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事業活動に伴う
温室効果ガス排出
GHGプロトコルに基づく
温室効果ガス排出量
住友林業グループは、国際的に広く用いられている温室効果ガス算定基準「GHGプロトコル」に準拠したスコープ別※の数値を把握しています。住友林業グループでは、近年の再生可能エネルギー需要増加に鑑み、2011年にバイオマス発電事業に参⼊しました。連結子会社である紋別バイオマス発電所は、スムーズな運転とメンテナンスのために補助燃料として石炭を利用しているため、営業運転開始2016年度から当社グループのスコープ1・2排出量は⼤幅に増加しました。2023年度のスコープ1・2排出量は、紋別バイオマス発電の石炭使用量の削減により2022年度比5.7%減となりました。事業別でみると、国内工場・発電事業が50.8%海外工場が32.3%を占めています。
また、スコープ3については、2013年度に算定を始めました。その中でも特にカテゴリー11「販売した戸建住宅の居住時の排出」の与えるインパクトが大きいことを認識しており、住宅事業ではZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)普及に努め、居住時のCO2排出量の削減を図っています。2022年度からは、スコープ3の算定範囲をさらに拡大しています。2021年度における住友林業グループの事業に関してほぼ100%のカバー率で試算したうえで、排出量が小さく、全体に影響を及ぼす可能性が低い項目を除いて、新たな算定範囲としています。この結果、従来の算定範囲のカバー率は、2021年度の試算において約85.9%でしたが、2023年度は約96.6%になりました。
今後も、SBT(Science Based Targets)による目標達成に向け、一層の温室効果ガスの削減に努めていきます。
※GHGプロトコルでは、以下の分類で温室効果ガス排出量を開示することを求める
スコープ1:自社での燃料使用などによる温室効果ガスの直接排出。 例)社有車のガソリン使用に伴う排出量
スコープ2:購入した電力・熱による温室効果ガスの間接排出。 例)オフィスの電力使用に伴う排出量
スコープ3:サプライチェーンの温室効果ガス排出量。 例)販売した製品の使用時の排出量
スコープ1・2排出量の推移
住友林業グループの温室効果ガス排出量は、地球温暖化対策推進法に規定された熱量換算係数及び温室効果ガス排出係数、バイオマス発電所で測定した熱量換算係数等を用いて算出しています。なお、バイオマスの燃焼における温室効果ガス排出係数は、今後、日本政府が国連気候変動枠組条約(UNFCCC)に基づいて提出している日本国温室効果ガスインベントリ報告書(NIR)において使用されている係数に変更すること、また、算定範囲から、現在含まれている持分法適用会社を除外することを検討しており、参考として、その係数により算出した排出量も開示しています。
(参考)バイオマスの燃焼にかかる排出係数変更・持分法適用会社を除いた、
スコープ1・2排出量の推移
スコープ1・2の事業別内訳(2023年度)
スコープ3のカテゴリー別排出量
スコープ3のカテゴリー別排出量(3ヵ年)
(万t-CO2e)
カテゴリー | 当社算定対象 | 2021年度 | 2022年度※2 | 2023年度※2 | ||
---|---|---|---|---|---|---|
従来※2 | 範囲拡大後※2 | 従来※2 | 範囲拡大後※2 | |||
1 購入した製品・サービス※1 | 自社が購入した製品・サービスの上流の排出 | 245.8 | 261.3 | 278.7 (278.0) |
261.1 | 273.6 (272.7) |
2 資本財 | 購入した設備等の上流の排出 | 3.1 | 4.7 | 4.7 | 5.7 | 5.7 |
3 スコープ1・2に含まれない燃料及びエネルギー関連活動 | 購入した燃料・電力・熱・水の上流の排出 | 3.4 | 3.3 | 3.3 (3.2) |
3.2 | 3.2 (3.0) |
4 輸送、配送(上流) | ① 購入した製品・サービスのサプライヤーから自社への物流に伴う排出及び、自社が費用負担している①以外の物流サービスに伴う排出 | 43.2 | 44.6 | 44.6 (43.9) |
39.4 | 40.0 (39.3) |
