ニュースリリース
(2022年)
2022年12月01日
ダイビル株式会社
住友林業株式会社
米アトランタ近郊にESG配慮型オフィスを開発
~既存校舎等の改修で歴史・文化を継承し、木造建築で脱炭素化も推進~
ダイビル株式会社(社長:丸山 卓 本社:大阪市北区、以下ダイビル)の100%子会社Daibiru USA, LLC(代表: 上條 恵二郎 本社:デラウェア州ウィルミントン、以下Daibiru USA)と住友林業株式会社(社長:光吉 敏郎 本社:東京都千代田区)の100%子会社Crescent Communities, LLC(CEO: Brian Natwick 本社:米ノースカロライナ州シャーロット、以下Crescent)は、米ジョージア州アトランタ近郊でESGに配慮したオフィスを開発します。
3階建ての木造オフィス棟と駐車場棟を新築するほか、既存校舎・体育館の2棟をオフィスに改修します。木造オフィス棟は鉄骨(S)造・鉄筋コンクリート(RC)造・鉄骨鉄筋コンクリート(SRC)造に比べ建築時のCO2排出量を減らし、木材の炭素固定効果により脱炭素に寄与します。地域の歴史・文化的な意義のある既存建物を改修して、その社会的価値を保存・承継します。既存建物の改修・再利用により解体・新築する場合に比べCO2排出を抑制します。
総事業費は約80百万USD(約111億円※1)で2024年4月の完成を目指します。
■プロジェクト概要
1950年に教育水準向上のため設立されたアフリカ系アメリカ人向けの学校跡地を再開発します。土地・建物は教育委員会から取得し、既存の校舎・体育館をオフィスに改修するとともに、マスティンバー構造※2の3階建て木造オフィスと駐車場棟を新築します。土地・建物がもつ歴史的価値の保存や後世への継承にも寄与する社会的意義の大きいプロジェクトです。Daibiru USA、Crescent、地元の不動産開発業者KB Venture Partners, LLC(代表者:Fred Kay/Bruce Fernald 本社:米ジョージア州アトランタ)が共同出資するSPC(特別目的会社)が開発し、住友林業の100%子会社SFCアセットマネジメント株式会社(社長:吉澤 雄次郎 本社:東京都千代田区)が本プロジェクトの取り纏めを行います。
既存建物の改修ではレンガ造りの外観の特徴を活かしつつ、バルコニー、窓、屋外の共用空間・共用施設などを整備。歴史・文化的価値を保存しながら、解体・新築に比べ建築時のCO2排出量を削減します。新築建物はDLT※3やGLT※4などのマスティンバーを採用し木質感があふれる内装にします。S造・RC造・SRC造に比べ資材の製造・輸送時、建築時のCO2排出を減らし、長期間炭素を固定します。CO2排出量を見える化するソフトウェア「One Click LCA※5」による試算では、一般的なSRC造での新築に比べ、建築時のCO2排出量を約950トン削減できるほか、建材等に用いる木材がCO2換算で約1,320トンの炭素を固定できる見込みです※6。
環境認証(LEED※7)やウェルネス認証(Fitwel※8)の取得も目指し、ESGを重視するテナントに社会的・環境的な付加価値の高いオフィスを提供します。テレワークが普及しオフィスの在り方が見直される中、敷地内に人々が集うコラボレーションスペースや緑地を配置し、フィットネスセンターなどの共用施設も充実。組織や個人の創造性・生産性向上を促す「クリエイティブオフィス」を目指します。
■開発エリア概要
アトランタ中心部から車で北へ約30分のアルファレッタ市に位置し、アトランタ中心部と北部を繋ぐ主要道路へのアクセスも良好で交通利便性に優れています。アルファレッタ市はアトランタ都市圏で近年最も活況なオフィスマーケットの一つです。その中心は約800戸の住居、約47,000㎡の商業施設、約70,000㎡のオフィス(入居率100%)が備わる大型複合施設Avalonで、今回の開発エリアはAvalonの徒歩圏内にあります。
本プロジェクトは国内外でオフィスビルを開発・保有するダイビルのESGを意識した取り組み及び新たな市場展開に対するニーズと、国内外で木造中大規模建築の開発を進める住友林業のビジョンが一致し実現しました。今後も両社の特徴や知見を活かして、国内外での協業を検討していきます。
※1. 1USD=139.06円(2022年11月28日の為替レートで計算)
※2. 複数の木材を組み合わせて成形した比較的質量の大きいエンジニアードウッド(マスティンバー)を利用した構造。RCや鉄骨と比べて工期の短縮や建物の軽量化が可能であることから、理想的な建築材料として北米で注目されています。また、サステナブルな資源である点や炭素固定効果によって脱炭素に貢献する点も評価され、大規模建築物への活用も進んでいます。
※3. Dowel Laminated Timberの略。接着剤やくぎを使用せずに木材を積層した100%木質部材。
※4. Glued Laminated Timberの略。集成材の柱梁。
※5. 住友林業が日本単独代理店契約を締結したソフトウェア。建設にかかる原材料調達から加工、輸送、建設、改修、廃棄時のCO2排出量(建てるときのCO2排出量)を精緻に算定できる。関連リリース:
