住友林業グループ中期経営計画
サステナビリティ編

重要課題1 
森林経営による
「森」と「木」の価値向上

重要課題1

重要課題1 
森林経営による「森」と「木」の価値向上

「森」を育てることで、「木」をはじめとする森林資源の価値を高め、引き出す

関連するSDGs

13.気候変動に具体的な対策を 15.陸の豊かさも守ろう

基本的な考え方

気候変動や資源の枯渇、生物多様性の損失など、地球環境問題が深刻化する中、それらを解決するため木材や自然資源、生物資源を生み出す森林への期待が高まっています。また森林は、CO2の吸収・固定や、生物多様性保全、木質建材や燃料材などを生産する機能だけでなく、水源涵養、土壌保全、土砂災害防止など、様々な公益的機能を有しています。森林を適切に管理することにより、地球温暖化の防止、生物多様性の保全の他、人々の生活に必要不可欠な資源を供給するというメリットを得ることができますが、過度な伐採や、再植林を怠るなど、適切な管理を行わないと、森林の持続可能性を脅かし、地球環境や人々の生活に悪影響を及ぼす恐れがでてきます。

住友林業グループは、木を軸に森林事業から木材建材流通・製造事業、住宅事業、建築・不動産事業、再生可能エネルギー事業など、様々な事業を展開してきました。『住友林業グループは、公正、信用を重視し社会を利するという「住友の事業精神」に基づき、人と地球環境に優しい「木」を活かし、人びとの生活に関するあらゆるサービスを通じて、持続可能で豊かな社会の実現に貢献します。』という経営理念の実現に向けて、事業とESGのさらなる一体化を推進し、持続可能な森林経営や木材の利用を行うことで、森林資源の価値を高めていきたいと考えています。

社会・環境へのインパクト

重要課題1 インパクト(機会) インパクト(リスク)
森林経営による「森」と「木」の価値向上

「森」を育てることで、「木」をはじめとする森林資源の価値を高め、引き出す
  1. CO2固定による温暖化対策への貢献
  2. 希少種の保護等、生物多様性保全への貢献
  3. 森林の持続可能性の高まりによる林業及び地方活性化への貢献
  4. 再造林用の苗木を確保し、伐採から再造林による森林資源の循環利用を促進
  5. 国内のバイオマス発電量(再生可能エネルギー供給)の増加に貢献
  6. 国産材の活用による林業及び地域の活性化への貢献
  7. 持続可能な木材や商品、認証材の普及、認知や付加価値向上
  1. 「森」・「木」を活用する産業への異業種参入による競争激化
  2. 過度な伐採、再植林率の低下などによる森林の持続可能性の低下。土壌侵食、水源汚染、生物多様性の劣化

重要課題1のマネジメント(2024年度)

中期経営計画サステナビリティ編2024において、重要課題1は9つの評価指標に分け、管理部署の年度活動方針や施策に落とし込みマネジメントを行っています。また、重要課題が社会・環境に及ぼすインパクトについても検証を行っています。

持続可能な森林資源の活用

住友林業グループでは、国内における主伐(皆伐)後の再造林のために必要な苗の生産を行っています。2024年度は、計画253万本に対して実績177万本と、計画には届きませんでした。森林経営計画の認定取消しに伴い、社有林の施業面積が計画から減少したことや、福島県向け苗木の販売が他社のカラマツ生産が増えたことが主な要因となります。現在6ヵ所の育苗センターにて苗木の生産、販売を行っていますが、枯損・生育不良による得苗率の低下や、気象害・病虫害による得苗率の低下への対応を樹種別に実施することで生産性の向上を図るとともに、多様な顧客要望に対応すべく、無花粉・少花粉スギなど高品質・高付加価値商品の販売を進め、差別化を図ります。

また、燃料用チップ・ペレット等取扱量は、計画2,483千tに対し、実績2,000千tと▲483千t計画には届きませんでした。

チップ製造子会社では、バイオマス発電に必要な燃料用チップの製造・販売を行っています。2024年度は一部のチップ工場において、労働災害事故の影響により稼働が一時的に停止したことなどが影響し、取扱量は減少しました。しかし、国内におけるバイオマス燃料への需要の高まりを受け、PKSやペレットなど、輸入バイオマス燃料の取扱量が増えたことで2023年度からは数量を増やすことができました。

2025年度も引き続き、林地未利用材のバイオマス用途への利用を通じた国産材の利活用の促進、苗木の提供、再造林化を積極的に進めることで、持続可能な森林経営に貢献していきます。

