人財育成

人財育成

基本的な考え方

住友林業は、Mission TREEING 2030を達成し、サステナブルな経営の実現に向け「事業の変革と創造を担う人財の確保・育成」、「社員のパフォーマンスを最大化する仕組みと自由闊達な企業風土」、「健康経営の推進」を3つの柱とする人財戦略を定めています。そして、人財育成の基本方針として「自ら学び、本質を考え、自ら行動する社員の育成」と「自由闊達な企業風土の醸成」を掲げ、事業の変革と創造を担う人財を育成し、自由闊達な社風を醸成することで、経営理念の実現を目指しています。

推進体制

人事部スミリンビジネスカレッジ(SBC)は、全社の人財育成施策の企画・推進を担当し、各事業本部やグループ会社には育成担当者を配置して各事業で必要となる知識・スキル習得研修の実施、人財育成施策の企画等を行っています。

人事部スミリンビジネスカレッジ(SBC)

住友林業に在籍する、新入社員からミドルマネジメント層・経営層までを対象とし、「1.住友の事業精神に基づく経営の理解と習得」「2.業務知識、マネジメントスキルの習得」「3.海外人財の育成」「4.経営者の育成」「5.自由闊達な企業風土の実現」に取り組んでいます。

また、グループ経営を推進するための「6.グループ社員の一体感の醸成、人財育成」にも取り組んでいます。

住宅事業本部人財開発部

住宅事業本部所属員(営業・設計・インテリア・生産・総務・本部スタッフ)を対象に、「お客様視点」と「プロ意識」を基軸とした実践的研修を行っています。

また、住宅事業本部が主管するグループ各社と連携を密にし、各社の研修をサポートしています。

グループ各社、各部門

それぞれの分野での必要なスキル教育を実施し、各々の事業領域におけるプロフェッショナルを育成する研修を実施しています。

人事部スミリンビジネスカレッジの人財育成体系

人事部スミリンビジネスカレッジでは、「自ら学び、本質を考え、自ら行動する社員の育成」「自由闊達な企業風土の醸成」を掲げ、「階層型」「選抜型」研修のみならず「自己啓発型」研修のプログラムを増やし、社員の自主性を重んじた能力開発を図っています。

1. 住友の事業精神に基づく経営理念の理解と習得

住友グループの歴史と事業精神を学ぶため、旧別子銅山の産業遺跡と当社保有山林を訪問する四国山林研修を実施し、新卒・キャリア入社の社員が全員参加しています。2024年度は726名(単体276名、グループ会社450名)が参加しました。

また、eラーニングにおいて、住友林業の歴史と当社の経営理念プログラムの教育を行い、グループ会社の全社員が毎年受講しています。

2. 業務知識、マネジメントスキルの習得

人事部スミリンビジネスカレッジでは、社員の自主性を重んじた学びの支援を行っています。
社員の職群・グレード別の能力開発プログラム(オンライン)、ビジネススキル・知識等の習得を目的としたeラーニング・通信教育・外部研修への派遣等300講座に加えて、約8,000の講座から学べるオンライン動画学習コースを用意しています(すべて外部講座)。
また、会社指定以外の外部研修受講に対しては5万円を補助する制度を設けています。合計で2023年度は1,847名、2024年度は2,082名が受講しました。

階層型研修では、新任の主管者を対象に、心構えと役割を学び広い視野を養う新任主管者研修を実施しており、2024年度は17名が受講しました。
また、2024年度に改定した評価制度の定着と活用を図るため、全管理職を対象とした評価者研修を行い、2024年度は1,322名が受講しました。管理職の能力向上のため、社員一人ひとりの能力を引き出すマネジメントスキル研修を全管理職に実施しており、2024年度は98名が受講しました。
さらに、マネジメント能力の向上を目的に実施している多面評価において、2024年度は初めて被評価者となった109名の管理職を対象に、評価結果を正しく理解し実践するための多面評価フィードバックワークショップを実施しました。
また、管理職への就任を希望する社員を対象に、ビジネス知識試験・適性アセスメントを実施し、自身の強み・弱みや特徴を明らかにすることで、必要な能力開発の方向付けを行っています。2024年度は190名を対象に実施しました。

住宅事業本部の62名の全支店長に対して、住宅支店長ワークショップを人事部スミリンビジネスカレッジと人財開発部が共同で実施し、支店でのビジョン設定から戦略構築、拠点責任者としての心構えを、支店長同士の対話を交えながら伝え、マネジメント力の向上を図っています。

