TCFDへの対応

2015年4月FSB(金融安定理事会)の指示により設置されたTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)から、2017年6月に最終報告が提言されました。TCFDは、気候変動によるリスクと機会に関して、ガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標の4つの要素で情報開示することを求めており、特に戦略については、将来の気候関連シナリオに基づく検討を踏まえ、その戦略のレジリエンスについて説明することを推奨しています。住友林業グループでは気候変動に伴うリスクを重要なリスクと認識し、2018年7月にTCFDへの賛同を表明。TCFDの提言に基づき、同年にシナリオ分析を開始しました。

初回のシナリオ分析は、当社の主要事業である木材・建材事業と住宅・建築事業において、地球の平均気温上昇が産業革命前と比べて+2℃、+4℃となる二つのシナリオで2030年の状況を考察し、その結果をESG推進委員会及び取締役会に報告しました。また、このシナリオ分析は、中期経営計画サステナビリティ編において、今後のさらなる取り組みを目標として定めています。

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気候変動問題に対するガバナンス

気候変動問題への対応は、他のESG課題と同様にESG推進委員会を中心に推進を図ります。ESG推進委員会は、執行役員社長が委員長として、執行役員兼務取締役及び各本部長から構成され、住友林業グループの持続可能性に関わる中長期的なESG課題に対するリスク・機会の分析や取り組みの立案・推進、SDGs達成に貢献する事業戦略を織り込んだ中期経営計画サステナビリティ編の進捗管理、行動指針・倫理規範などの運用状況と有効性のモニタリングを行っています。また、この委員会での議事内容については全て取締役会へ報告しています。

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リスクと機会の特定と評価

木材を主要な資材や商材としている当社事業においては、移行リスクとしては各国の森林保護政策・伐採規制など規制強化に伴う木材調達コストの増加が、大きな事業リスクとなります。物理リスクとしては、自然災害の激甚化や異常気象の影響による気温上昇に伴う住宅建設の効率低下や工期の遅れに伴うコスト増などが挙げられます。一方で、化石燃料への規制が進めば、当社が進めるバイオマス発電事業や、その燃料としてのチップ需要に追い風(機会)となります。

当社は、シナリオ分析において、本社関連部門と各事業本部が連携してリスクと機会を洗い出し、主に財務面のインパクト評価を行いました。その中で重要なリスク及び機会と認識された項目については、回避対応策を協議し、ESG推進委員会及び取締役会に報告しました。今後、シナリオ分析の精度を高めるとともに、中期経営計画などの事業計画への反映を協議しながら、不確実なあらゆる未来にも対応できるレジリエンス(強靭)な企業戦略の構築を進めます。

木材・建材事業におけるリスク重要度の評価

リスク項目 事業への影響 リスク評価
移行リスク 各国の炭素排出目標/政策
  • 森林吸収源対策に関する政策により木材調達コストが増加
森林保護に関する政策
  • 伐採税・伐採手数料など木材調達コストが増加
再エネ等補助金政策
  • 木質バイオマス事業推進により売上増加
  • 一方、補助金制度がなくなった場合、売上減少
エネルギーミックスの変化
  • 各国の持続可能基準にバイオマスが組み込まれた場合、売上が増加
  • 一方、需要拡大によりバイオマス事業の燃料(木材チップ)コストも増加
温暖化規制による経済活動の停滞
  • 建設自体が抑制された場合、木材建材の需給が低迷し、売上が減少
重要製品/製品価格の増減 小~中
次世代技術の進展 小~中
再エネ・省エネ技術の普及 小~中
投資家の評判変化 小~中
物理的リスク 平均気温の上昇
  • 森林火災・樹木の病害虫等の発生により木材調達コストが増加
  • 一方、気温上昇、降水量増加で成長期が長期化。生産性が向上し、木材調達コスト減少の可能性
降水・気象パターンの変化
  • 植生・木材調達地域が変化し、木材調達コストが増加
異常気象の激甚化
  • 工場の操業停止による売上減少、森林資源の減少による木材調達コストの増加

