
その土地ならではのポテンシャルをどう活かしていくのか。敷地条件や周囲の環境の最大限の魅力を考えることから始めています。条件のよいところと改善したいところを読み解き、まずはメリットをどう生かせるかを考え抜きます。また同じ敷地条件であっても、お客さまの価値観に合わせて間取りやデザインは異なってきますので、お住まいになる方の暮らしやお好みを汲み取りながら提案しています。
建築士 小玉 祐輝
広島県Fさま邸
生涯暮らしていく家をぜひ任せたいということで、土地探しから始まったFさま邸。個性的でかっこいい外観や一味違う内装の平屋をご要望されたことから、和の雰囲気を生かしつつ、四季の移ろいを感じられるモダンなデザインで表現しました。

広島県Fさま邸
生涯暮らしていく家をぜひ任せたいということで、土地探しから始まったFさま邸。個性的でかっこいい外観や一味違う内装の平屋をご要望されたことから、和の雰囲気を生かしつつ、四季の移ろいを感じられるモダンなデザインで表現しました。
木質感あふれる大空間のLDK。北欧の照明が空間と調和します。床は無垢のニレ。天井は床よりワントーン明るいタモを選びすっきりと美しい空間に。
LDK とゆるやかにつながる畳コーナー。天井は連続するタモの突板仕上げです。天井に折りあげた照明ボックスからのライトが美しく映えます。
家づくりは「間取りをこうしていきましょう」という話ではないと思っています。心地よい暮らしとは、住まわれる方の価値観に合ったデザインになっているかどうかで決まってきます。日頃の生活において解決したいお困りごと、これからの新しい暮らしの中で実現していきたいことなども伺い、ご趣味や車、身に付けられているものからも感じられる暮らしのテーマを捉えながら提案をするようにしています。
外に屋根付きのテラスを設けた開放的なリビング。眺望を妨げないように大型の窓を採用しています。
天井を折りあげた照明ボックスはダウンライトを隠し、木の天井をすっきりと美しく見せます。
キッチンも木質感のあるものに。ステンレスの天板が木と調和をし、開口部からの光が明るく差し込みます。
住まいの美しさは細部に宿ると考えています。特に天井や窓、ヌックなどの開口部の周りはきれいにつくることを心がけています。天井は素材自体も大事な要素ですが、そのほか照明や換気口など、バラバラと配置してしまうとそれだけで美しさが削がれてしまいます。また窓の隣に合わせる壁ひとつをとっても、連続するデザインの流れが途切れないように細かい繋ぎまで配慮します。開口部の配置やつくりをすっきりとさせるのは、長く暮らしていく住まいを美しく保つ秘訣です。
美術館のように個性的でモダンな平屋。片流れの屋根と深い軒のシンメトリックな外観です。
リビングの隣には小上がりの畳コーナー。ゆっくりと休んだり、客間として使用します。
似たような間取りであっても、外観で印象が随分と異なってきます。使用する部材の素材自体は限られてくることがあっても、そのお客さまだけの個性が光るような、今までにはなかったようなデザインを心がけています。シルエットの美しさにはこだわります。敷地条件とも折り合いをつけながら、玄関の位置や窓のつくりによって外部からの視線を遮りつつ、開口部の角度によって眺望を楽しめるような広がりのある空間をつないでいきます。

畳コーナーの植栽を照らすあたたかみのある照明。灯りの広がりをあえて抑えたダウンライトを使用しています。

ヌックは遊び心あふれる空間。ダイニングを補うベンチの役割も担います。窓辺にはプリーツスクリーンを設置し、木の影が美しく映えるよう工夫しています。

設計を終えて
Fさまが住まわれてからしばらく経ちますが、いつ伺ってもきれいにされており大切に住まわれていることが伝わってきます。仕事帰りに目に映る外観も玄関も気に入っているというご主人、無垢の床が素足に気持ちよく家に入ってきたときの木の香りに癒されるという奥さま。ご家族それぞれにお好きな場所を感じていただいています。ご要望が叶った暮らしをされていることを、設計士としてとてもうれしく思っています。
取得資格
一級建築士
これから住まいづくりをする方への
メッセージ
ぜひ、ご自身の価値観や暮らしの中で大切にしていることを共有いただければと思います。具体的に思い浮かばなくても、たとえばテーマやキーワードでもよいです。また「アウトドアが好き」、「お菓子づくりが好き」などご趣味の話を聞かせてください。お客さまと二人三脚で家づくりをしていくパートナーとして、ご要望を叶えながら理想の暮らしを実現していきたいと思います。