5 事業から出る廃棄物 | 廃棄物の処理とその輸送時の排出 | 0.6 | 0.7 | 0.7 (0.7) |
0.6 | 0.6 (0.6) |
6 出張※3 | 従業員の出張(交通機関での移動・宿泊)に伴う排出 | 0.2 | 0.2 | 0.2 | 0.3 | 0.3 |
7 雇用者の通勤※4 | 従業員の通勤に伴う排出 | 0.6 | 0.6 | 0.6 | 0.7 | 0.7 |
8 リース資産(上流) | (上流のリース資産(オフィスビル、重機、車両、設備等)の使用時の排出はスコープ1及び2に計上) | - | - | - | - | - |
9 輸送、配送(下流) | 販売した製品の輸送時の排出 | 9.6 | 8.7 | 8.7 (8.1) |
7.2 | 8.6 (8.0) |
10 販売した製品の加工 | 販売した原木の合板への加工時及び販売した製材品のプレカット加工時の排出 | 5.2 | 4.2 | 4.2 | 2.9 | 8.3 |
11 販売した製品の使用 | 販売した戸建住宅の居住時の排出 | 653.4 | 593.7 | 681.6 (652.4) |
605.9 | 699.4 (669.5) |
12 販売した製品の廃棄 | 販売した戸建住宅の解体・廃棄時の排出 | 6.5 | 5.9 | 5.9 | 6.0 | 6.5 |
13 リース資産(下流) | (リース先は住友林業グループ内のみであり、当社グループのスコープ1及び2に計上) | - | - | - | - | 0.8 |
14 フランチャイズ | (対象外) | - | - | - | - | - |
15 投資 | 投資先の排出(当社持株比率分) | 12.0 | 12.0 | 12.0 | 11.4 | 11.4 |
合計 | 983.5 | 940.0 | 1,045.3 (1,013.9) |
944.6 | 1,059.2 (1,026.9) |
※1 2019年度より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号)を適用。2021年度に「収益認識に関する会計基準」の適用範囲を見直し、スコープ3カテゴリー1の算定⽅法を再度修正
※2 2022年度より算定範囲を拡大したため、従来の範囲で算定した数値と、範囲を見直して算定した数値を併記。今後、バイオマスの燃焼における温室効果ガス排出係数は、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)に基づいて提出している日本国温室効果ガスインベントリ報告書(NIR)において使用されている係数にすること、また、算定範囲から、現在含まれている持分法適用会社を除外することを検討しており、その算定結果を()内に表示
※3 2021年度以降、算定に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に伴う影響を反映するため、出張費用の減少率を適用
※4 2021年度以降、算定に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に伴う影響を反映するため、出社の減少率を適用
2023年度企業活動に伴う温室効果ガスの排出
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事業活動に伴うエネルギー使用と再エネ導入
住友林業グループにおける2023年度のエネルギー消費量は2,862,493MWh※となり、前年並みの消費量となりました。発電事業以外の事業のエネルギー消費量については、様々な省エネ活動によりエネルギー消費量の減少に努めています。また、2023年度の再生可能エネルギーの導入率は78.1%です。
※マテリアルバランスにおけるエネルギー投入量は環境省「環境報告ガイドライン」に基づきTJの単位で算出。いずれも同じエネルギー使用量から算出
エネルギー消費量及び再生可能エネルギーの導入推移
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事業所での温室効果ガス排出量の削減
国内グループ会社の全事業所では、2019年度よりガソリン車の標準設定を廃止し、低燃費車の導入を進めています。2023年に導入した社有車463台のうち、428台を低燃費車としました(低燃費車の導入比率92.4%)。
