持続可能な森林資源の活用

持続可能な森林資源の活用

木材・建材事業の取り組み

環境配慮型合板
「きこりんプライウッド」の販売促進

住友林業グループでは、合板など、木質ボードの輸入商品の調達のうち、森林認証材・植林木を使用した製品の割合を目標設定し、その拡販に努めてきました。中でも FSC認証またはPEFC認証を受けた森林の木材や、持続生産可能な植林木を製品の50%以上使用しているJAS合板は、「きこりんプライウッド」として販売し、その売上の一部は、インドネシアで実施している植林事業に投入してきました。森林認証材の採用、また植林木を50%以上使用した環境配慮型商品である点が評価され、2018年9月12日に第1回エコプロアワード奨励賞を受賞しました。2020年度(4月~12月)の販売実績は42,051m3となっています。2021年度からは「きこりんプライウッド」の定義を住友林業グループの木材調達基準に合わせ「持続可能性が確認された木材を100%利用した合板」とし、さらなる拡販に取り組んでいきます。新定義での2021年度(1月~12月)の販売実績は313,280m3です。

※ 一般社団法人産業環境管理協会が主催。エコプロダクツに関する情報を需要者サイドに広く伝えるとともに、それらの供給者である企業等の取り組みを支援することで、日本のエコプロダクツのさらなる開発・普及を図ることを目的に2004年度創設。2018年度にこれまでの「エコプロダクツ大賞」をリニューアルし、新たに「エコプロアワード」となる

きこりんプライウッド

きこりんプライウッド

国産材の輸出

中国をはじめとする新興国での経済発展や人口増加により、海外における木材需要は増加が見込まれています。そうした中で、日本からの木材輸出も近年増加傾向にあり、2025年度の国産材原木の輸出量を300千m3と目標設定し、国産材の海外における市場開拓を進めています。

2021年度は、下半期に新型コロナウイルス感染症を原因とした中国港の滞船や中国国内の電力不足、恒大集団経営危機問題を起因とした不動産開発景気下落の影響を大きく受けましたが、上半期は2020年度の中国市場における感染症の早期収束による市況回復を受ける事ができた結果、国産材の輸出量は前期比で15.7%増となる142千m3となりました。

2022年度も依然として滞船問題やコンテナ運賃高騰などの問題が顕在するものの、米国マーケットを最大のターゲットとした中国の貿易状況であり、冬季北京五輪以後に水際の検疫体制の改善が実現すれば、2021年度より輸出量は増加する見込みです。

国産材の輸出実績

国産材の輸出実績

※ 2021年度の集計期間は2021年1月~12月、2020年度の集計期間は2020年4月~12月、2019年度以前の集計期間は各年4月~翌年3月

森林認証材の普及促進

森林認証材を販売する上でもっとも重要なことは、調達した森林認証材を他の木材等とは分別して管理することです。CoC認証では第三者による審査を受けることで、確実に森林認証を取得している森林から生産された木材等であることを保証してお客様に販売することができます。

住友林業グループは、持続可能な木材及び木材製品の取扱い比率を2021年末に100%とするために森林認証材の取扱い数量拡大に努めています。2021年度の販売実績は284,494m3で、月平均販売数量で2020年度より31%増となりました。

チップ化による木質資源のリサイクル

住友林業グループでは、木材の製材過程で発生する端材や、新築・解体現場で出る木くずをチップ化することで、製紙やパーティクルボードなどの原料として、また発電ボイラーなどの燃料として供給するチップ事業を通じて資源の循環利用に貢献しています。

今後は、需要が高まるバイオマス発電向け燃料の供給を通じて、燃料用途の取扱量のさらなる拡大を目指します。

木材チップ取扱量

木材チップ取扱量

※ 2020年度以降の集計期間は各年1月から12月、2019年度以前の集計期間は各年4月から翌年3月

木化事業の取り組み

住友林業は、330年を超える歳月で森づくりを行っています。そして、世界の様々な木の特性を熟知し、木が活きる住空間をつくっています。その多様な経験・知識・技術を大きく発展させることで、住宅以外の中大規模建築での木造化・木質化を提案する「木化事業」を推進しています。近年では、2017年に土木・建築の事業分野において国内外で数多くの施工実績を持つ熊谷組との業務資本提携、そして2020年には鉄骨造/鉄筋コンクリート造建築の受注や施工管理ノウハウを持つコーナン建設をグループ化しました。住友林業が持つ木造建築や内外装の木質化技術等と組み合わせ、中大規模木造建築などの非住宅分野を拡大させます。木化事業を通して、木の文化の伝承や林業活性化、環境、経済が調和した持続可能な社会の実現への貢献を進めていきます。

