵守体制一斉点検を行い、サプライチェーン全体での価値創造と共存共栄に向け、取引先とのパートナーシップ構築の妨げとなる取引慣行や商慣行の是正に取り組んでいます。
なお、2023年度、住友林業グループにおいて、独占禁止法及び下請法に係る違反や問題発生の報告はありませんでした。
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政治献金に関する考え方
住友林業グループでは、健全な政治との関係を維持するため、「住友林業グループ倫理規範」において、「法令に基づき、健全で透明性のある政治との関係を維持します」と定めています。また、国内外グループ会社の社員一人ひとりに配布している「住友林業グループ倫理規範ガイドブック」において、政治献金については、「原則、担当部門のみが関係法令や社内規則に則って行う」こと、「やむを得ず行う場合は、十分な事前協議を担当部門と行う」ことを明記しています。
インサイダー取引の防止
住友林業グループでは、インサイダー取引を未然に防止するために、金融商品取引法その他関連法規を遵守しています。また、インサイダー取引防止規程により、役職員によるインサイダー取引の未然防止手続き、情報の管理・開示方法の明確化等を図り、証券市場における住友林業の社会的信用の維持・向上を図っています。さらに、日常的にインサイダー情報に触れる可能性のある役職員が住友林業の株式の売買等を行う場合、住友林業総務部長への事前確認を必須とする制度を設け、適切に運用しています。加えて、原則として年2回、インサイダー取引防止に関する注意喚起を役職員向けに通知している他、「インサイダー取引防止マニュアル」を発行し、社内WEBサイトを通じて周知徹底を図っています。
なお、2023年度、住友林業グループにおいて、インサイダー取引に関わる違反や問題発生の報告はありませんでした。
反社会的勢力の排除
住友林業グループは、反社会的勢力に対しては、妥協を許さず、毅然とした態度で対応することをグループの基本方針として倫理規範に定めています。総務部を対応統括部署として、警察、弁護士などの外部専門機関と連携して組織的に対応することとし、反社会的勢力に関する情報を収集し、必要に応じて注意喚起の指導を行っています。また、各都道府県の暴力団排除条例施行に伴い、住友林業グループ各社が第三者と締結する契約書に、反社会的勢力排除に関する条項を盛り込むことを定型化するなど、適切な対応を行っています。
また、すでに契約書を締結している取引先も含め、全ての取引先との間で、当該取引先だけでなく、その親会社・子会社・下請先などについても反社会的勢力でないことの表明保証の取りつけを行っています。
交通事故・違反の防止
住友林業グループでは、交通事故・違反のリスクに対応するため、安全運転管理体制のグループ標準化を推進しています。
具体的には、事故報告書式の統一、運転記録証明書※の取得、運転者及び車両に関する基本情報を一元管理する「安全運転管理システム」の導入など、10項目の共通取組事項を定め、法定業務の履行や運転者の指導を適時適切に行うための体制を整備し、毎年、体制遵守状況の一斉点検を実施しています。
また、毎月の交通事故発生状況の分析結果を各組織に共有し、事故発生防止対策の立案、啓発活動につなげています。
さらに、運転技術や経験の不足などにより事故・違反リスクの高い社員(新卒入社社員・シニア社員・事故や違反を繰り返す社員等)に対し、それぞれの特性に合わせた実車研修や安全運転講習を実施するなど、年間を通して安全運転教育にも取り組んでいます。
※自動車安全運転センターが発行する違反や行政処分などの運転経歴に関する証明書
コンプライアンス違反事例について
2024年3月、住友林業は、森林法に基づく森林経営計画の変更手続きの不履行による農林水産大臣認定取消しの行政処分を受けました。2023年12月、資源環境事業部門の元社員が同計画の一部変更に伴う変更認定請求の手続を進めないまま、同計画の変更にかかわる大臣認定書を自ら作成し、それにより、実際は変更認定を受けていない施業が一部で行われていることが判明しました。認定取消しは認定請求に定められた事項の不履行と同計画の内容と異なる施業を行っていたことによるものです。なお事態が判明した後、認定範囲にない施業は中断し、3月末に認定の再申請を行っています。(5月31日再認証)
このような事態が起きた原因としては、同計画に関する業務フローの共有不備、社内手続きの不徹底と、プロセスチェック体制の不備等が挙げられます。
業務プロセスの改善はもとより、定期的な森林法をはじめとする関係法令及び関連制度の研修実施によるコンプライアンス意識醸成など再発防止に取り組んでまいります。
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