ニュースリリース
(2020年)
2020年10月21日
推定樹齢400年の盆梅(ぼんばい)、組織培養で増殖
~来春、「長浜盆梅展」でお披露目~
住友林業株式会社(社長:光吉 敏郎、本社:東京都千代田区)は、長浜観光協会(会長:岸本 一郎、滋賀県長浜市)所有の盆梅※1(樹齢350年~400年)3品種の増殖に成功しました。梅の古木を組織培養した増殖は2015年の京都北野天満宮本殿前の御神木に続き2例目です。増殖した盆梅の苗木は来春開催予定の「長浜盆梅展」で展示予定です。
1960年代、挿し木や接ぎ木といった従来の増殖方法に加え、組織培養技術が開発されました。当社は組織培養で増殖するために必要な条件を解明し、貴重な盆梅の増殖に成功しました。
近年、梅や桃などのバラ科植物に広く感染する「ウメ輪紋ウイルス(plum pox virus 以下 PPV)」が世界各地に広がっています。PPVに感染した植物は葉に斑点や輪紋※2が発生しており、農林水産省や各都道府県は緊急防除策を講じています。当社は歴史的に貴重な「長浜の盆梅」を後世に引き継ぐため組織培養に着手しました。今後も歴史的・社会的に貴重な樹木を後世に繋ぐ取組みを進めてまいります。
※1 盆栽の梅 ※2 同心円状の模様
■ 研究対象
■ 長浜盆梅展
滋賀県長浜市の慶雲館で1952年から始まった歴史・規模ともに日本一の盆梅展。約300鉢の盆梅から交代で開花時期に合わせて約90鉢が大広間に展示されます。来年は1月9日から3月10日の日程で開催予定です。
≪参考資料≫
■ 組織培養の流れ
① 茎頂部を顕微鏡下で摘出する。茎頂部は芽の分裂組織で茎や葉はここから作られる。 写真1
② 植物の成長に必要な成分を混合した培養液の中で茎頂を培養すると、3~4か月後に50個程度の芽の塊(多芽体)に成長する。 写真2
③ 液体培地から、寒天で固めた固体培地に多芽体を移植すると、芽が伸長するとともに正常な葉が形成される。 写真3
④ 多芽体から伸長した芽を1本ずつ切り分け、人工培土に植え付ける。3週間ほどすると発根する。 写真4
⑤ 無菌のフラスコから取り出し、外の条件に慣らす。 写真5
なお、住友林業は増殖した苗が確実に同じ形質(花や葉など)を受け継いでいるか確認するため、形態観察に加え遺伝子鑑定をしています。
以上
≪リリースに関するお問い合わせ≫
住友林業株式会社
コーポレート・コミュニケーション部 渥美・河村
TEL:03-3214-2270