
空間から感じる直感、お客さまとのコミュニケーションから感じる直感をとても大切にしています。建物は出来上がるまでどうなるかわかりません。今はまだ見えないものを手繰り寄せながら進んでいく中で、頼りにするものは直感です。家を建てるという貴重な機会の場で、直感というとあいまいな印象を受けるかもしれません。しかし、実際はその人の経験や知識、教養、趣味嗜好、あるいは思想や哲学のようなものに基づいて直感として現れるのではないかと思います。建築においてもそうで、このお客さまにはこの床材、インテリアが合うのではないか、という直感を大事にしています。結果的に、お客さまに気に入っていただけたときにはとてもうれしく思います。
建築士 岡田 有司
兵庫県Mさま邸
高台に位置し、視線の抜けが気持ちのよい敷地だったため、それを生かすプランにしたいと思いました。ご要望は「2台分のビルトインガレージと、車を眺められる空間が欲しい」というシンプルなもの。ご提案したものを全てそのまま取り入れてくださり、大きな信頼の上に成り立った家だと自負しています。お客さまと対話を積み重ね、お好みを汲み取り丁寧につくりあげました。

兵庫県Mさま邸
高台に位置し、視線の抜けが気持ちのよい敷地だったため、それを生かすプランにしたいと思いました。ご要望は「2台分のビルトインガレージと、車を眺められる空間が欲しい」というシンプルなもの。ご提案したものを全てそのまま取り入れてくださり、大きな信頼の上に成り立った家だと自負しています。お客さまと対話を積み重ね、お好みを汲み取り丁寧につくりあげました。
抜け感のある明るい空間です。白い上質な空間に、2階のレッドシダーの天井が映えます。
ガレージは車を眺めるホビールームと玄関からのつながりを意識しました。車がよく見えるようにサッシも最大限大きく取っています。
2階の吹き抜けから見下ろす玄関ホール。黒いタイルときらびやかな照明がモダンな印象を与えます。
何気ない対話の中でお客さまが空間をイメージしながら、「心地よさそう」「かっこよさそう」と心が弾むような予感めいた瞬間を逃さないようにしています。何が心地よいか、ベストかはお客さまごとに異なりますので、自分の好みよりもお客さまの意図を汲み取ることを大切にしています。一番大切にしていることに耳を傾けながら、その人の感性に合うよう、設計担当としての経験をもとに目に見えないものを手繰り寄せていきます。
外と中のつながりを意識してフラットに仕上げたテラス。軒裏には室内と同じレッドシダーを、床も同様にタイルを貼り、連続性を持たせました。
リビング・ダイニングは天井をレッドシダー、床をマホガニーで仕上げました。天井が美しく見えるよう、照明も最小限に抑えています。
浴室に続く洗面室は、白で統一しシンプルにまとめています。
好きな建築家の言葉に、「必然性がないと空間は成り立たない」というものがあります。私自身も設計を行う上で、必然性を意識するようにしています。本当にここに照明が必要なのか、意味のない装飾をできるだけ避けて、最小限の要素と素材でシンプルに仕上げることで空間を美しく見せるようにしています。
インテリアは奥さまとインテリア担当者が一つひとつお気に入りを探し、全て新しく揃えました。高級感を醸しながらも、木質感あふれる落ち着いた空間です。
ゆったりとした広さの寝室は、天井の一部にレッドシダーを張り、間接照明を配しました。やわらかな光が安らぎを生み出します。
ガレージの奥には、人目を気にせずゆったりとくつろげるテラスを設けました。晴れた日には愛車を眺めながら、テラスでお茶を楽しめます。
家づくりで重要なもののひとつが素材です。もし、お客さまに最初にひとつだけ決めていただくとしたら、床材のご希望を聞くことからはじめます。面積を大きく占める床材は、空間の印象を左右する大切な要素となります。床材からインテリアのイメージをひとつずつ固めていくことで、その家の方向性やお客さま自身の好みがわかっていきます。素材同士のコーディネートをしながら、住まい全体をつくり上げていきます。

鮮やかな色彩と、レッドシダーの軒天井が青空に美しく映えます。

愛車を眺めながらゆったりとしたひと時を過ごせるホビールーム。

設計を終えて
ファーストプランを気に入っていただき、ほとんどそのまま、私の提案通りに進めていただけたことはうれしい反面、本当にベストな提案ができていたのか、という不安と葛藤もありました。
実際に家が完成したのをみて、イメージ通りにできあがり、お客さまにもご満足いただけて安心しました。
ご家族はもちろん、ご友人を招いての憩いの場としても活用していただいているようで、とてもうれしく思っています。
取得資格
一級建築士
これから住まいづくりをする方への
メッセージ
設計士を信頼してゆだねてほしいと思います。
今は情報が溢れ、何をしてよいのか見失ってしまう人が多いと感じています。まずは自分たちが大切にしたいことをお伝えください。最初にご要望をお聞かせいただければ、その先は設計士の提案力にぜひお任せいただきたいと思います。打ち合わせを重ねながら、お客さまが本当に大切にしたいものを形にできるよう、直感を研ぎ澄ませながらお応えいたします。