WOOD CYCLE

住友林業グループの脱炭素事業

住友林業グループは世界の脱炭素シフトのパートナーとして、持続可能な社会を実現する「住友林業のウッドソリューション」を提供します。それはWOOD CYCLE(ウッドサイクル)の「森林」「木材」「建築」、3つの分野で展開する脱炭素事業3本柱です。

循環型森林ビジネスの加速

森林ファンドを設立し、アジアを中心に世界中で森林や泥炭地を保護・拡大することで森林面積を拡大。他企業と社会のカーボンオフセットに貢献。

IHIとの協業「NeXT FOREST」

インドネシアでは森林火災や違法伐採などによる森林減少が社会問題となっています。当社が国内外で培ってきた森林管理技術と、株式会社IHIが持つ人工衛星を活用した観測技術を組み合わせて精度の高い水位管理を行い、泥炭火災を防ぐ先進的な森林経営を進めます。同時にこの知見を活かし、森林減少の抑制を試みる国や地域、森林の所有を検討する企業の森林経営コンサルティングにも着手します。

グローバルな規模の森林ファンドを設立

CO₂クレジット※1をはじめ、新たな価値を含む森林資産の確保を目的とした森林ファンド※2を設立。当社の森林経営・資産管理で事業拡大を図ると共に、社会全体のカーボンオフセットに貢献します。森林ファンドに組み入れる資産規模は1,000億円を目標とします。

※1森林の保護などを行うことでCO₂削減効果分に対し発行されるクレジット

※2事業による収益およびCO₂クレジットをリターンとして生み出す投資信託

保有・管理する森林面積の拡大へ

当社は日本に4万8千haの森林を保有・管理する他、インドネシア、パプアニューギニア、ニュージーランドに合計23万ha以上の森林を保有・管理しています。「NeXT FOREST」の技術や森林ファンドの仕組みを利用して、2030年までに保有・管理する森林面積を合計50万haまで拡大します。

ウッドチェンジの推進

木材コンビナートの設立による国内の林業・木材製造の効率化と、木材由来素材への代替で炭素固定量を増大させます。

木材コンビナートを設立し、
国産材の自給率向上を図る

国内林業は林道の未整備、林業従事者の不足などの課題があり、木材製造部門では多くの製材工場が小規模で競争力が低い状況です。また、多くの木材資源があるにも関わらず木材自給率が40%程度にとどまっています。国内の木材製造の競争力を強化し、木材の自給率を高めるために重要となるのが木材コンビナートです。木材コンビナート設立し、木造建築の普及と炭素固定期間の増進による脱炭素貢献、木材の付加価値向上と林業従事者の雇用創出、国産材の安定供給と価格競争力の強化を図ります。2030年には年間100万㎥の国産材使用量を目指します。

木材への代替で炭素固定量を増進

国産材の普及に向けて伐採木材製品の取扱量・製造量を増やし、社会の炭素固定を増進していきます。同時に、木の持つ性能を活かして鉄やコンクリートなどから木材への代替を推進。建築分野を中心に、ウッドチェンジを強力に進めていきます。

脱炭素設計のスタンダード化

ZEH、ZEB、LCCM住宅、ネットゼロカーボンビルの普及と脱炭素設計(One Click LCA×EPD)の確立で、他社・他者の脱炭素化に貢献します。

暮らすとき建てるとき、
2つのCO₂排出量を削減

世界のCO₂排出量の37%を占める建設セクターにとって、脱炭素化は最重要課題です。同セクターでは、暮らすときに排出されるCO₂と建物を建てるときに排出されるCO₂があり、暮らすときのCO₂に関してはZEH、ZEBなどの普及で排出量ゼロを目指します。一方、2060年頃には世界の建築面積が現在の2倍に拡大するとの見通しもあり、建てるときのCO₂排出量削減が今後さらに重要です。当社では、建てるときのCO₂排出を含む建築物のライフサイクル全体を通じてCO₂排出量をマイナスにするLCCM(ライフ・サイクル・カーボン・マイナス)住宅や、暮らすときのCO₂排出量を実質ゼロにするネットゼロカーボンビルの普及を国内外で促進することで、脱炭素化を図ります。

「OneClickLCA」で建てるときのCO₂排出量を“見える化”建設業界全体で脱炭素設計に取り組む

当社は、建てるときに排出されるCO₂を“見える化”するソフト「One Click LCA」の日本単独代理店契約を結んでいます。簡単かつ短時間で正確にCO₂排出量や建物の炭素固定量を計算できるソフトで、木材の利活用の推進、さらには建設業界全体で脱炭素化を目指す上で最適なソフトです。今後、食品のカロリー表示のように木材・建材、建築物にCO₂排出量や固定量が明示される時代になるでしょう。このツールにより、日本の建設業界全体における脱炭素設計のスタンダード化に取り組みます。

建物のライフサイクルステージごとの
CO₂排出量の比率

木材建材業界のリーダーとして
環境ラベル「EPD」の普及を推進

ヨーロッパを中心に普及が広がる「EPD」は、定量的環境データを第三者機関が評価・認証した環境ラベルで、消費者や使用者が環境に配慮した製品を選ぶ際の指標となります。当社は、木材建材業界のリーダーとして率先して国内の木材・建材メーカーの建物のEPD認証取得を促し、建築過程におけるCO₂排出量の“見える化”を進めます。そして、建てるときのCO₂排出の削減と木造建築の優位性を示していきます。

再生可能な資源「木」の魅力