住宅・建築事業におけるリスク重要度の評価

リスク項目 事業への影響 リスク評価
移行リスク 各国の炭素排出目標/政策
  • 森林吸収源対策に関する政策により、木材調達コストが増加
森林保護に関する政策
  • 伐採税・伐採手数料など木材調達コストが増加
建築物に関する政策
  • 政策に対応するための追加投資や改築コストが発生
  • 補助金制度が継続した場合、金銭的インセンティブが発生。政策の内容によっては市場競争力へ影響し、売上が変化
顧客の評判変化
  • 顧客の気候変動への関心が高まった場合、消費者嗜好が森林認証材使用に傾き、調達コストが増加
再エネ等補助金政策 小~中
化石燃料補助金制度 小~中
エネルギーミックスの変化 小~中
投資家の評判変化 小~中
物理的リスク 異常気象の激甚化
  • 大規模な自然災害が発生した場合、工期の遅れ・保有設備の復旧活動等により、建築コストが増加
  • 猛暑日が増加し、屋外作業効率が低下。工期の遅れや作業員の健康管理維持増強によるコスト増

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気候変動に関連する機会とその戦略

政府のZEH推進に呼応した住宅販売の拡大

新築戸建注文住宅
におけるZEH受注
比率目標(%)
(2021年度)
80%

新築戸建注文住宅
におけるZEH受注
比率実績(%)
(2020年度)
52.1%

日本政府は、2016年5月に閣議決定された「地球温暖化対策計画」等において、「2020年までにハウスメーカー等が新築する注文戸建住宅の過半数をZEHにすることを目指す」政策目標を打ち出し、ZEHを推進しています。

住友林業ではこの政策に呼応し、中期経営計画サステナビリティ編においてZEH受注比率を目標化してZEH住宅の販売を推進するとともに、当社ZEHの特徴である、太陽光発電パネルと家庭用燃料電池「エネファーム」によるW発電をアピールすることで、競合優位性を生み出し、当社のZEH比率を伸ばしています。さらに、注文戸建住宅(耐火仕様を除く)の断熱性能を強化した「360° TRIPLE(トリプル)断熱」を標準採用。高性能な「断熱材」に加え、断熱性の高い「構造材」と「窓」で建物全体を包み360°しっかり断熱します。夏は涼しく、冬は暖かく、省エネルギー性能を高めた住まいとなっています。

2030年におけるシナリオ分析では、4℃シナリオの場合、政府が求めるZEH比率が一層高まることにより、また、2℃シナリオの場合、エネルギー効率がさらに高いZEHが基準化されることにより、いずれの場合も、当社の技術開発力により当社住宅の市場競争力が増すことを予想しています。

※ ZEH、Nearly ZEH、ZEH Orientedを含む受注ベースの値

再生可能エネルギーのニーズ拡大

燃料用チップ・
ペレット等取扱量
目標(t)
(2021年度)
1,363,930t

燃料用チップ・
ペレット等取扱量
実績(t)
(2020年度)
1,465,901t

気候変動対策として、バイオマス発電や太陽光発電などの再生可能エネルギーへのニーズが高まっており、バイオマス発電向けの燃料用チップ供給を拡大することで収益拡大が見込めます。

木質バイオマス発電は、当社グループにおいても、2019年3月までに国内4ヵ所で事業を展開。2021年6月に福岡県の苅田バイオマス発電所、2023年11月には宮城県の杜の都バイオマス発電所が運転開始予定です。この2つの発電所が稼働すると、当社グループでの発電規模は合計で約251.6MWとなり、約555,000世帯分の電力を供給することとなります。

シナリオ分析では、資源エネルギー庁の『2030年エネルギーミックス実現へ向けた対応について~全体整理~』をベースに、日本の電源構成において現在1.7%を占めるバイオマス発電が、2030年には、4℃シナリオの場合3.7%に、2℃シナリオの場合4.6%に拡大すると予測。当社グループにおける燃料チップ供給事業もそれに伴い、売上が拡大すると予測しました。

※ 集計期間:2020年1月~12月

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気候変動対策の指標と目標

住友林業では、気候関連のリスク及び機会を評価・管理する際の指標として「中期経営計画サステナビリティ編」及びSBT、RE100目標に基づき、グループ内の各社・各部門で、年度ごとの数値目標に従って各対策を推進しています。

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企業・IR・CSR情報