人権

人権尊重の取り組み

基本的な考え方

住友林業グループでは、2019年7月より住友林業グループ人権方針を定めるとともに、国連グローバル・コンパクトやWBCSD(持続可能な開発のための世界経済人会議)等へ参加し、国際人権章典(世界人権宣言と国際人権規約)、国際労働機関(ILO)中核的労働基準、国連グローバル・コンパクトの10原則、及び国連のビジネスと人権に関する指導原則を尊重しています。また、これら国際規範をもとにした「住友林業グループ倫理規範」において人間尊重と健全な職場の実現を掲げています。女性、子ども、先住民、マイノリティー、社会的弱者を含む、あらゆる人びとの人権を尊重するとともに人種、民族、国籍、性別、宗教、信条、障がいの有無、性的指向・ジェンダーアイデンティティーなどによる差別を一切しない旨を定め、強制労働、児童労働についても一切容認していません。

また、ビジネスパートナーに対しても同内容を含む方針の浸透を図り、適宜調査を実施しています。さらに、人権デューディリジェンスの実施及び人権リスクへの対応を通じ、人権リスクの把握と低減に努めています。

住友林業グループ人権方針

住友林業グループは、公正、信用を重視し社会を利するという「住友の事業精神」に基づき、人権の尊重をすべての活動の基本原則と考え、当社グループの事業に関わるあらゆる人々の人権を尊重します。

住友林業グループ人権方針(以下、本方針)は、当社グループの経営理念、行動指針、倫理規範、調達方針等を人権尊重の観点から補完し、当社グループの人権尊重への考え方をより明確なものとするために制定しました。

  1. 人権尊重のコミットメント
    住友林業グループは、国連ビジネスと人権に関する指導原則に基づき、世界人権宣言、国際人権規約(市民的及び政治的権利に関する国際規約及び経済、社会、文化的権利に関する国際規約)、国際労働機関(ILO)「労働における基本的原則及び権利に関する国際労働機関(ILO)宣言」などの国際規範で定義される人権を尊重し、事業を展開する各国の関連法令の順守を徹底します。
    法令と国際規範に乖離がある国や地域においては、可能な限り国際規範を尊重し優先とする取り組みを目指します。
  2. 適用範囲
    本方針は、住友林業株式会社及び連結子会社を範囲として適用するものです。
    また、当社グループの事業に関連するビジネスパートナーやその他の関係者が人権に対する負の影響に関連している際には、当社グループとして本方針に基づき、これらのパートナーや関係者に対し、人権を尊重し、侵害しないよう求めます。
  3. 人権尊重への取り組み
    ●人権デュー・ディリジェンス
    住友林業グループは、人権デュー・ディリジェンスの仕組みを構築し、これを事業に必要なプロセスとして組み込み、継続的に実施していきます。
    人権デュー・ディリジェンスとは、潜在的または実際の人権リスクを評価・特定し、そのリスクを防止または軽減するための措置を講じるものであり、この仕組みを構築し実施していきます。

    ●救済
    住友林業グループの事業が、人権に対する負の影響を直接的に引き起こしたり、あるいはこれに関与したことが明確である場合、社内外のしかるべき手続きを踏まえ、その救済に取り組みます。
    また、そのために必要な苦情処理等の手続きを構築し、維持するとともに、是正措置や救済措置の実効性を継続的に評価していきます。

    ●教育
    住友林業グループは、本方針が住友林業株式会社及び連結子会社すべての事業活動に組み込まれるようにするため、役職員、従業員等に対し、定期的かつ適切な教育を行います。

    ●ステークホルダーとの対話
    住友林業グループは、人権に対する潜在的リスク、及び実際の影響に対する措置等について、関連するステークホルダーとの対話や協議を行っていきます。

    ●情報開示
    本方針に基づく取り組み、潜在的及び実際の人権への影響に対する当社グループの対応についての説明責任を果たすため、適切に情報開示、報告を行います。

代表取締役 社長 光吉 敏郎

(別表)

住友林業グループにおける
人権対応重点課題

国際規範で定義される人権における当社グループにおける重点課題は下記のとおりです。なお、この重点課題は、当社グループの事業や社会情勢の変化に基づき、適宜適切に見直すものとします。

<差別の禁止>

  • 性別、年齢、国籍、民族、人種、出身地、宗教、信条、障害の有無、性的指向、性自認等を根拠としたあらゆる差別の禁止

<労働者の権利>

  • 児童労働、強制労働の禁止(外国人・移民労働者を含む)
  • 結社の自由と団体交渉権の尊重
  • 低賃金労働(最低賃金、生活賃金を下回る労働)の防止
  • 長時間労働の防止
  • パワーハラスメント、セクシャル・ハラスメントの禁止
  • 労働安全の確保
  • 労働者の健康(メンタルヘルスを含む)の確保