中大規模木造建築ブランド
「with TREE」

2021年に住友林業と熊谷組は中大規模木造建築ブランド「with TREE」を立ち上げました。コンセプトは「環境と健康をともにかなえる建築」。都市の建築に「木」が生む新しい価値を提供し、中大規模建築の木造化・木質化を推進します。住友林業が持つ森林や木材にまつわる知見と、鉄骨・RCや大規模建築にまつわる熊谷組の知見を融合し、協業体制の強化を図ります。2017年の業務・資本提携以来、協業の主軸である中大規模木造建築分野の取り組みとして、本ブランドを立ち上げ、資材の調達から建築、コンサルティングまで「環境価値」と「健康価値」を高める提案をします。

取り組み事例

生木と生湯の、おもてなしの共演 
ホテル葛城 琴の庭

国の重要文化財である道後温泉本館の隣接地で、道後の歴史と文化を継承し、自然の恵みである木と温泉にこだわりました。建築コンセプトは「生木(なまき)」。全10室を露天風呂付き客室とし、本物の手触りと香りを感じてほしいという思いと、源泉掛け流しの「生湯(なまゆ)」との共演を目指しました。

愛媛県で育った良質な桧と杉の国産木をふんだんに使い、地産地消の文化も大切に継承しています。

道後温泉本館は、初代町長が百年先でも真似の出来ないものをつくるという信念で、明治23年改築に取り組みました。その木の持つ経年美化という考えのもと、私たちは『榯美色(ときみいろ)』の風合いと呼んでいます。この施設が百年後に榯美色となり、道後の風格の一部として同化していくことを願っています。

ファストフード店舗の木造化・木質化

住友林業は、2021年度、17棟のファストフード店舗の木造化を行いました。

住友林業の提案により、構造躯体の柱には国産木材を活用したスギ集成材を採用。梁にはニュージーランドのネルソン・パイン・インダストリーズ社(NPIL)で製造したLVL(単板積層材)を活用するなど、構造設計と木造躯体施工を担当しました。また、外装に設置した木ルーバーには住友林業オリジナル塗料S-100(シリコン系強撥水型塗料)とAZN乾式木材保存処理を活用することにより、耐候性と耐久性を向上させました。2021年12月時点で、このような提案を行い、木造化した店舗物件は累計316棟となっています。

木は製品となってもCO2を炭素として固定し続けます。また、柱や梁に鉄骨や鉄筋コンクリートを使用した場合と比べ、資材調達から建設、改修、解体、廃棄までのライフサイクル全体で店舗が排出するCO2を削減することにつながります。

住友林業は、材の調達から供給、建築まで一貫して提供することで木材利用の拡大を一層推進していきます。

S-100防腐木格子

S-100防腐木格子

ファストフード店舗施工の様子

ファストフード店舗施工の様子

ファストフード木造店舗の外観

ファストフード木造店舗の外観

豪州メルボルンにて最高層の15階建木造オフィス開発事業に参画

住友林業はNTT都市開発株式会社と共に、グローバルに展開する大手ディベロッパー Hines社を通して、ネットゼロカーボンビル※1の実現を目指す取り組みを開始しました。
この足がかりとなるプロジェクトが豪州メルボルン市近郊コリンウッドで建設する大規模木造オフィスです。地上15階、地下2階のRC・木造混構造(6階超が木造)で、木造オフィスでは豪州メルボルンにおいて最高層※2となる見込みです。2023年の竣工を予定しています。

本プロジェクトでは豪州の環境認証Green Starの最高位6 starに加え、豪州基準の「Carbon Neutral Standard for Building」に基づくネットゼロカーボン認定の取得を目指しています。また、構造躯体で約4,000m3の木材を使用し約3,000トン(CO2ベース)の炭素を固定すると試算しています。この固定量を含めると、建物の建築時(建材の原材料調達・製造・建築・解体などの過程)に排出されるCO2(エンボディード・カーボン)は、全構造をRC(鉄筋コンクリート)造とする場合と比較して約4割削減したことと同等の効果があります。

