経営情報

事業等のリスク

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、具体的な影 響額を見積もることは困難であるため、記載はしておりません。なお、文中の将来に関する事項は、2020年3月期末時点において当社グループが判断したものであります。

(1)国内外の住宅市場の動向に関するリスク
当社グループの業績は、国内外における住宅市場の動向に大きく依存しています。国内外の経済状況の低迷や景気の見通しの後退、それらに起因する雇用環境の悪化や個人消費の落ち込みは、お客様の住宅購買意欲を減退させる可能性があります。また、各国の金利政策や住宅関連政策の変更、地価の変動等も、お客様の住宅購買意欲に大きな影響を与えるため、これらの顧客ニーズの変化が住宅市況を悪化させ、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。上記リスクに対して、国内の住宅・建築事業では、次のような対策により、当社の独自性を強調し、住宅市場における優位性の確保を図っています。

① 戸建注文住宅事業では、当社独自の商品や技術力・設計力を活かした提案を強化し、お客様の様々な要望にお応えすることで、受注拡大に努めています。具体的には、環境配慮型商品の受注に注力するとともに、天井高、床材・建具の種類やデザインに豊富な選択肢を用意し、お客様の要望に沿って様々な室内空間を実現する提案等を行っています。

② 賃貸住宅事業では、多様化する入居者のライフスタイルに対応して、賃貸住宅に求められる性能を的確に把握し、より快適な住環境を提供することに努めています。その他、リフォーム事業では、高い技術力を活かした耐震リフォームや旧家再生リフォームに注力し、建築物の木造化・木質化を推進する木化事業では、中大規模木造建築物への取り組みを強化しています。

また、従来の米国・豪州における住宅事業に加え、東南アジアでの住宅事業を強化することで、参入する住宅市場を分散し、収益基盤の多様化と事業の多角化を図っています。このため、海外住宅・不動産事業においては不動産投資リスクに関する社内ルールの運用を徹底し、事業規模拡大に伴う不動産投資残高の増加に対して、各国の住宅マーケットの的確な把握とモニタリング、適正な在庫管理の徹底を図るなど、投資リスクの低減に努めています。

(2) 法的規制等に関するリスク
当社グループは、木材建材事業や住宅・建築事業をはじめ人々の生活に関する様々な事業を行っています。各事業を取り巻く法規制は多岐にわたり、建築基準法、建設業法、建築士法、宅地建物取引業法、住宅品質確保促進法、介護保険法、廃棄物の処理及び清掃に関する法律、労働基準法、労働安全衛生法等に加え、個人情報保護法など、多くの法規制に従う必要があります。当社グループでは次のような対策によりこれら法規制の遵守に努めていますが、これらの法規制に適合しない事態が発生した場合、罰金や、行政処分による事業の制約によって社会的信用が低下し、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

① 執行役員を委員とする「リスク管理委員会」を設置し、各部署選定の全リスク項目から抽出した「重点管理リスク」の顕在化事例や、リスク回避のための対応の実効性について、定期的に確認と協議を行っています。

② 親会社総務部のリスク管理・コンプライアンスグループでは、国内関係会社に対して、各種法令の遵守状況について一斉点検を実施しています。実施後には、点検で見つかった指摘事項について、各関係会社にフィードバックを実施し、各社が体制の強化や是正に取り組むよう指導しています。

③ 各事業本部管理部門による、支店や建築現場に対する監査や実査を実施しています。

④ 上記の点検や監査は、事業に応じて取得しているISO規格に基づいて実施するなど、実効性のあるマネジメント体制を構築しています。

(3) 為替に関するリスク
当社グループは、海外関係会社を通じて海外での事業活動を展開している他、木材・建材の外貨建ての輸出入取引や三国間取引を行っております。海外での事業活動及び外貨建ての取引では、為替変動により外貨建ての収益及び費用の円換算額が増減したり、為替換算調整勘定を通じて純資産が増減したりするリスクが存在します。これらのリスクに対応するため、当社グループでは為替予約を行うなどの対策を取っていますが、急激な為替変動は、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

