Designers File

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建築士 永井 晃
architectAKIRANAGAI建築士 永井 晃
AKIRA NAGAIAKIRA NAGAIAKIRA NAGAI
architect
DesignersNo.
個性的で美しい一棟をつくりあげる

お客さまは、さまざまなご要望をお持ちです。当然のことですが、それらは多岐にわたり、また、当初は優先順位も明確ではありません。お客さまとの対話を重ね、その価値観や想いを共有し、優先順位を分かりやすく示しながら、ご一緒に設計案をまとめていきます。
お客さまの人柄がにじみ出るような個性的で美しい一棟をつくりあげるために。

建築士 永井 晃
中庭と連続するLDK

土地からご計画されたご家族でした。規制が厳しくなく、周辺にも開発の余地があるエリアを購入されたため、将来的に周囲に高い建物が建つなど環境が変わってからも居心地のよい住まいであり続けられるように、ということから設計を始めました。現在は周辺に緑が多いため、開くべきところと閉じるべきところのバランスを入念に検討しました。

中庭と連続するLDK

土地からご計画されたご家族でした。規制が厳しくなく、周辺にも開発の余地があるエリアを購入されたため、将来的に周囲に高い建物が建つなど環境が変わってからも居心地のよい住まいであり続けられるように、ということから設計を始めました。現在は周辺に緑が多いため、開くべきところと閉じるべきところのバランスを入念に検討しました。

落ち着いた雰囲気のピットリビング
家電を隠したすっきりとしたキッチン
中庭とつながりを意識したリビング
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中庭からの気持ちよい光が差し込むLDK 。プライバシーを確保しながら光を有効に採り入れています。やわらかい光が広がるように壁面は白で仕上げました。

コンロを壁付にした換気フードのないオープンなアイランドキッチン。子どもたちやご友人と一緒に料理をすることができます。冷蔵庫やレンジなどは直接見えない配置とし、パントリーも設置。

ダイニングよりも一段下げたリビング。天井と軒をつなげ、ベンチも中庭と同じ素材にすることでつながりも演出しています。

お客さまの「色」を共有する

設計士としての作風があるとは考えていませんが、やはり使っている素材や色のバランスなどできあがってくるものには共通点があると感じています。新しいものへのチャレンジをしつつ、時流も考慮しながら、調和を考えていきます。例えば色味。こだわりの木の色味があれば、それに合わせて全体をコーディネートしていきます。お客さま自身が醸し出す色もあります。最初にお客さまの「色」を共有するプロセスから入るのは、色がお客さまの個性とつながっているからです。その後、色調のバランスなどもふまえて全体をブラッシュアップしていくことを考えます。

光の差し込む明るい中庭
ダイニングから見える中庭
段差で変化をつけた玄関
天井までのたっぷりとした玄関収納
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周辺環境の変化を受けないよう、2階まで壁を巡らせて外からの視線を遮る「閉じた中庭」を設けました。7m以上の高い壁は防音性にも優れています。

ダイニングと続くシームレスな中庭。床も同様のタイルで仕上げ一体感を演出。中央には山採りのアオダモの株立ちを配置しています。外からの視線がなく、カーテンがなくてものびのびと暮らせます。

玄関から室内までのアプローチには段差を設けることで、同じ床材でも空間として区切りを与える設計に。玄関から直接テラスに出られるため、靴を履き替える必要がなく便利です。

エントランスクロークと玄関収納は同じ素材で一塊に。扉はそれぞれ別で設けています。2つをつなげることで、長尺物の収納を可能にしています。

カタチにならないキーワードを描く

お客さまのご要望を伺っていると、明確なカタチにはならないキーワードがあります。お客さま自身も具体的に伝えられるとは限らないですが、お話を伺う中で感覚的に捉えていくものがあります。それをプレゼンやプランに落としていきながら、うまく言葉にならなかったものがサプライズ的な要素で提案できたときは、お客さまもうれしいと思いますし、この仕事の面白さを感じます。

夜も美しいダイニング
洗面コーナー
洗面・脱衣室
寝室
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ダイニングの大型照明は抜け感のあるデザインのものを選び、フランジを隠して見た目をすっきりとさせ天井を美しく見せています。

トイレと手洗いの水まわりはダイニング・キッチンの裏手にまとめています。来客のときも気にならないようにしました。

洗面室・浴室などプライベートの水まわりは、個室と同じ2階に配置しています。白いタイルと、木製の引き出しでナチュラルにまとめました。

2階の主寝室。周辺の緑が臨める抜けに対して中庭の一部にスリットを設けています。中庭の成長したアオダモが顔を覗かせます。

無駄な線を消す

不必要な線が空間に現れないようにできるだけ心がけています。そのために窓とサッシの幅や高さの条件から全体の開口部のバランスを調和させたり、タイルの割り方がどう美しく見えるかを考えたりしながら平面全体を計算することも。また敷地の高低差がある場合は、道路の傾斜に合わせて屋根形状を見た上で家全体のバランスを整えていきます。たっぷりと光が入り込むような心地よい空間をつくるために、内と外をつなげるような設計をするときも、視界を遮るものを少なくシームレスに設計することで、より広くゆとりを感じさせることができます。ミリ単位で詳細を詰め、ディテールにこだわり無駄な線がでないように調整していきます。

建築士 永井 晃
建築士 永井 晃

設計を終えて

土地を決められたときには、なんとなくこの方向だろうというイメージはありましたが、それをご家族の「色」と調和させていきました。プライバシーのこと、子育てのこと、家具やゾーニングなど、たくさんのこだわりの詰まった住まい。そのすべてを叶えるためにかなり詳細まで詰めていき、道路との関係、日当たりや風向き、周囲の建物や街並み、車や人の通行量など、敷地の特徴をしっかりとつかみ、有効に活かせたと感じています。

取得資格

一級建築士

これから住まいづくりをする方への
メッセージ

家づくりの目的やテーマがあると、より楽しんで住まいづくりができるのではないでしょうか。マンションでもなく建売でもなく、自由設計で家づくりをする意味。なぜ戸建なのか、なぜ住友林業なのかという理由がそれぞれにあると思うのです。自由設計だからこそ、ご家族内の意見が異なることもあると思いますし、敷地条件が影響することもあります。そういうプロセスも含めて楽しめるのが自由設計の醍醐味です。最初から明確なテーマがない場合でも、思わず笑いが生まれるようなコミュニケーションから、お客さまのこだわりの色を感じ取っていきたいと思います。

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