3. 海外人財の育成

拡大する海外での事業運営に資する人財を育成するため、海外勤務を希望し、かつ業務成績に優れた社員に対し、長年海外関係業務(海外駐在を含む)を担当した社員が、1対1で指導する海外人財育成プログラムを実施しています。指導内容は英語、インドネシア語の学習、受講社員一人ひとりのレベルと勤務内容に合わせたオリジナルのプログラムを設計し進捗をフォローする他、簿記や会計の勉強を促しています。また、2022年度より国際情勢全般を扱うプログラムも実施しています。2024年度は32名が参加しました。

将来的な海外赴任を見据えた海外関係業務を担当する最低限の知識(英語をはじめとする語学や会計関係)を取得した者、あるいは、自己啓発でそのレベルに達すると判断された者より修了となります。2018年度から累計で114名が修了し、そのうち79名が海外駐在及び国内の海外業務関連の部署に異動しています。(2024年12月1日現在の海外駐在員は133名:渡航準備含)。

4. 経営人財の育成

35歳以上の社員を対象に選抜研修を実施しています。経営リーダー育成研修、変革型ミドル研修を中心に、2023年度は11プログラムに53名、2024年度は10プログラムに55名が参加しました。

5.自由闊達な職場風土の実現

社員がノビノビ、イキイキ働くことができる自由闊達な職場風土の実現を目指し、住宅事業本部では2021年度より「三ツ星プロジェクト」を実施しています。
「三ツ星プロジェクト」は、三ツ星店のように社員一人ひとりが活力に溢れ、お客様から高い評価を受け、地域に根差し愛される支店を目指すもので、2024年度までに32支店が参加しました。半年間にわたるワークショップを通じて、社員間のコミュニケーションが活性化し、より良い支店づくりへの意識が高まるとともに、職場への貢献意欲も向上しました。

また、自由闊達な議論ができる風通しの良い職場づくりのため、2021年度より全管理職を対象に心理的安全性研修を実施しており、2024年度は351名が参加しました。

6. グループ会社社員の一体感の醸成、人財育成

新入社員研修をグループ共通のプログラムで実施することで、グループ全体の一体感の醸成と社会人への意識改革を図っています。2024年度は455名が参加しました。

さらに、グループ社員が共有する学びのツールとして、eラーニングシステムを展開し、住友林業の歴史・事業精神・経営理念の理解、ビジネススキル・知識習得等の164講座を国内グループ会社社員が共有し学んでいます。

人事部SBC研修体系(2024年度)

人事部SBC研修体系(2024年度)

主な研修プログラム受講者数
(2024年度)

研修プログラム 受講者数
(単体)
(名)
受講者数
(グループ会社)
(名)
階層型研修(27講座) 3,026 526 3,552
選抜型研修(32講座) 134 15 149
自己啓発型研修(332講座) 2,082 23 2,105
eラーニング(必須9講座) 5,577 7,377 12,954

研修受講時間・研修関連費用(単体)

2021 年度 2022 年度 2023 年度 2024 年度
従業員1人当たり
研修受講時間(時間)
13.0 15.5 19.6 20.9
従業員1人当たり
研修関連費用支出(円)
77,473 105,628 116,768 151,877

2024年度研修関連費用(単体)は811百万円

資格取得・社外教育の支援

住友林業では、「資格取得・社外教育支援規程」にて社員が資格を取得する際や社外教育機関を利用する際の支援について定め、自立的な能力開発とキャリア形成を推進しています。

資格取得支援としては、業務において取得が必要なものの他、能力開発の観点から取得を奨励する138の資格について、資格ごとに支援範囲を定めています。2024年度は1,465名が制度を利用しました。

特に1級建築士試験に合格した社員には、一時金として最大50万円を支援しており、2024年度は20名が対象となりました。2級建築士免許についても、人財開発部の指導のもと2024年度は39名が取得しました。

住友林業ホームテック 社内資格制度の導入

住友林業ホームテックでは、2021年度に社内資格制度「構造診断マスター」、2022年度に「耐震診断マスター」を導入しました。社内資格制度は、社員の自己研鑽意欲の促進と法令順守、品質管理の向上につなげることを目的としています。
2024年12月現在、「構造診断マスター」資格取得者総数は受験資格を有する社員820名中、642名(78.3%)となり、さらに上位資格「耐震診断マスター」の総数は146名になりました。