(4) 品質保証に関するリスク
当社グループは、国内外で取扱商品・サービス及び住宅等の品質管理に万全を期しておりますが、予期せぬ事態や人為的ミスによる重大な品質問題等が発生することを、完全に回避することはできません。具体的には、品質保証責任を問われる住宅等の重大な欠陥、有料老人ホーム運営事業等における高齢者向け事業特有の事故等が発生する場合があります。また特に海外においては、品質不良を原因とするクラスアクション等の訴訟により、高額の賠償責任や対応費用が生ずるリスクがあります。さらには、合法性や持続可能性に疑義のある木材の調達により、政府によるペナルティや環境保護団体等からの批判を受けるリスクがあります。これらのリスクに備え、当社では次のような対策を取っていますが、多額の損害賠償や社会的信用の失墜が発生した場合には、こうしたリスクの顕在化が、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。なお、リフォーム事業を行っている子会社において発生した、戸建住宅の増築工事における建築基準法令への不適合について、調査結果を踏まえ、補修費用等の対応費用が発生するリスクがあります。

① 法規制に適合する部材の使用、有資格者の適切な配置、適切な施工体制の整備を徹底しています。

② 戸建住宅事業において、長期保証制度を設け、きめ細やかなアフターサービスを提供しています。

③ 有料老人ホーム事業においては、オペレーションミスによる事故を回避するため、サービス提供手順のマニュアルを作成し、周知を徹底しています。施設内でインフルエンザ等の感染症が蔓延するのを防止するため、社員に 予防接種を義務付けるなど感染症対策にも努めています。

④ 木材の調達に関しては、調達部門及びサステナビリティ推進部門による「木材調達委員会」を定期開催し、合法性と持続可能性の確認及び勉強会などを含む情報共有を実施しています。

(5) 取引先への信用供与に関するリスク
当社グループは取引先に対する売上債権等の信用供与を行っており、信用リスクの顕在化を防ぐために適切な限度額を設定するなど、与信管理を徹底しておりますが、それでもなおリスクが顕在化する可能性を完全に回避することは困難です。また、信用リスクが顕在化した場合の損失に備えるため、一定の見積りに基づいて貸倒引当金を設定しておりますが、実際に発生する損失がこれを超過する可能性があります。このため、取引先の支払い不能等の信用リスクの顕在化は、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

(6) 海外での事業活動に関するリスク
当社グループは、海外で事業活動を展開している他、海外商品の取扱い等、海外の取引先と多くの商取引を行っております。各国の政治・経済・社会情勢の変化を注視し、現地の法規制等の遵守、慣習による贈収賄の横行や社員による着服の防止、重大労災の発生防止等に努めていますが、特に、当社グループの木材の調達先及び製造拠点の一部であり、大規模植林事業も展開しているパプアニューギニアやインドネシアなどの新興国においては、これらのリスクが顕在化する可能性を完全に回避することは困難です。社内管理の不備により、法規制への違反や不法行為などのコンプライアンス違反が発生し、高額の金銭の流出事件が発生したり、現地政府からペナルティを受けたり、死亡労災等を防げずに被災者遺族から多額の損害賠償請求を受けたりした場合、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。こうしたリスクを最小化するために、当社では次のような対策をとっています。