https://sfc.jp/information/news/2022/2022-08-08.html
※6. デザイン段階における概算数量に基づく試算となるため、実際の施工物件と数値結果が変動する可能性があります。
※7. USGBC(US Green Building Council)が開発及び運用を行っている、建物と敷地利用についての環境性能評価システム。
※8. 米国連邦政府調達局(GSA)と疾病管理予防センター(CDC)が主導で開発した建物利用者の健康、労働環境等を評価・認証する仕組み。
■開発イメージ
※詳細は本プロジェクトの特設サイトをご覧ください(https://www.garrenonkimball.com/)。
■物件概要
物件名 |
The Garren |
所在地 |
154 Kimball Bridge Road, Alpharetta, GA |
貸床面積(予定) |
157,775平方フィート(約14,656㎡) |
構造 |
新築木造 : 木造3階建て (116,700 平方フィート(約10,842 ㎡)) |
着工(予定) |
2022年12月 |
竣工(予定) |
2024年4月 |
■Daibiru USA, LLC社概要
本 社 |
:デラウェア州ウィルミントン |
代表者 |
:上條恵二郎 |
設 立 |
:2022年10月24日 |
事業概要 |
:不動産業を営む米国子会社の株式保有および経営管理業務 |
■Crescent Communities, LLC概要
本 社 |
:ノースカロライナ州シャーロット |
代表者 |
:Brian Natwick (CEO) |
沿 革 |
:1904 年に創業した電力会社Duke Energy社が1939年に設立した林業部門を起源とし、1990年から不動産開発事業に進出。2018年7月より住友林業の100%子会社。 |
事業概要 |
:本社のあるシャーロットを中心に、米国の南東部、南西部の10州及び1特別区の16マーケットで集合住宅、オフィス及び商業複合施設等を開発。集合住宅開発における創造的な開発コンセプトや革新的な戦略、優れたデザイン、マーケティング等が評価され、2019年にNAHB主催のMultifamily Pillars of the Industry Awardsの最優秀賞Multifamily Development Firm of the Yearを受賞しています。 |
■KB Venture Partners, LLC概要
本 社 |
:ジョージア州アトランタ |
代表者 |
:Fred Kay, Bruce Fernald |
沿 革 |
:2019年設立 |
事業概要 |
:オフィスや集合住宅を中心とした不動産の設計・開発事業を展開。代表者らは50年以上にわたるオフィス・集合住宅などの商業用不動産の開発経験があり、地域のコミュニティや地方自治体との対話等を重視して開発を行っています。 |
■本リリース配布先
国土交通記者会、国土交通省建設専門紙記者会、林政記者会
【住友林業 参考資料】
2022年2月、住友林業グループは長期ビジョン「Mission TREEING 2030」を発表しました。この長期ビジョンはSDGs達成の最終年でもある2030年に向けて、当社グループがこれから進んでいくべき方向性や事業方針、あるべき姿を定めたものです。
当社グループの特長は再生可能な自然資本である「木」を軸とした川上から川下までのバリューチェーンであるWOOD CYCLEを回す事業活動にあります。国内外で森林経営から木材建材の調達・製造、木造建築、木質バイオマス発電まで、脱炭素社会の実現につながるすべての活動を事業として展開。「森林」、「木材」、「建築」の3 つの柱で、独自のウッド・ソリューションを国内外で展開していきます。
「木材」分野では木材の持つ炭素固定の価値を訴求し、社会全体の木造化・木質化を推進します。「建築」分野ではCO2排出量を見える化するソフトウェア「One Click LCA」の活用などを通じて「脱炭素設計のスタンダード化」を進めます。
海外ではこれまで世界最大の木造住宅市場である米国や豪州で戸建注文・分譲住宅を供給。近年は集合住宅や戸建賃貸住宅も開発しており、2021年は米国で17プロジェクト、4,777戸を供給しました。豪メルボルンで15階、英ロンドンで6階、米ダラスで7階、アトランタで3階建の木造オフィス開発も進行中です。2030年に向けて国内外で住宅・非住宅の木造化を推進し、海外では年40,000戸の住宅供給を目指すとともに中大規模の木造商業施設・オフィスビル等の開発を加速します。
※長期ビジョン「Mission TREEING 2030」の動画はこちら : https://www.youtube.com/watch?v=2ty-tASVWPk
以上
≪お問い合わせ先≫
ダイビル株式会社
経営企画部コーポレートコミュニケーション課 清水・牧野
TEL:06-7506-9516 / Eメール communications-info@daibiru.co.jp
住友林業株式会社
コーポレート・コミュニケーション部 河村・川上
TEL:03-3214-2270