ニュースリリース
(2023年)
2023年10月20日
住友林業株式会社
9年連続「ウッドデザイン賞」受賞
~木を暮らしに活かし、脱炭素に貢献~
住友林業株式会社(社長:光吉 敏郎 本社:東京都千代田区)はグループ会社と共に共同開発した部材や施工した施設等13点が、「ウッドデザイン賞2023」を受賞しました。第1回「ウッドデザイン賞2015」から9年連続の受賞です。
ウッドデザイン賞(主催:(一社)日本ウッドデザイン協会)は木の良さや価値をデザインの力で再構築することを目的に、優れた建築・空間や製品、活動や仕組み、研究等を募集・評価し、表彰する顕彰制度です。(一社)日本ウッドデザイン協会(会長:隈 研吾、東京都港区、https://www.jwda.or.jp/)は木を使うことによって社会課題の解決を目指す活動を「ウッドデザイン」と定義しています。当社は今年度、「建築・空間分野」、「技術・建材分野」、「調査・研究分野」の各分野で受賞しました。受賞案件は木を活かして質の高いライフ&ワークスタイルを提案しているものが対象となる「ライフスタイルデザイン部門」、森林・林業や地域・社会の持続性を向上させているものが対象となる「ソーシャルデザイン部門」、心身を健やかにしてウェルビーイングの実現が期待される「ハートフルデザイン部門」の全部門に及びました。
<受賞一覧>
住友林業グループは森林経営から木材建材の製造・流通、戸建住宅・中大規模木造建築の請負や不動産開発、木質バイオマス発電まで「木」を軸とした事業をグローバルに展開しています。2030年までの長期ビジョン「Mission TREEING 2030」では住友林業のバリューチェーン「ウッドサイクル」を回すことで、森林のCO2吸収量を増やし、木造建築の普及で炭素を長期にわたり固定し、自社のみならず社会全体の脱炭素に貢献することを目指しています。世界の脱炭素シフトへのパートナーとして当社グループ独自の「ウッドソリューション」を提供し、持続可能な社会の実現に貢献していきます。
【受賞の概要】
<建築・空間分野>
■上智大学四谷キャンパス15号館
/住友林業株式会社・学校法人上智学院
・「上智大学四谷キャンパス15号館」は住友林業が設計・施工した木造3階建ての耐火構造で、社会人教育や地域交流拠点として活用する施設。
・構造躯体のCO2排出量は152トンで、鉄筋コンクリート造や鉄骨造で建築した同様の施設と比較し、構造躯体の資材製造時のCO2排出量をそれぞれ15%、20%削減。構造躯体と外装の木材使用量は123.67m3で、炭素固定量は約91トン(CO2ベース)。40年生スギ約300本の炭素固定量に相当する。
・多摩産スギを異なる太さの材としクロスに組み合わせた格子状のデザインで、上智大学の建学の理念である「多様性」「対話」「他者との交流」「真理」「伝統」を表現。
・当施設はRCビルに囲まれた都市部において、地域産材を活かしたサステナブルなランドマークとして「街を森にかえる」につながり、SDGsの達成、脱炭素社会の実現に貢献する。
■暮らしをひろげるウッドデッキ/住友林業株式会社・住友林業緑化株式会社
・「過ごす・人をつなぐ庭」をコンセプトに設計したリビングからつながるウッドデッキ。広いウッドデッキの所々に段差を設け空間を区切りつつ回遊でき、家での過ごし方に多様性が生まれる。
・一段低い位置に作ったピットを中心に、食事や仕事、遊ぶ、寛ぐといったさまざまなシーンを生み出す仕掛けを盛り込む。一歩外に出ることで家時間が楽しく、豊かに過ごせる住まいの提案。
・コロナ禍を経て多様化した自宅での過ごし方、カーシェアなど車を持たない暮らしからカーポート舗装にかわるエクステリアの在り方を踏まえ、暮らしを家の中から庭へと拡げる。
・ウッドデッキには国産ヒノキ三面上小節材を使用。表面はビスを無くし、経年によるささくれを防ぐなど安全面にも配慮。
・国産材の活用で持続可能なサイクルの一翼を担い、国内林業活性化に寄与する。
■移動式木造建築(「CLT combo(仮称)」/住友林業株式会社・一般社団法人「Reborn-Art Festival」
・「CLT combo(仮称)」はCLT(Cross Laminated Timber直交集成板)を構造材に用いたボックスユニットを、施工現場に運んで組み立てる木造建築物で移設・再利用が可能。
・ボックスユニットのつなぎ合わせ方によって様々な間取りを構成できることが特徴。小規模な事務所から低層集合住宅まで多様な用途、規模の建物への活用を目指し開発中。
・必要に応じて移設・再利用が可能。木材を積極活用し、繰り返し利用することで炭素固定効果を最大化する。
