再生可能な資源である木を活用し多様な事業を通じて持続可能で豊かな社会の実現に貢献します
近年、世界各地で大規模地震が発生しており、住宅および生活インフラの迅速な復興体制の構築が切実に求められています。地震大国である日本では、特にレジリエントな社会の構築が急務となっています。また、地球温暖化が一層進むことで、豪雨や猛暑のリスクは今後さらに高まることも予想されています。住友林業グループは、国内外において健全な森林を維持・管理することで気候変動を抑制する森を育成するとともに、良質な住宅供給を通じて人々の安心安全な暮らしをサポートするなど、持続可能な素材である「木」を軸としたさまざまな事業を展開しています。
具体的には、2030年に向けた長期ビジョン「Mission TREEING 2030」を策定し、「循環型森林ビジネスの加速」「ウッドチェンジの推進」「脱炭素設計のスタンダード化」の3つを柱に、森林経営から木材・建材の流通・製造、木造建築、木質バイオマス発電に至る木や森の付加価値の向上に資する事業を進めています。特に「循環型森林ビジネスの加速」では、2050年の脱炭素社会実現に貢献する取り組みの一つとして、森林ファンドを組成し、グローバルな規模で気候変動対策に取り組んでいます。2023年には第一号ファンドの組成・運用を開始し、質の高いカーボンクレジットの創出に加えて、生物多様性の維持や水資源の保全など、森林価値の顕在化を図っています。
当社グループには「住友の事業精神」を表す言葉の一つである「自利利他公私一如」、すなわち、「住友の事業は、自身を利するとともに、国家を利し、かつ社会を利するものでなければならない」という考えが脈々と息づいています。当社グループの歴史は、1691年の別子銅山開坑に伴い、燃料や坑木となる木材の調達に携わったことに遡りますが、過度な伐採や銅の製錬による煙害などで荒廃した周辺の森林を再生させるために、1894年には「大造林計画」を策定し、大規模な植林を実施、植生を回復させました。
公正、信用を重視し社会を利するという「住友の事業精神」は、創業以来330年余を経た現在も、経営理念や行動指針に受け継がれています。
当社グループは、住友の事業精神に基づく「公益との調和」を重んじ、先人たちから引き継いだ精神を今後も守り伝えていきます。先行き不透明な事業環境ではありますが、再生可能な資源である木を活かして、ステークホルダーの皆様と共にさまざまな社会課題の解決に貢献するビジネスを創出し、持続可能で豊かな社会の実現に貢献してまいります。