住宅事業本部人財開発部の取り組み

教育・育成方針に基づき、研修をはじめとする様々な取り組みを行っています。中でも若手社員には3年目終了時までの自立を目指し、「考えさせる」ことを重視した育成を実施しています。OJTにおいては、トレーナーとの連携を強化するとともに、OJT強化の手法として反転学習の手法を取り入れており、研修がより実践的なフォローアップの場となることによる早期習得を目指しています。

定期研修前の反転学習における事前学習の動画配信を行うため、動画教材の内製化を開始しました。360度動画においては、情報をクリックするとテキストなどが表示される情報ホットスポット、クイズ、知識確認モジュールなどのインタラクティブな要素が数多くあり、受講者のエンゲージメントと定着率を高めることに寄与しています。またLMS(学習管理システム)との連携も進め、各社員の学習状況の管理に加え、スキル把握を進め社員のデータを蓄積していくことで、将来的な人事戦略や人財マネジメント等、中長期を見据えた取り組みを進めています。

動画を活用した反転学習

2022年より、住友林業の本社スタジオを活用し、キャリア入社社員の入社時研修の動画教材を作成しています。2023年4月度より、入社時から業務を学ぶことができる環境「人開eラーニング」を整備し、支店でのOJTをサポートしています。本取り組みに合わせて2022年より開始した対面によるキャリア入社社員定期研修プログラムを根付かせ、新卒入社社員とキャリア入社社員の二軸育成の確立を目指します。

LMSの活用イメージ

LMSの活用イメージ

反転学習のフローイメージ

反転学習のフローイメージ

また、若手及び中間層の社員に対するOJTを確実に機能させるため、管理職ならびに次期管理職に対してマネジメント能力・商品知識・人財育成能力の養成を行い、効率的な働き方の支援や指導にも力を入れています。

デバイスを活用した研修

育成期間中で特に研修機会の多い1年目研修の教材にペーパーレスシステムを導入し、研修時にタブレット等のデバイスを支給しています。本システムを活用することで、研修中も電子テキストへ重要事項の書き込みを行う等、加筆・保存ができるようになりました。受講生においては、研修終了後もデバイスを用いることで、場所を問わない復習や教材の活用などが可能になりました。その他、入社時からのデバイス支給は、若手社員のITリテラシーの向上にも貢献しています。今後も各社員の資質・能力を一層育成するため、教育ICT環境の実現を目指します。

対面・WEBのハイブリット研修

WEB研修は、受講生の移動が削減され、生産性の高い講義を実現できます。短時間の研修を複数日設ける等、研修の運営手法の選択肢も増え、研修カリキュラムの構成に大きく寄与しています。対面型研修のほうがより大きな研修効果が得られる講義もあることから、WEB研修活用に加えて、小規模な対面型研修とWEB研修を融合させたハイブリッド型の研修運営手法も確立させ、より生産性を向上させた研修の構築を進めます。

小規模化した対面型研修とWEB研修を
融合させたハイブリッド型の研修

小規模化した対面型研修とWEB研修を融合させたハイブリッド型の研修

VR・AIを活用した研修

かねてより取り組んでいるVR動画を活用した研修は、非常に効果を発揮しました。現場での研修に加え、受講生が様々な仮想体験をすることで建築に必要な知識を素早く、また環境に左右されず習得することができ、実際の現場で受講しているような感覚を通じて業務プロセスの理解を深めています。また、生産性の高いVR研修をグループ全体に広げるとともに、教材の内製化により研修運営における費用対効果を上げていくことを目標としています。

さらに現在、住宅営業職で実施している営業トーク分析においては、お客様との商談内容をAIで客観的分析を行うことで、接客力を効率的で効果的に伸ばすことを目標としています。今後、より多くの接客分析を行い、住友林業のトークモデルの確立と個々のスキルアップにつなげていきます。

装着したヘッドマウントディスプレイへ投影される動画を視聴しての研修

装着したヘッドマウントディスプレイへ投影される動画を視聴しての研修

住友林業ホームテックの取り組み

ニードセールス研修

2021年より、新卒営業・設計担当の社員を対象にニードセールス研修を実施しています。
リノベーションを望むオーナーの皆様の平均年齢はライフステージ変化後の60代前後ですが、オーナー様と対話する担当社員の年齢は20代であり、商談の中で共通の話題を見つけることも苦労することがあることから、この研修の受講対象となっています。この研修の目的は住まいの課題やお困りごとを見つけ出し、オーナーの皆様に解決策を示し、潜在的ニーズに対応するプランを提案することです。受講者からは「オーナー様がファミリーコンサルタントとして接してくださる」、「モノを売るのではなく、御家族のために解決策を提供できる営業職は楽しい」といった声が上がっており、達成感が高まっています。
2024年12月期は、研修を開始した2021年12月期に比べ、ニードセールスリフォームの受注額は90%の増加となりました。ニードセールス研修は、住宅の付加価値をオーナーの皆様に提供できることで社員のモチベーションが向上し、ネガティブな理由での離職を防止することにつながっています。