結果

以下表組における達成度評価について
目標達成:◯ 目標未達前期比改善:△ 目標未達前期比悪化:✕

評価指標(数値目標) 管理部署 2024年度
計画
2024年度
実績
2024年度
評価
2025年度
計画
国内外の森林認証面積(ha) 資源環境事業本部 242,493 230,284 346,152
自社生産苗木の植林面積
国内森林(ha)
1,012 708
苗木供給本数
国内森林(万本)
253 177 168
燃料用チップ・ペレット等
取扱量(t)※1
資源環境事業本部
木材建材事業本部
2,482,964 1,999,602
主要構造材における
持続可能木材使用率(%)※2
住宅事業本部 100 100
SGEC認証面積の維持(%)※3 資源環境事業本部 100 100 100

※1ジャパンバイオエナジー、オホーツクバイオエナジー、フォレストサービス、住友林業木材建材事業で取り扱っている、FIT燃料材及び、FIT以外の燃料材が対象。フォレストサービスについては、KPIをFIT燃料材のみとするよう変更し、2022年度より、FIT以外の燃料材を除き、原木由来のFIT燃料材を追加して集計

※2森林認証材・認証過程材、植林木材、天然林材でその森林の施業・流通が持続可能であると認められるもの(転換林由来材を除く)、リサイクル材を「持続可能な木材」と定義

※3Sustainable Green Ecosystem Council:緑の循環認証会議

生物多様性保全

自生種の販売については、主に当社戸建住宅事業向け、公園・オフィスビル・工場などの都市空間における緑化事業向け、造園業者・植木問屋など一般販売先向けに販売しています。

2024年度の自生種販売本数は、計画500千本に対して、実績502千本と計画を達成しました。一方、2023年度実績629千本からは減少となりました。2023年度は、主に都心部におけるオフィスビル、公園など緑化工事の受注増などにより販売が増えましたが、2024年度は大型物件の受注が落ち着いてきたこともあり、2023年度に比べ減少となりました。2025年度以降も、さらに企業緑地の有効活用など、周辺環境や景観とのバランス、地域全般の生態系保全まで視野に入れた、企業価値を高めるコンサルティングを行う中で、生物多様性に配慮した緑化植物(ハーモニックプランツ※1)の販売強化を図る他、2030年ネイチャーポジティブに向けた取り組みとして、動植物のモニタリングや、水収支評価など自然資本の価値の定量化に向け具体的に実行していきます。

※1住友林業緑化が提案する、生物多様性に配慮した緑化植物提案手法。詳細は関連情報をご参照ください

結果

以下表組における達成度評価について
目標達成:◯ 目標未達前期比改善:△ 目標未達前期比悪化:✕

評価指標(数値目標) 管理部署 2024年度
計画
2024年度
実績
2024年度
評価
2025年度
計画
自生種の販売本数(本) 住宅事業本部 500,000 502,000
社有林における環境林割合の確保(%) 資源環境事業本部 30以上 30以上
生物多様性保全に関する評価手法の確立 評価手法
の確立
情報収集

中期経営計画サステナビリティ編Phase2(2025年~2027年)

重要課題1のマネジメント

中期経営計画サステナビリティ編Phase2(2025年~2027年)において、重要課題1は以下大きく2つのカテゴリーに分けて、管理部署の年度活動⽅針や施策に落とし込みマネジメントを⾏っています。

持続可能な森林資源の活用

評価指標(数値目標) 管理部署 2024年度
実績
2025年度
計画
2026年度
計画
2027年度
計画
国内外の森林認証面積(ha) 資源環境事業本部 230,284 346,152 420,152 451,152
国内外森林認証面積の維持(%) SGEC認証面積の維持 100 100 100 100
社有林における環境林割合確保 30以上 30以上 30以上
苗木供給本数 国内森林(万本) 資源環境事業本部 177 168 185 207
国産材取扱量(千m3 木材建材事業本部 2,798 3,205 3,553
再造林事業(ha) 600 800 1,000

自然関連課題への対応

評価指標(数値目標) 管理部署 2024年度
実績
2025年度
計画
2026年度
計画
2027年度
計画
生態系モニタリングの実施及び改善
[HCVF※1エリアにおける動植物モニタリング(国内社有林、海外植林エリア)]
資源環境事業本部 実施・報告・開示 改善・充実 数値目標設定
生態系サービスの定量評価
(国内外における水収支評価)
立案・実施 実施 実施
Nature/植物 引渡住宅区画への在来種の植樹本数(本)(北米) 建築・不動産事業本部 4,200 4,300 4,700
森林財団を通じた植樹本数(本)(北米) 98,000 113,000 138,000
Nature/水 分譲地のXeriscaping※2実施率(%) 100 100 100
環境認証の取得件数(アジア)(件)(北米) 1 1 2
ハーモニックプランツ販売数(本)

対象樹木:高木・中木・低木

住宅事業本部 1,400,000 1,500,000 1,600,000

※1High Conservation Value Forestsの略。保護価値の高い森林

※2適切な水の使い方により、水を節約しながら景観を維持する造園手法

サステナビリティレポート
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