ニュースリリース
(2022年)
2022年02月04日
住友林業株式会社
組織培養で増やした梅のフラスコ苗と培養苗を展示
~北野天満宮のご神木「紅和魂梅(べにわこんばい)」も「長浜盆梅展」で~
住友林業株式会社(社長:光吉 敏郎、本社:東京都千代田区)と公益社団法人長浜観光協会(会長:岸本 一郎、滋賀県長浜市)は、「長浜盆梅展」において組織培養で増殖した梅のフラスコ苗と培養苗を2月4日から展示します。樹齢350~400年の盆梅※1である「不老」・「芙蓉峰」と、北野天満宮のご神木の飛梅「紅和魂梅」から組織培養で増殖したフラスコ苗と培養苗です。「不老」・「芙蓉峰」の苗の展示は昨年に続き2度目で、「紅和魂梅」の苗は初めてのお披露目となります。
※1 盆栽の梅
今回は昨年展示したフラスコ苗に加えて、2020年10月の培養成功から順調に生育した「不老」の培養苗も展示します。培養成功から約1年間で成長した培養苗の姿をご覧いただけます。
北野天満宮のご神木の飛梅「紅和魂梅」は2015年2月、住友林業が梅の古木から組織培養により増殖に成功したもので、苗生産などの実用化を想定した研究開発としては世界初※2の成功例です。今回「紅和魂梅」の展示は、北野天満宮で開催中の「第1回 北野盆梅展」に長浜観光協会が出展協力していることから実現しました。北野盆梅展でも「紅和魂梅」と「不老」のフラスコ苗と培養苗を展示しています。
※2 学術資料検索サイト : Web of science/Google Scholar/J DreamⅢ 調べ
■ 長浜盆梅展
滋賀県長浜市の慶雲館で1952年から始まった歴史・規模ともに日本一の盆梅展。約300鉢の中から開花時期に合わせて入替しつつ、常に見頃の盆梅を約90鉢展示しています。(会期:1月9日~3月10日)
■ 北野盆梅展
北野天満宮で初めて、「長浜盆梅展」の梅を常時14鉢程度展示しています。菅原道真公ゆかりの梅の名所である北野天満宮の梅苑「花の庭」とともに、北野と長浜の梅花の競演をお楽しみいただけます。(会期:1月28日~2月13日)
当社グループは神社仏閣や自治体の皆様が所有・管理する名木・貴重木を後世に受け継ぐ取組みをサポートしています。樹勢・生態調査及びDNAによる品種同定などの結果を基にした保存活用計画の立案・後継樹の増殖、樹勢回復などを行っています。今後も松・桜・梅など歴史的・社会的に貴重な樹木を後世に繋ぎ、伝統ある風景を次世代へ受け継ぐ取組みを進めていきます。
≪参考資料≫
■ 組織培養法とは
バイオテクノロジーの一手法で、挿し木や接ぎ木と同様に元の木と全く同じ形質をもつ苗をつくれます。
"茎頂"という芽の先端分裂組織を材料に用いた手法(茎頂培養法)で増殖した苗は、樹病などを継承しないウイルスフリーである可能性が高いと言われているほか、対象となる樹木の樹齢と比較して"幼若化(若返り現象)"が期待されています。
■ 組織培養の流れ
① 茎頂部を顕微鏡下で摘出する。茎頂部は芽の分裂組織で茎や葉はここでできる。 写真1
② 植物の成長に必要な成分を混合した培養液の中で茎頂を培養すると、3~4か月後に50個程度の芽の塊(多芽体)に成長する。 写真2
③ 液体培地から寒天で固めた固体培地に多芽体を移植すると、芽が伸長するとともに正常な葉が形成される。 写真3
④ 多芽体から伸長した芽を1本ずつ切り分け、人工培土に植え付ける。3週間ほどすると発根する。写真4
⑤ 無菌のフラスコから取り出し、外の条件に慣らす。 写真5
写真1 茎頂部 |
写真2 茎頂から誘導した多芽体 |
写真3 多芽体からの芽の伸長 |
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写真4 人工培土での発根 |
写真5 屋外での順化 |
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■ 関連する対外発表
・ 住友林業「北野天満宮本殿前"御神⽊の梅"の組織培養による苗⽊増殖に成功」(2015年3月11日)
https://sfc.jp/information/news/2015/pdf/2015-03-11.pdf
・ 住友林業「推定樹齢400年の盆梅、組織培養で増殖」(2020年10月21日)
https://sfc.jp/information/news/2020/pdf/2020-10-21.pdf
・ 長浜観光協会「第71回長浜盆梅展は1月9日(日)〜3月10日(木)」(2021年12月14日)
https://bonbai.jp/news/?p=304
■ 名木の増殖実績
1998年7月 |
世界初フタバガキ科樹木の組織培養による増殖に成功 |
2000年4月 |
世界初シダレザクラ(京都・醍醐寺)の組織培養による増殖に成功 |
2009年3月 |
小田原・紹太寺の「長興山しだれ桜」の組織培養による増殖に成功 |
2010年2月 |
京都・仁和寺の「御室桜」の組織培養による増殖に成功 |
2011年4月 |
品川区・清岸寺の「祐天桜」の組織培養による増殖に成功 | 2011年12月 |
陸前高田市の「希望の松」後継樹育成に成功 |
2012年2月 |
京都・仁和寺の「泣き桜(揚道桜)」の組織培養による増殖に成功 |
2012年4月 |
鎌倉・安国論寺の「妙法桜」の組織培養による増殖に成功 |
2013年3月 |
広島大学附属高等学校と共同 「エバヤマザクラ」の組織培養による増殖に成功 |
2015年3月 |
世界初鑑賞梅(京都北野天満宮「紅和魂梅」)の組織培養による増殖に成功 |
2015年4月 |
世界初ソメイヨシノ(土浦市天然記念物"真鍋のサクラ")の組織培養による増殖に成功 |
2016年4月 |
京都・北野天満宮の「北野桜」の組織培養による増殖に成功 |
2019年2月 |
福島・南相馬市天然記念物「泉の一葉マツ」の後継樹(実生苗)の育成に成功 |
2020年10月 |
滋賀県長浜市所有の盆梅(樹齢350年~400年)3品種の組織培養による増殖に成功 |
以上
≪リリースに関するお問い合わせ≫
住友林業株式会社
コーポレート・コミュニケーション部 渥美・河村
TEL:03-3214-2270