資格取得の推進

住友林業では、業務上必要な資格の取得を奨励・支援し、十分な有資格者確保のため社員のスキルアップを推進しています。資格取得の推進は、業績向上やお客様満足度の向上にも寄与します。例えば、住宅事業本部では、財務や法務面でのコンサルティング営業ができるよう、営業職に宅地建物取引士と2級ファイナンシャル・プランナーの資格取得を奨励しています。両資格保有者(新卒入社2~3年目)の平均受注数は、未取得者の約2倍に上ります。

2024年度には、住宅事業本部の238名が資格取得支援プログラムに参加しました。

直近の支援実績は以下の通りです。

宅地建物取引士

2021年度 2022年度 2023年度 2024年度
受験者数 142名 194名 106名 117名
合格者数 25名 29名 19名 20名
(営業職保有率) 29% 30% 31% 31%
合格率 18% 15% 18% 17%

2級ファイナンシャルプランナー

2021年度 2022年度 2023年度 2024年度
受験者数 120名 146名 120名 109名
合格者数 40名 41名 33名 24名
(営業職保有率) 16% 20% 23% 25%
合格率 33% 28% 27% 22%

一級建築施工管理技士

2021年度 2022年度 2023年度 2024年度
1次試験
(学科)
受験者数 - 16名 - 24名
合格者数 - 8名 - 16名
合格率 - 50% - 66%
2次試験
(実地)
受験者数 - 10名 - 22名
合格者数 - 7名 - 13名
合格率 - 70% - 59%

2021年度、2023年度は資格取得支援なし

二級建築士・一級建築士(学科)

2021年度 2022年度 2023年度 2024年度
二級建築士 学科合格率 100% 100% 91% 98%
製図合格率 84% 81% 66% 86%
一級建築士(学科) 学科合格率 30% 31% 26% 31%

住友林業では設計力の向上を目的とした研修に力を入れています。設計担当者全員の事前図面チェックにより、当社の設計傾向や課題を抽出し補強することで、「設計力」「プレゼン力」「接客対応力」の向上を図り、他社に負けない強い設計集団としていきます。さらに今後、インテリア職との連携も図り、「プレゼン力」「接客対応力」「トータルコーディネート提案」の向上につなげ、インテリアを含めたチーム展開への実施を検討、予定しています。その他、中大規模建築にも対応できる技術者への育成も同時に検討していきます。

木造住宅建造技術の継承

日本の伝統的な木造軸組構法の良さを活かした家づくりを残していくために、次世代への技術・技能の継承が課題となっています。
住友林業では、1988年に企業内訓練校として、千葉県知事認定の教育機関である「住友林業建築技術専門校」を設立し、大工職を目指す住友林業ホームエンジニアリングの新入社員に対し、1年間の訓練カリキュラムを実施しています。建築関連学科としては概論、構造、製図、工法、材料、工事管理などの座学から、工具類操作や手入れ、伝統的な技法である墨付けや規矩(きく)術、加工、安全作業、模型実習、実棟実習、パソコン操作などの実技を学び、修了時には2級大工技能士取得を目指しています。また、訓練の修了後は全国各地の事業所に配属されますが、数年後にリターン研修として和室研修や1級大工技能士取得準備研修が7~10日間用意されています。

また、近年の職方の後継者不足に対応し大工のみならず2020年より左官職、2022年より躯体職の育成にも取り組み始めました。2021年には女性の職人希望者の受け入れも始まり、時代のニーズに応えるべく、柔軟に受け入れ態勢を整えています。

2024年度は94名の入校者を迎えました。

建方の実習の様子

建方の実習の様子

建方の実習の様子
建方の実習の様子

建方の実習の様子

「住友林業建築技術専門校」入校者と実績

2021 年度
(34期生)
2022 年度
(35期生)
2023 年度
(36期生)
2024 年度
(37期生)
入校者数(名) 69 84 97 104
修了者数(名) 63 82 94 -
2級大工技能士取得者(名) 62 74 79 -
2級左官技能士取得者(名) 4 5 4 -
サステナビリティレポート
2025サイトマップ