・天井、耐力壁のCLTを現しにして木質感あふれる空間、木材の高い断熱性能により快適な室内空間を提供。
・工場生産することで現地施工を省力化し、短工期で災害時にも迅速な供給を目指す。
・宮城県石巻市で開催された「Reborn-Art Festival 2021-22[後期](2022年8月20日~10月2日)」に移動式木造建築「CLT combo(仮称)」を寄贈。イベント期間中は石巻駅前のインフォメーションセンターとして利用。イベント後、市内の宿泊研修施設へ移設し、現在は宿泊棟として運用中。
<技術・建材分野>
■耐火ガイナー/住友林業株式会社
・タブレット状の難燃薬剤を国産合板の表裏両面から一定間隔で埋め込み耐火性能を持たせた合板。
・基本サイズは縦1820㎜ ×横910㎜×幅(厚さ)24㎜、両面に直径10㎜、深さ15㎜、の非貫通の穴(穿
孔)を加工。
・薬剤をタブレット状にして固めることで形状を維持しており、合板への埋め込みは一般的な木工機械で加工可能。
・従来の加圧注入等の処理時に不可欠な乾燥工程が不要で製造時の環境負荷を低減。
・火災時は難燃薬剤がガラス化して強固な炭化層を形成し、炭化層の脱落による火の粉の飛散リスクを軽減。
・石膏ボード等の無機系の耐火被覆材に代わる木質部材で、中大規模建築物への木材使用量拡大、環境負荷低減を目指す。
■KS木質座屈拘束ブレース/株式会社熊谷組・住友林業株式会社・東京電機大学
・「KS木質座屈拘束ブレース」は熊谷組の中高層建物の耐震構造技術と住友林業の木質材料に関する知見・技術を融合し開発。
・LVLと合板を組み合わせた木質材料によって鋼製の芯材を拘束することで鋼製ブレースの座屈を防止し、圧縮力を受けた際も大きな耐力を発揮する。
・LVLと合板の座屈拘束材は一般的な鋼製耐震ブレースと比べ製造時のGHG排出量を抑制。
・鉄骨造の中高層のオフィス、商業施設、宿泊施設等に採用することで、木材を現しで利用することが可能。
・鉄骨造に加え、中大規模木造建築への導入を進める。
■突板パネリング75フラットJ/住友林業株式会社・住友林業クレスト株式会社
・基材にMDF、化粧材にタモ、ナラ、スギなどの国産材の突板を用い、壁と天井の両方に施工できる突板パネリング材。
・基本サイズは縦2400㎜ ×横154㎜×幅(厚み)9.5㎜、表面部分で0.3mm~0.5mm厚の国産材突板を使用。
・間伐材など小径木を有効活用し、パネル中央部に溝加工した小幅板状のデザイン。
・リビング、ワークスペース等、住まいの多様なシーンを創る美しい木質部材を提案する。
■SUSTIMBERー格子/住友林業ホームエンジニアリング株式会社
・戸建て住宅向け垂木(タルキ)材として流通している国産スギ材にプレーナー仕上げと面取り加工を施し製造した外部装飾用の木格子パネル。
・AZN処理(防腐防蟻処理)、住友林業オリジナルの水性シリコン系木材保護塗料「S-100」塗装を付加し耐久性、耐候性を向上。
・着色を抑えることにより木の風合いや木目を活かしながら、紫外線による灰色化を抑制し木材内部への水の侵入を軽減。
・流通材活用によるコストダウン、製造工場でのパネル化による現場施工性の向上、工期短縮を実現。
・クリーンウッド法に基づく合法性が確認された木材での供給やSGEC認証材での供給が可能。
<調査・研究分野>
■木質内装の壁面材質および教示による疲労・疲労感抑制効果に関する研究/住友林業株式会社
・内装材に本物の木材を利用した場合、本物の木材であると認識した場合の心理的効果による疲労や疲労感を低減する木質環境の研究。
・木材(突板)ブースと木目調シートのブースで、「木材」「木目シート」と教示した際のVDT*1作業による疲労の測定、および主観評価(VAS*2)による疲労感を測定。
・ブースの材質が木材、木目調シートどちらの場合も「本物の木材であると認知する」ことで疲労抑制効果があること、材質の認知が木材、木目調シートどちらの場合も「本物の木材」という材質に疲労感抑制効果があることを実証した。
*1 VDT作業:液晶等の画面表示機器と、キーボードやマウス、タッチ画面等の入力機器による情報端末(=Visual Display Terminals)を使用する作業
*2 VAS:Visual Analog Scaleの略。視覚的な評価スケール使用し疲労感がどの程度かを指し示す。紙に10cm(100mm)の直線を書き、その左端に0、右端に100の数値を記入した測定スケールを使用。
<<ご参考>>共同応募による受賞案件
以上
≪本件に関するお問い合せは、下記にお願いいたします≫
住友林業株式会社 コーポレート・コミュニケーション部 佐藤・鈴木
TEL:03-3214-2270