ニュースリリース(2007年)

ニュースリリース一覧へ戻る

2007年2月21日

<参考資料>
■平成16年3月30日付、住友林業株式会社 ニュースリリースより
バイオ増殖した秀吉由来の醍醐寺『土牛の桜』の花開く
~組織培養によるシダレザクラが世界で初めて開花~

 住友林業株式会社は、2000年(平成12年)4月、豊臣秀吉が執り行った「醍醐の花見」で有名な京都市伏見区・真言宗醍醐派総本山醍醐寺に植栽されている『土牛(とぎゅう)の桜』(シダレザクラ)から組織培養によりクローン苗を大量に増殖する技術の確立に成功しましたが、その後増殖した苗は順調に生長し、この度開花が確認されました。バイオテクノロジーで効率的に増殖されたシダレザクラが開花するのは世界で初めてのことです。

 当社の100%出資の総合緑化専門企業である住友林業緑化株式会社が1998年に醍醐寺境内の緑化工事を受注し、サクラを含む樹木の整備工事に着手しました。その中には、樹勢が衰え枯死の危険性がある『土牛の桜』の樹勢回復と後代稚樹の養成が含まれており、当社筑波研究所でその研究に取り組む事となりました。

 シダレザクラはエドヒガンザクラの仲間で、サクラの中では長寿な種であり、各地に樹齢100年以上の大木が現存しています。このような木は、歴史的な建造物と同じように文化的な価値が高く、その保存が望まれています。しかし、樹木は樹齢が高くなるにつれ、挿し木や接ぎ木といった従来技術での増殖が難しくなるため、バイオテクノロジーを用いたクローン増殖方法の開発が望まれていました。シダレザクラを組織培養で増殖する試みは各県の林業研究機関で行われており、ある程度の結果が発表されていましたが、効率的な増殖条件は解明されていませんでした。

 当社では、世界で初となる「組織培養による熱帯雨林の主要在来種であるフタバガキ科樹木のクローン大量増殖法」の開発に成功しており、今回はこの技術を基にシダレザクラのクローン大量増殖に着手致しました。先ず『土牛の桜』から冬芽を採取し、その中から芽の先端組織だけを摘出します。これをシダレザクラ用に開発した培養液の中で培養し、大量の芽を生産。生産した大量の芽を1つずつに切り分け、発根培地に移植することでクローン苗を大量に再生することに成功しました。この方法により遺伝子がそのまま受け継がれ、親木である樹齢150年の『土牛の桜』の特徴がそのまま残るほか、季節を問わず苗を生産することが可能となりました。また、生産される苗がクローンであるかを鑑定するため、元静岡大学・向井譲教授(現岐阜大学・教授)のご協力を得、遺伝子による鑑定を行った結果、クローンであることが判明しております。

 こうして最初のクローン苗を地面に定植してから4年が経過致しましたが、苗は順調に生育し現在約5mの高さになっております。そして今春、初めての花を見事に開かせました。 開花した花の色や形を『土牛の桜』のそれらと比較したところ、全て一致しておりました。

 盛大な花見をするためには、樹高7~8メートルへと生長することが不可欠で、15~20年の月日が必要になると思われます。

 今後は、本技術を応用して、各地の貴重なシダレザクラや絶滅の危機に瀕している樹種の保存に役立てて行くとともに醍醐寺境内に残るシダレザクラの遺伝子解析を行い、その近縁、ルーツを明らかにしていきたいと考えております。

  クローン桜の親木「土牛(とぎゅう)の桜」について
 

クローン桜の親木は、京都市伏見区の醍醐寺三宝院(だいごじさんぼういん)の大玄関前にある、推定樹齢150年のしだれ桜です。

このしだれ桜は平成15年(2003)春現在、・ 高さ11m ・ 幹回り3.2m ・ 葉張り(横幅)東西18m 南北16mで、日本画家の奥村土牛(おくむら・とぎゅう)氏が作品『醍醐』に描いたことから、通称ですが、「土牛の桜」と呼ばれています。

 奥村土牛氏がこのしだれ桜を描いた経緯については、山種美術館の『現代日本画の10人展』図録(1974年)に、次のように記載されています。

 「《醍醐》は 昭和38年、小林古径先生の七回忌の法要の帰りに京都へ寄り、三宝院前の土塀のしだれ桜に極美を感じ写生をし、何時か制作したいと考えて居りました。

 一昨年の昭和47年、今年こそと思って、桜の時期の来るのを待って醍醐へ行きました。10年前と少しも変わりなく、二度最初の印象が浮かび制作しました。この年は桜を見たく、常照皇寺のしだれ桜を初め奈良方面を廻り、終に待望の吉野まで参りました。」

 この初めて醍醐寺三宝院のしだれ桜を写生した昭和38年(1963)から10年後の昭和47年(1972)、奥村土牛氏は作品『醍醐』を第57回院展に出品して、注目を浴びました。『醍醐』は紙本著色で、サイズは136・0X114・5センチ。氏の代表作の一つに数えられ、現在は山種美術館所蔵です。

 平成6年(1994)3月26日付京都新聞夕刊「平安建都千二百年記念・描かれた京都―近代名画百選 31 奥村土牛『醍醐』―色香ほんのり、不思議な霊性―(藤慶之記者)」は、作品『醍醐』について、次のように表現しています。

 「白壁の土塀を背にして咲き誇る淡朱の桜花や、ずんぐりした古木の幹の描写には、若き日のセザンヌ研究の名残や水墨のたらし込み技法の跡が見えるが、もはや、そうした技巧をさわやかに超えて、ほんのりとした色香と不思議な霊性が画面の奥から漂う。」

  なお、この作品『醍醐』は、平成9年(1997)4月18日に切手趣味週間の80円記念切手の図柄として採用され、5000万枚発行されました。 


以上
<本件に関するお問い合わせは、下記までお願い致します。>
住友林業株式会社
コーポレート・コミュニケーション室 佐野、佐藤、西田
TEL:03-3214-2270

企業・IR・CSR情報