
お客さまのご要望を伺う前に、あえて何も情報を持たずにその土地と向き合うことを大切にしています。そこで感じる素の感覚、例えばここから見える景色、ここにテラスを計画したら心地よいのではないか、外部情報が入る前にまずはまっさらな状態で土地の魅力を探ります。その後初めてお客さまの情報やご要望を受け止め、整理し、客観的に冷静にデザインを思考します。デザインはできるだけ素直に、単純に、素で感じた感覚を大切に、審美性と機能性を意識します。美しさで「住みたくなる」、使いやすさで「住みやすくなる」が理想です。
建築士 齋藤 裕美子
東京都Aさま邸
土地は南北に長く広がる敷地です。初めて土地と向き合った際、奥行きの深い敷地の魅力を最大限に活かしたいと感じました。その後お客さまとさまざまなお話をし、プライバシーに配慮した中庭の計画、ご家族が多くの時間を過ごすダイニング・キッチンをメイン空間とする計画をご提案しました。南北に広がる庭に面した大きな窓と吹抜けから注ぐ光で開放的なLDKと中庭に一体感が生まれました。一方で、外からの視線を遮るように道路側は閉じることで、落ち着いた印象も兼ね揃えています。

東京都Aさま邸
土地は南北に長く広がる敷地です。初めて土地と向き合った際、奥行きの深い敷地の魅力を最大限に活かしたいと感じました。その後お客さまとさまざまなお話をし、プライバシーに配慮した中庭の計画、ご家族が多くの時間を過ごすダイニング・キッチンをメイン空間とする計画をご提案しました。南北に広がる庭に面した大きな窓と吹抜けから注ぐ光で開放的なLDKと中庭に一体感が生まれました。一方で、外からの視線を遮るように道路側は閉じることで、落ち着いた印象も兼ね揃えています。

ご家族が多くの時間を過ごすダイニング・キッチンをメインの空間としました。中庭に面した贅沢な空間で心地よい時を過ごします。
人目を引くデザインよりも街並みに自然に溶け込むデザインを意識して設計しています。品良く主張し過ぎず、よく見たら「素敵だな」、「心地よいな」と感じられることが理想です。細部の納まりにこだわりを持つことで生まれる心地よさを大切に、丁寧に設計する。設計士のこだわりは誰も気づかないくらいがちょうどよいと思っています。

家の中心に広がるダイニング・キッチン。南北に伸びる敷地を最大限に活かし、大きな開口部からの採光と中庭の緑で内外の一体感を持たせています。
前職でインテリアコーディネーターを経験し、プランニングの段階からインテリア・エクステリアを同時にデザインする大切さを痛感しました。内部・外部もプランと一緒に検討することではじめて住まいのデザインが完成すると思います。窓ひとつのデザインも、景色、外観、配灯、カーテンすべてにつながります。プランの提案の際は、インテリア・エクステリアの具体的なエレメントも同時にプレゼンし、トータルでご提案するように心がけています。

中庭を臨む エントランス。間接光や視線、プライバシーに配慮し窓の高さは慎重に決めました。大判タイルを演出したおもてなし空間は、端正な住まいを予感させます。
設計士は一人で家づくりをすることができません。営業、インテリア、エクステリア、生産、工事店、各セクションがよい仕事をして初めてよい家が生まれます。設計士にできることは、図面に全ての想いを載せること。だからこそ誰もが見やすく分かりやすい図面、想いが伝わる図面となるよう心掛けています。丁寧なコミュニケーションを大切に、家づくりに関わる全ての担当とイメージを共有し、同じ想いで仕事をすることがよい家づくりにつながると思っています。

シャープな印象の壁面タイルはダイニングテーブルの脚色と合わせてシックな色味で統一しました。

ご来客が宿泊される落ち着いた雰囲気の客間。格子の建具が引き立つよう室内は無駄なラインをなくし、シンプルでモダンな印象に仕上げました。

設計を終えて
初めてAさまにお会いした際、敷地の魅力、活かし方のお話を快く受け入れてくださりうれしく感じたことを思い出します。さまざまな会話の中で、「庭を楽しむ」「プライバシー」「素敵なアイランドキッチン」そんなキーワードがポイントとなりました。ここで過ごす家族の時間を何よりも大切に考える家族想いのご主人、奥さま。素敵なAさまご家族とご一緒に、設計の機会をいただけましたことを心より感謝しています。
取得資格
一級建築士、インテリアコーディネーター
これから住まいづくりをする方への
メッセージ
住まいはご家族のための居場所です。自分にとって一番心地よく、自分らしくいられる場所であることが理想です。デザインの話だけでなく、飾らずにありのままの生活をお話しください。周囲の情報に惑わされてしまい、自分らしさを見失ってしまうお客さまもいらっしゃいます。初めは見た目から生まれるデザインに惹かれてしまいがちですが、最終的には心地よさから生まれるデザインが最高の居場所づくりにつながると思っています。