ニュースリリース
(2022年)

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2022年09月29日

国立大学法人京都大学
住友林業株式会社

文部科学省「令和4年度宇宙航空科学技術推進委託費」に採択
~宇宙での木材利用の可能性を検証 人類の持続的な発展と脱炭素へ~

 国立大学法人京都大学(総長:湊 長博/以下、京都大学)と住友林業株式会社(社長:光吉 敏郎/以下、住友林業)が申請した「宇宙木材産業の創出をめざした宇宙材料としての木材利用の探究」が9月、文部科学省の「令和4年度宇宙航空科学技術推進委託費 宇宙航空脱炭素等技術創出プログラム」に採択されました。研究期間は202210月から20253月で、宇宙での木材利用の可能性を検証します。両者は20205月に木造人工衛星の打ち上げを核とした宇宙木材プロジェクト(通称:LignoStella Project)を開始しました。本採択により「宇宙における樹木育成・木材利用に関する基礎研究」である宇宙木材プロジェクトを加速させ、宇宙での木材活用の道を拓いて人類の持続的な発展と脱炭素に寄与することを目指します。


<概要>

■プログラム名

 宇宙航空脱炭素等技術創出プログラム

■提案課題名

 宇宙木材産業の創出をめざした宇宙材料としての木材利用の探究

■研究期間:

 202210月~20253月(予定)


■研究項目:

1.木造人工衛星の開発・運用による木材の宇宙での利用法の提唱

・現在開発中の木造人工衛星1号機を宇宙で運用し、人工衛星の構体(構造体)としての木材の温度変化と剛性変化を測定する。

・木造人工衛星1号機の開発経験をもとに木造人工衛星2号機を製作し、木造構体の特性を生かした姿勢制御系と通信系の改良をする。


2.宇宙環境曝露実験における微細構造変化の解析による木材の宇宙利用の実現可能性の探究

・現在国際宇宙ステーションで宇宙空間曝露中の木材を回収して物性解析をする。

・宇宙空間曝露実験での物性解析データに基づき、コンピューターシミュレーション等を用いて木材への宇宙環境の影響を解析する。


3.低圧環境の月面・火星などでの樹木の育成方法確立のための低圧下における樹木の生長特性の解明

・1.0気圧から0.1気圧までの樹木育成実験方法を確立する。

・1.0気圧から0.1気圧までの樹木育成実験の実施と結果の解析をする。


4.宇宙での木材利用に関する教育啓発活動

・宇宙での木材利用の研究を通した教育啓発活動を実践し、脱炭素事業に取り組む人材の育成を推進する。




■研究体制:

 〇主管実施機関 

  機関名:国立大学法人京都大学

  研究代表者:土井 隆雄(総合生存学館 特定教授)

 〇その他実施機関

  京都大学大学院総合生存学館

  京都大学大学院農学研究科

  京都大学生存圏研究所

  京都府立大学大学院生命環境科学研究科

  住友林業株式会社筑波研究所


 京都大学と住友林業は20205月から開始した「宇宙における樹木育成・木材利用に関する基礎研究」の宇宙木材プロジェクトで真空環境下に曝露された木材試料は寸法や曲げ剛性などの物性を変化させないことなどを明らかにしてきました。これらの実験結果を受けて木材の宇宙利用の世界初の例として木造人工衛星(LignoSat)の1号機を開発中です。宇宙環境に晒された木材の物性がどのように変化するかを直接研究するため、JAXAの開発した第1回宇宙環境曝露実験(ExBAS)に参加し、20223月より世界で初めての木材試料の宇宙環境曝露実験を国際宇宙ステーションで開始しています。宇宙空間での木材利用の可能性の探求と過酷な条件下での木材を活用する技術を開発し、地球での木材利用拡大にも取り組んでいきます。


参考)

■「令和4年度宇宙航空科学技術推進委託費」の採択案件の決定について

(文部科学省):https://www.mext.go.jp/a_menu/kaihatu/space/jigyou/detail/1406357_00007.htm


■宇宙木材プロジェクト(通称:LignoStella Project

(リリース):https://sfc.jp/information/news/2020/2020-12-23.html


以上

≪リリースに関するお問い合わせ先≫

国立大学法人

京都大学大学院総合生存学館宇宙ユニット 辻廣智子


住友林業株式会社 コーポレート・コミュニケーション部 佐藤・河村

TEL:03-3214-2270