<事業に関連する脆弱な人々への権利尊重>

  • 事業を行う地域に関連する地域住民、先住民族の権利尊重
  • 女性、子ども、マイノリティ、高齢者等の人々の権利尊重
  • 将来世代が保有する環境権への配慮(持続可能な森林管理等)

<プライバシー>

  • 顧客、従業員を含めた個人情報の保護を含むプライバシーの尊重

デューディリジェンスの実施及び
重要リスクへの対応

住友林業グループは、人権デューディリジェンスのしくみを通じて、人権への負の影響を特定し、その防止、または軽減を図るよう努めています。

住友林業グループにおける
サステナビリティ実態調査

2012年度からグループ各社のサステナビリティの取り組みについてサステナビリティ実態調査を毎年実施し、人権についても各社の状況を把握、その結果はESG推進委員会を通じて取締役会に報告するとともに改善を行っています。2021年度は、主な国内外グループ会社59社(国内29社、海外30社)の状況について、人権研修の実施や救済窓口の設置状況の調査を行いました。結果として、人権研修の実施が50社、救済窓口の設置が47社、リスク緩和の措置が56社で行われていることを確認しました。 また各社調達先に対しては、アンケート調査とヒアリングを通じ、人権侵害の未然防止に努めています。

この調査による2021年度の当社倫理規範に関する人権に対する違反件数は0件でした。

サステナビリティ調達による人権の尊重

住友林業グループは、人権や労働者の基本的権利の擁護や腐敗防止を調達先に求める「住友林業グループ調達方針」に基づき、公正で責任ある調達活動を行っています。とりわけリスクの高い輸入材の調達については、2年間で200を超える全ての仕入先に対して、供給品やその原材料の調達地域に労働者及び地域住民の権利侵害が存在しないかどうか、また存在する場合、労働者及び地域住民の権利に配慮した伐採が行われていることを確認しているかどうかを含むサステナビリティに関するアンケート調査を行い確認しています。さらに、リスク区分によりリスク緩和措置が必要と認められる対象サプライヤーに対しては、現地踏査やヒアリングを実施するなどして確認しています。

重要な人権リスクの特定と対応

人権デューディリジェンスの取り組みを強化すべく、事業本部ごとにバリューチェーン上のステークホルダーにおけるリスクのマッピングを行い、おのおのの重要な人権リスクの洗い出しを行っています。

資源環境事業では「先住民やコミュニティが有する土地の権利侵害及び関連法令への対応」「山林での労働安全衛生管理(危険作業など)」、木材建材事業では「先住民が有する土地の権利侵害」「工場での労働安全衛生管理(火災や粉じん爆発など)」「木材伐採地での児童労働(危険作業含む)」、住宅・建築及び海外住宅・不動産事業では「移民労働者の労働条件(強制労働など)」を重要リスクとして特定しています。また、新型コロナウイルス感染症感染拡大の影響をあらたなリスク要素とし、2020年度にはマッピングの見直しを行いました。

特定されたリスクについてはそれぞれの事業ごとにリスクの低減・是正のための対応を行っています。2020年度は、例えば、特定された重要リスクのうち、特に重要度が高く国内で大きな社会的注目を集めるテーマである「外国人技能実習生の人権尊重」について、協力工務店及び技能実習生の監理団体に対し第三者機関によるヒアリング及び書類確認、外国人技能実習生へのインタビューを行いました。結果として、人権侵害等につながる大きな問題は確認されませんでした。2021年度は、「先住⺠族・コミュニティの権利尊重」に関して、一層のリスク低減を図り、事業展開地域のステークホルダーとの更なる良好な関係を築くため、海外の資源環境事業におけるグリーバンスメカニズムの運用状況について取り組みの確認・是正点の洗い出しを行いました。第三者機関によるオンラインを通じたヒアリングの結果、インドネシア、パプアニューギニア、ニュージーランドの3つの海外植林の現場において適切なグリーバンスメカニズムの運用により、行政機関・コミュニティとの継続的なコンサルテーションが行われていることが確認されました。一方で、対外的な情報開示の拡充、ライツホルダーとの対話による仕組みへの反映等について取り組みの改善が必要であることがわかりました。