① 海外の各製造拠点において、労働安全衛生体制の整備に努め、使用する重機の安全装置や作業者の安全装備を充実させるとともに、積極的な従業員教育に取り組んでいます。

②社内監査、会計監査、税務調査などで発覚した指摘事項を関係会社各社で共有し、より効果的な管理体制の構築に努めています。

③ 海外関係会社各社に、贈収賄防止規定を整備しています。

④ 海外出張者・海外駐在員に対し、渡航前に安全教育や危機管理研修を実施しています。

(7)保有・管理する山林や植林事業地に関するリスク
当社グループは、国内社有林で計画的な森林経営を展開する他、海外でも広大な植林地を管理し、生物多様性の保全や地域社会の発展に貢献するための活動を実施しています。国内外で所有・管理する山林・植林地では、以下のような取り組みやリスク対策を実施していますが、大規模な山林火災や病害虫による植林木の損失や、誤った伐採可能量の試算による過剰伐採、地域住民からの反発、環境保護団体からの批判活動が長期間続いた場合には、これらのリスクの顕在化が、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

① 国内外の社有林及び植林事業地で、植林・育林・収穫を計画的かつ継続的に実施する保続林業の考え方を基本に、持続可能な木材生産に努めています。過剰に木材を伐採することがないよう、施業計画の立案とこれに沿った森林経営を実施しています。

② 山林火災防止のため、火災リスクの高い時期における関係者以外の管理地への立ち入り規制や、数値化した火災リスクに応じた現場オペレーションの制定・遵守等を実施しています。また、火の見櫓から煙の発生を監視したり、パトロールを実施したりするなど、早期の火災発見体制も整備しています。

③ 植林木の育成が阻害されないよう、計画的な間伐や下草等の刈払いなどの植林事業地全体の日常的な管理を徹底し、適時生育状況をモニターすることにより病虫害を防止するとともに、獣害防止にも努めています。

④ 国内外の社有林及び植林事業地を取り巻く地域社会への貢献に努め、地域社会の発展に寄与する事業を展開しています。特に大規模植林事業を展開するインドネシアやパプアニューギニアでは、地域の雇用創出、ライフライン設備の建設、環境教育等の活動を地道に展開し、地域に根差した活動を目指しています。

⑤ 国内外における森林資源の管理・活用拡大にあたっては、気候変動対策や生物多様性保全に配慮した取り組みを実施しています。具体的には、植林計画立案時の、地形や地質、生息する希少動物の把握に至るまでの詳細な調査実施などに努めています。

(8) 情報漏洩に関するリスク
当社グループは、国内外の住宅・不動産事業等においてお客様に関する膨大な個人情報を保有しており、筑波研究所等の研究機関においては長年の研究成果等の大量の機密情報を保有しています。重要な情報の管理には万全を期していますが、個人情報等を含む書類・社給端末の盗難、従業員及び委託先等の人為的ミスなどの内部要因による情報漏洩、及び悪意ある第三者からの攻撃などの外部要因による情報漏洩を完全に回避することは困難です。個人情報が外部に流出した場合には、お客様及びマーケット等からの社会的信用の失墜や被害にあわれたお客様からの損害賠償請求を招く可能性や、会社の機密情報が流出した場合には、市場における競争力の低下や共同研究先からの損害賠償請求等を招く可能性があり、これらの情報セキュリティリスクの顕在化は、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。なお、このようなリスクを低減するために、当社では次のような対策をとっています。

① 全従業員を対象に、個人情報や機密情報の取り扱いに関する研修を定期的に実施しています。

② 内部からの情報漏洩と外部からの侵入の両方に対するセキュリティ強化のため、多層防御システムを構築しています。また、システム担当者による情報漏洩を防ぐため、社内システム部門の承認手順を多重化するなどの対策を実施しています。

③ 個人情報や機密情報の電子化と、一定基準のセキュリティ設定をした社給端末への集約を推進し、書類の紛失による情報流出リスクに対応しています。

④ シンクライアント端末を導入し、端末紛失時の情報流出リスクに対応しています。

⑤ 研究・開発に関する機密情報等、企業秘密を取り扱う案件では、必ず関係先と秘密保持契約を締結しています。

(9) 退職給付会計に関するリスク
当社グループは、退職給付会計に係る数理計算上の差異について、発生年度に一括して費用処理する方法を採用しています。期初時点での想定よりも年金資産の運用環境が悪化した場合や、退職給付債務の計算に用いる割引率が低下した場合、数理計算上の差異の償却費用が発生し、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。このような数理計算上の差異の発生に伴う損益変動リスクに対応するため、確定給付型と確定拠出型を組み合わせた退職給付制度を導入している他、年金資産の運用において安全性と収益性を考慮した適切な投資配分などを行っています。

