ニュースリリース
(2019年)
2019年09月24日
「奇跡の一本松」の後継樹が里帰り
~陸前高田市、高田松原津波復興祈念公園 オープン記念植樹にて~
住友林業株式会社(社長:市川晃、本社:東京都千代田区)が接ぎ木により増殖した「奇跡の一本松」の後継樹が2019年9月22日、故郷の陸前高田市に初めて里帰りしました。
「奇跡の一本松」は東日本大震災の津波に耐え唯一残った松で、当社は震災直後から後継樹育成を試み2011年に接ぎ木と実生による苗木増殖に成功。高田松原津波復興祈念公園※のオープン式典で後継樹3本が植樹されました。
「奇跡の一本松」から増殖された後継樹が、東日本大震災から力強く復興していく陸前高田市と新しい明日を生きていくとともに、震災の記憶を後世に繋ぎ、防災のシンボルになっていくことを祈っております。
■住友林業の「奇跡の一本松」後継樹育成の取り組み
2011年4月 |
日本造園建設協会岩手支部の米内支部長が発起人となり、一本松の救済プロジェクトが発足。後継樹を育成するため、挿し木、接ぎ木、組織培養と実生による増殖を検討。 |
2011年12月 |
3本の接ぎ木苗と18本の実生苗が発芽。 |
2012年9月 |
一本松伐採の際に約1,000個の松ぼっくりを採取。すべての松ぼっくりを分解し、75粒の種子を採取。 |
2013年3月 |
前年9月に採取した種子を播種。 |
2013年6月 |
2011年に発芽した18本の実生苗は全て枯死。2012年に採取した75粒の種子から9本の実生苗育成に成功。 |
現 在 |
接ぎ木苗3本、実生苗9本が順調に成長。 |
■住友林業グループの今後の取り組み
住友林業グループは神社仏閣や自治体の皆様が所有・管理する名木や貴重木を後世に受け継いでいく取組みをサポートし、樹勢・生態調査及びDNAによる品種同定などの結果を基にした保存活用計画の立案及び後継樹の増殖、樹勢回復などを行っています。今後も松・桜・梅など歴史的・社会的に貴重な樹木を後世に繋ぎ、伝統ある風景を次世代へ受け継ぐ取組みを進めていきます。
■クローン増殖実績一覧
1998年7月 |
世界初フタバガキ科樹木の組織培養による増殖に成功 |
2000年4月 |
世界初シダレザクラ(京都・醍醐寺)の組織培養による増殖に成功 |
2009年3月 |
小田原・紹太寺の「長興山しだれ桜」の組織培養による増殖に成功 |
2010年2月 |
京都・仁和寺の「御室桜」の組織培養による増殖に成功 |
2011年4月 |
品川区・清岸寺の「祐天桜」の組織培養による増殖に成功 |
2012年2月 |
京都・仁和寺の「泣き桜(揚道桜)」の組織培養による増殖に成功 |
2012年4月 |
鎌倉・安国論寺の「妙法桜」の組織培養による増殖に成功 |
2013年3月 |
広島大学附属高等学校と共同 「エバヤマザクラ」の組織培養による増殖に成功 |
2015年3月 |
世界初鑑賞梅(京都北野天満宮「紅和魂梅」)の組織培養による増殖に成功 |
2015年4月 |
世界初ソメイヨシノ(土浦市天然記念物“真鍋のサクラ”)の組織培養による増殖に成功 |
2016年4月 |
京都・北野天満宮の「北野桜」の組織培養による増殖に成功 |
2019年2月 |
福島・南相馬市天然記念物「泉の一葉マツ」の後継樹(実生苗)の育成に成功 |
※ 高田松原津波復興祈念公園とは、東日本大震災で甚大な被害を受けた岩手県陸前高田市高田松原地区において、国、岩手県、陸前高田市が連携して事業を進めている公園で、「奇跡の一本松が残ったこの場所で 犠牲者への追悼と鎮魂の思いとともに 震災の教訓とそこからの復興の姿を 高田松原の再生と重ね合わせ未来に伝えていく」を基本理念に整備を進めています。
以上
≪リリースに関するお問い合わせ≫
住友林業株式会社
コーポレート・コミュニケーション部 河村・大西
TEL:03-3214-2270
≪名木の増殖・利活用に関するお問い合わせ先≫
住友林業株式会社
森林・緑化研究センター 中村
TEL:03-3214-3635