本プロジェクトは炭素固定機能がある木材の有効活用と建物の省エネや創エネ、再エネ利用を組み合わせ、WGBC※3が掲げる、2030年までに全ての新築の建物でオペレーショナルカーボンをゼロにする目標を7年前倒して実現する先進的な開発です。

※1建物を省エネや創エネ仕様にし、再生可能エネルギー利用と炭素クレジットによるオフセットも組み合わせ、建築物の使用時に排出されるCO2(オペレーショナル・カーボン)を実質ゼロにするもの

※2 豪州政府系団体Wood Solutions調査(2021年6月時点)

※3 WGBC: World Green Building Council 国連グローバル・コンパクトのメンバーで、世界各地の約70のグリーンビルディング協議会からなるグローバルアクションネットワーク

未来に向けて~W350計画「環境木化都市」を目指して~

住友林業グループは2018年に「W350計画」を発表しました。創業350年となる2041年を目標に、木造超高層建築物を象徴とした、街を森にかえる「環境木化都市」の実現を目指す研究・技術開発構想です。人と社会、地球環境に貢献するため、建築構法、環境配慮技術、使用部材や資源となる樹木の開発など未来技術を実現していく計画です。

2019年に完成した木造3階建の筑波研究所の新研究棟を研究開発拠点として計画を推進していきます。

「環境木化都市」の実現に向けて

研究・技術開発構想「W350計画」は、住友林業の研究開発機関である筑波研究所を中心にまとめ、建築構法、環境配慮技術、使用部材や資源となる樹木の開発など未来技術開発へのロードマップとし、木造建築物はもとより自然資源である木の可能性を広げていきます。

環境木化都市の実現を目指す本計画を通じ、木材需要の拡大による林業再生や、CO2固定量拡大等を通じた気候変動対策につなげ、地域活性化及び地球環境との共生に貢献します。

「環境木化都市」イメージ図(筑波研究所作成)

「環境木化都市」イメージ図(筑波研究所作成)

W350計画の成果の一部を社会実装

住友林業の筑波研究所新研究棟に採用されている木構造に関する新技術の一つであるポストテンション耐震技術が、住友林業が設計・施工を請け負った「上智大学15号館」に採用されました。

上智大学15号館は、このポストテンション耐震技術を導入した耐力壁を採用し、壁長を元の計画の1/4にすることで、開放的な空間実現とコスト削減に貢献しました。また、耐力壁は鉛直荷重を負担しないため、躯体の木をあらわにすることができ、木質内装による利用者の快適性・生産性向上に寄与します。国産材を使用した木造3階建ての耐火構造で、原材料の調達、その輸送、材料の加工など、建築等の過程で出るCO2の排出を削減します。当施設の建設は「街を森にかえる」ことにつながり、SDGsの達成、脱炭素社会の実現に貢献します。

今後の展開として、2022年に米国で実施される、ポストテンション耐震技術を用いた10階建て木造ビルの実大振動台実験に参画し、知見を広げていきます。

※ 耐力部材に通した高強度の鋼棒やワイヤーロープに引張力を与えることで部材間の固定度を高める技術

上智大学 四谷キャンパス15号館概要

  • 建築地:東京都千代田区麹町六丁目16番、17番、18番の各一部
  • 建築面積:163.05m2(49.32坪)
  • 延床面積:478.35m2(144.69坪)1F:154.43m2 2F:163.05m2 3F:160.87m2
  • 構造:木造3階建 耐火構造 *ポストテンション耐震技術、木ぐるみFRを採用
  • 用途:学校、飲食店舗
  • 設計:住友林業株式会社 建築市場開発部(現 建築事業部)
  • 施工:住友林業株式会社 建築市場開発部(現 建築事業部)
  • 工期:着工 2021年5月 竣工 2022年4月

住宅・建築事業の住宅商品における国産材の利用

住友林業の家は、主にBF(ビッグフレーム)構法、及びMB(マルチバランス)構法による住宅です。2021年度、この2つの構法における一棟あたりの構造材及び羽柄材の国産材比率は、BF構法では50%、MB構法では71%(モデルプランにて計算)となりました。