今後はさらに予防、回避、軽減、是正するための対応策、実施計画をステークホルダーごとに定め、PDCAを回し、取り組みの向上を図っていきます。

住友林業グループ
人権インパクト分析マップ

住友林業グループ 人権インパクト分析マップ

海外植林における人権の尊重

インドネシアの西カリマンタン州における植林事業では、2012年に世界銀行のグループ機関であるIFC(International Finance Corporation:国際金融公社)とアドバイザリー契約を締結しました。近年重要視されている「保護価値の高い森林(High Conservation Value Forests: HCVF)」の指標である先住民の権利や文化遺産の保護の考え方に沿って、事業地の土地利用計画が適切に実施されているか、また地域住民の生活への配慮が十分であるかなどについて、IFCと共同で事業地内の調査を実施しました。

2013年には調査の内容と結果を共有するため、そして2015年には植林木の伐採に先立って事業内容、環境への配慮についての理解を深めるために、ステークホルダー(地域住民、周辺の企業、学識者、NGO、政府関係者)を招いて公聴会を開催するなど、人権に配慮した植林事業を進めています。

2018年にはIFCの協力を得て、「苦情処理メカニズム(Grievance mechanism)」をワナ・スブル・レスタリ社(WSL)/マヤンカラ・タナマン・インダストリ社(MTI)にて構築しました。このメカニズムには2通りの苦情処理経路があり、一つはWSL社/MTI社に地域住民が意見を書面で伝える方法、もう一つはWSL社/MTI社が地域住民を訪問し、意見を収集する方法です。両経路とも7営業日以内に地域住民に対してWSL社/MTI社経営陣承認に基づく回答を行っています。2022年よりオペレーションを開始するクブ・ムリア・フォレストリ社(KMF)においても同様の取り組みを開始します。

また、パプアニューギニアのオープン・ベイ・ティンバー(OBT)社においても、社内外を問わず地域の誰もが投函できる目安箱を設置しています。2020年に投稿された意見として、例えば賃金に対する要望が数件ありましたが、内容を精査し対応が必要な場合には適切に対応しています。従業員だけでなく、周辺住民等からの相談なども受け付けているため、自分の意見を会社に伝える手段があることで会社に対する信頼の向上にも役立っています。

さらに、ニュージーランドのタスマン・パイン・フォレスト(TPF)社では、近隣住民や協力業者等のステークホルダーと重要なやりとりがあった場合は、ステークホルダーレジスターに登録しています。過去の経緯を把握した上でコミュニケーションをとることで、円滑な関係性の構築の一助としています。

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人権研修

住友林業グループでは、国内の新入社員研修で人権に関する講義を行っています。また、住友林業では、新任主管者研修においても人権の講習を取り入れています。さらに一人ひとりが人権を尊重し、差別のない職場づくりに向けて取り組めるよう、社内WEBサイトが利用できるグループ全社員にe-ラーニング「仕事+人権」講座の受講(テスト80点以上で修了)を毎年義務付けています。この講座は、障がい者や外国人の他LGBTなどに対する理解も促す内容で、2021年度は11,760名(単体5,229名、グループ6,531名)が受講しました。今後も、e-ラーニングを活用して社員の人権意識をより高めていきます。

米国での取り組み

米国では、連邦法や州法によって人種、性別、宗教、出自、健康状態等を理由とした雇用上の差別が禁止されています。当社グループの米国各社においても、従業員ハンドブックへの記載などを通じて機会均等・差別禁止に関する会社の姿勢・理念の共有に努めています。

ハラスメントの防止

住友林業では、就業規則の中で、役職員が守るべき規則の一項目(服務規律)としてセクシュアルハラスメント、パワーハラスメントやマタニティハラスメントを禁止する規程や懲戒基準を定め、会社としての方針を明確にしています。また、「住友林業グループ倫理規範」においても、各種ハラスメント行為を禁止し、社内WEBサイトや社員手帳・リーフレットで周知している他、人権・倫理研修における、事例を交えた情報提供、定期的な啓発通知の実施など社内啓発に努めています。さらに、半年ごとに人事部長名で全社員宛てにハラスメントの撲滅を訴える注意喚起のメールを配信しています。

2000年度から、人事部に設置した「ハラスメント相談窓口」 や社内外に設置した相談窓口「コンプライアンス・カウンター」で、相談や苦情に適切に対処できる体制を整えています。また、関係者全員のプライバシーの保護、相談者・協力者への不利益な取り扱いの禁止などを徹底しています。

国内外のグループ会社においても、各社ごとに職場でのハラスメント・差別行為に関する相談窓口設置などの対策を実施しています。

住友林業では、新任主管者研修でハラスメントの講習を取り入れています。また、グループ会社も利用できるe-ラーニングを活用し、ハラスメントの基礎知識と防止策の講座を通じて社員の意識向上に取り組んでいます。