今後も、長時間労働の削減などを実施して社員の意識向上を図るなど、温室効果ガス排出量の削減を進めていきます。
輸送に伴う温室効果ガス排出量の削減
改正省エネ法では貨物の輸送に関して、荷主※1は「エネルギー消費原単位を中長期的にみて年平均1%以上低減する」ことが求められています。住友林業と住友林業クレスト、住友林業フォレストサービスは国への報告が義務付けられている「特定荷主(年間の貨物輸送量が3,000万トンキロ※2以上)」に該当しています。そのため、住友林業は輸送に伴うエネルギー消費原単位※3を前年度比1%以上削減するように年度単位で目標設定しています。また、住友林業クレスト、住友林業フォレストサービスでも前年度比でエネルギー消費原単位を減らすように目標設定しています。
2022年度のエネルギー消費原単位は前年度比で、住友林業は101.8%、住友林業クレストは112.3%、住友林業フォレストサービスは138.6%となり、いずれも目標未達となっています。目標未達の理由として、住友林業は「原単位が良く、取扱い量も多かった業者との取引がなくなった」、住友林業クレストは「輸送量は減少したが、エネルギー使用量の算定に係る係数が改定された影響が残り、またエネルギー使用量の対前年度比に対して、売上高の価格転嫁が追いつかなかった」、住友林業フォレストサービスは、「ウッドショックの余波で、輸入材の供給不安が高まり、国産材の代替需要が増加したため、仕入元から供給先への長距離輸送が多く発生」が挙げられます。
今後は、積載効率向上やトラックから鉄道や船舶輸送へのモーダルシフト、建築資材の配送の帰り便を利用した廃棄物輸送など、輸送業者と協力してCO2排出量削減に取り組んでいきます。
※1省エネ法上の「荷主」とは、自らの事業に伴う貨物を継続して輸送業者に輸送させる者のこと
※2貨物輸送量(トンキロ)=貨物重量(トン)×輸送距離(km)
※3住友林業、住友林業フォレストサービスは取扱量、住友林業クレストは売上高による原単位で実績を管理
輸送に伴うエネルギー使用量等(2022年度)※
エネルギー使用量(原油換算) | CO2排出量 | エネルギー消費原単位 | |
---|---|---|---|
住友林業 | 1,570kL | 4,182t-CO2 | 0.00205kL/m3 (前年度比101.8%) |
住友林業クレスト | 2,232kL | 5,941t-CO2 | 0.0000721kL/千円 (前年度比112.3%) |
住友林業フォレストサービス | 2,419kL | 6,468t-CO2 | 0.000927kL/m3 (前年度比138.6%) |
※算定期間は、省エネ法で定められている「年度(4月~3月)」/2022年4月~2023年3月を対象
効率的な配送システムの構築
住友林業は、複数メーカーから集める「住友林業の家」の資材を、全国約30ヵ所にある中継センターに集め、混載して配送するシステムにより、輸送過程で排出されるCO2排出量の削減を図っています。
物流事業のホームエコ・ロジスティクスでは、住友林業グループの住宅事業を中心に物流業務を受託し、資材メーカーや住宅メーカー、ビルダー、建材流通店に対しても積極的に効率的な物流業務の提案を行っており、2023年12月現在、住友林業グループを除く物流業務の受託先は約90社となっています。また、WEB上で荷主とドライバーや運送会社を直接つなぐ配送マッチングシステムによる物流サポートにも取り組み、配送依頼業務の効率化や緊急時の配送に対応しています。2023年12月現在、約190社(拠点ベースでは約270件)が本サービスを利用しています。
今後は住宅着工棟数減少による荷量不足が予想されるため、複数の企業による共同配送にも積極的に取り組んでいきます。
樹木輸送のモーダルシフト
住友林業緑化は、日本貨物鉄道株式会社、川崎近海汽船株式会社、日本通運株式会社と連携し、2022年3月に「緑配便®」の本格運用を開始しました。「緑配便®」とは、幹線輸送をトラックから鉄道や船舶へモーダルシフトすることで低炭素化をめざす樹木配送サービスです。2023年度は九州南部から首都圏への鉄道による樹木輸送を5回実施、船舶による輸送は102回(複数の航路、船舶会社を含む)実施しております。今後もモーダルシフトを推進し、CO2排出量低減と共に長距離ドライバーへの2024年問題対策としても実施していきます。
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