気候変動への対応

グリーンビルディングへの取り組み

グリーンビルディングへの取り組み

住友林業グループは、脱炭素社会の実現に向けて、ネットゼロカーボンを目指す中大規模木造建築の開発を推進しています。

プロジェクトにあたっては、木材の炭素固定効果などによる環境性能に加え、利便性に優れた立地、従業員の健康や働きやすさにも配慮した設計を推進しています。また、環境認証LEED※1や健康配慮型オフィス認証のWELL※2などグリーンビルディングに関する環境認証の取得を目指しており、社会的・環境的な付加価値の高いオフィスを提供していきます。

※1 USGBC(US Green Building Council)が開発及び運用を行っている、建物と敷地利用についての環境性能評価システム

※2 WELL Building Standard。人々の健康や快適性に着目した建築物の評価システム。ウェルビーイングに影響を与える機能について、10の コンセプトに基づき書類審査と現地審査を行い、獲得スコアにより4段階で認証する

英国での環境配慮型オフィス開発事業

住友林業は、2022年2月、英国の不動産開発業者Bywater Properties Limitedと合弁会社を設立し、ロンドンで木造6階建て環境配慮型オフィス開発事業に参画しました。

本プロジェクトにおける、建設にかかる原材料調達から加工、輸送、建設、改修、廃棄時のCO2排出量(エンボディード・カーボン)の試算は単位床面積あたりで約543㎏CO2e/㎡です。当物件では王立英国建築家協会(RIBA※1)が設定する2030年目標値750㎏CO2e/㎡に対して、5年前倒しの2025年に目標比約28%の削減が見込まれており、英国においても先駆的な取り組みです。また、建物を省エネや創エネ仕様にし、再生可能エネルギー利用も組み合わせることで、建物使用時のCO2排出量(オペレーショナル・カーボン)の削減にも取り組んでいます。

本プロジェクトでは、環境認証のBREEAM※2、健康配慮型オフィス認証のWELL、スマートビルディング認証のWIRED SCORE※3で最高レベルを取得する予定です。

住友林業は脱炭素社会の実現に向けて、今後も先進的な環境対応の知見を深め、海外中大規模木造開発に取り組んでいきます。

※1 Royal Institute of British Architects。英国の有力建築家によって構成される団体。建築においてサステナビリティを実現するための設定・設計・評価ガイドラインを策定する等の活動を行う

※2 BRE Environmental Assessment Method。英国建築研究所BRE(Building Research Establishment)と、エネルギー・環境コンサルタントのECD(Energy and Environment)によって1990年に開発された、建築物の環境性能評価手法

※3 不動産におけるデジタル接続性をランク付けする評価システム。36か国で導入されており、インターネット接続の快適さや安定性、利用環境等の指標を元に評価している

英国_外観(秋 公園側より

米国ジョージア州でのESG配慮型オフィス開発事業

住友林業の100%子会社のクレセントは、Daibiru USA, LLCと2022年12月、米ジョージア州アトランタ近郊でESGに配慮したオフィスを開発することを決定しました。

3階建ての木造オフィス棟と駐車場棟を新築するほか、既存校舎・体育館の2棟をオフィスに改修します。既存建物の改修・再利用により解体・新築する場合に比べCO2排出を抑制します。環境認証LEEDやウェルネス認証Fitwelの取得も目指し、ESGを重視するテナントに社会的・環境的な付加価値の高いオフィスを提供していきます。

※ 米国連邦政府調達局(GSA)と疾病管理予防センター(CDC)が主導で開発した建物利用者の健康、労働環境等を評価・認証する仕組み

ニュースリリースに掲載のもの

米国テキサス州でのESG配慮型オフィス開発事業

住友林業は、2022年12月、飯野海運と熊谷組と共に、米テキサス州ダラス近郊で木造7階建てESG配慮型オフィスの開発に参画しました。3社は米大手デベロッパー
Crow Holdingsと特別目的会社(SPC)を設立し、マスティンバー建築※1の大規模木造オフィスを建設します。

CO2排出量を見える化するソフトウェア「One Click LCA※2」による試算では、RC造と比べ建てるときのCO2排出量を約2,600トン削減できるほか、建材等に用いる木材が約3,800トンの炭素を固定します※3。マスティンバーの採用により建設現場での作業を効率化し、RC造に比べ工期短縮も見込めます。

また、この建物は、環境認証LEEDやウェルネス認証Fitwel※4の取得を目指しESGを重視するテナントに環境的・社会的な付加価値の高いオフィスを提供していきます。

※1 複数の木材を組み合わせて成形した比較的質量の大きいエンジニアードウッドを利用した建築

※2 住友林業が日本単独代理店契約を締結したソフトウェア。建設にかかる原材料調達から加工、輸送、建設、改修、廃棄時のCO2排出量(建てるときのCO2排出量)を精緻に算定できる

※3 建てるときのCO2排出量はオフィスと駐車場棟を対象に試算。工事図面をもとにフレーム、カーテンウォール、基礎など主要な構造部分を評価。炭素固定量はオフィス棟を対象に試算

※4 米国連邦政府調達局(GSA)と疾病管理予防センター(CDC)が主導で開発した建物利用者の健康、労働環境等を評価・認証する仕組み

マスティンバーS_SouthstoneYards外観

豪州メルボルンにて最高層の15階建木造オフィス開発事業に参画

住友林業はNTT都市開発株式会社と共に、グローバルに展開する大手ディベロッパー Hines社を通して、ネットゼロカーボンビル※1の実現を目指す取り組みを開始しました。

この足がかりとなるプロジェクトが豪州メルボルン市近郊コリンウッドで建設する大規模木造オフィスです。地上15階、地下2階のRC・木造混構造(6階超が木造)で、木造オフィスでは豪州メルボルンにおいて最高層※2となる見込みです。2023年の竣工を予定しています。

本プロジェクトでは豪州の環境認証Green Starの最高位6 starに加え、豪州基準のCarbon Neutral Standard for Buildingに基づくネットゼロカーボン認定の取得を目指しています。また、構造躯体で約4,000m3の木材を使用し約3,000トン(CO2ベース)の炭素を固定すると試算しています。この固定量を含めると、建物の建築時(建材の原材料調達・製造・建築・解体などの過程)に排出されるCO2(エンボディード・カーボン)は、全構造をRC(鉄筋コンクリート)造とする場合と比較して約4割削減したことと同等の効果があります。

本プロジェクトは炭素固定機能がある木材の有効活用と建物の省エネや創エネ、再エネ利用を組み合わせ、WGBC※3が掲げる、
2030年までに全ての新築の建物でオペレーショナルカーボンをゼロにする目標を7年前倒して実現する先進的な開発です。

※1 建物を省エネや創エネ仕様にし、再生可能エネルギー利用と炭素クレジットによるオフセットも組み合わせ、建築物の使用時に排出されるCO2(オペレーショナル・カーボン)を実質ゼロにするもの

※2 豪州政府系団体Wood Solutions調査(2021年6月時点)

※3 WGBC: World Green Building Council 国連グローバル・コンパクトのメンバーで、世界各地の約70のグリーンビルディング協議会からなるグローバルアクションネットワーク