(10) 気候変動に関するリスク
当社グループは、持続可能で豊かな社会の実現に貢献することを経営理念として、様々な事業活動を展開しています。持続可能性の観点から注目されている気候変動の問題に対しては、2018年7月に温室効果ガスの長期削減目標であるSBT(Science Based Targets)を策定し、それを中期経営計画や単年度予算に織り込んで、目標実現のための進捗管理を行っています。その他にも、都市型及び山間地型のバイオマス発電事業、東南アジア・オセアニア諸国における大規模植林活動等の推進に取り組むとともに、木の需要を高めることで気候変動に対応すべく、研究技術開発構想「W350計画」を筆頭に、研究開発・技術革新の加速を図っています。2015年のパリ協定では、気温上昇を1.5℃に抑える目標が設定されましたが、気温上昇が2℃を超えることで、温暖化による海面水位の上昇、生態系の変質や生物種の喪失割合の拡大、食糧安全保障への影響拡大等により世界全体での経済損失の拡大が予測されており、より一層の気候変動対策が求められています。当社においても、気候変動に伴う異常気象の発生や気候帯の変化による都市や森林の遷移、生物多様性の変質などの外的要因により、生物資源である木材の調達に著しく支障をきたした場合、また、それらの対策のために国内外の法規制等の変更がなされた場合、上記の取り組みにもかかわらず、問題解決のための追加の対策コストが必要となる可能性があります。これらのリスクの顕在化は、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

(11) 自然災害等による緊急事態の発生に関するリスク
当社グループでは、大規模な地震や風水害等の自然災害、戦争、火災、テロ、新型インフルエンザ等を含む重篤な感染症、暴動などの危機事象が発生し、従業員の生命に危機が生じるような緊急事態に陥った場合に備え、全社的な事業継続マネジメント(BCM)を推進しています。具体的には、緊急事態の発生に伴う事業中断による業績への影響の最小化を目的に、平時における活動と緊急事態発生時の対応方針等の基本事項を定める「BCM規程」を制定し、事象別の事業継続計画(BCP)を策定しています。個別のBCPを実現させるため、安否確認システムの導入、帰宅困難対策、防災訓練、必要物資の備蓄等を実施、また大規模停電等による本社機能喪失を想定したデータ保存の二重化、代替拠点やインフラの整備、代替拠点における重要業務の代行要員の確保などに取り組んでいます。しかし、危機事象の多くは発生を予測することが困難であり、このような対策をもってしても全ての被害や影響を回避できるとは限りません。

(12) 新型コロナウイルス感染症が事業に与える影響に関するリスク
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な感染の拡大を受け、当社グループでは、社長を本部長とする新型コロナウイルス対策本部を設置し、全社的対応方針の迅速な策定に努め、重要業務の維持継続及び事業への影響の最小化に取り組んでいます。具体的には、国内外の全社員及びその家族の健康と安全を最優先事項とし、次のような対策を実施しています。

① 事業所ごとの在席率に目安を設け、時差出勤やシフト制勤務の実施、テレワークの活用等、社員の感染予防を徹底しています。

② 医療リスクの高い国に駐在する社員及びその帯同家族は原則全員帰国させ、日本国外への異動予定者については、現地への赴任を延期するなどの対応を実施しています。

③ CM活動の一環として備蓄していたマスクや消毒液などを、国内外の各事業拠点に配布しています。

④ 在宅勤務状況下でも社員が十分なコミュニケーションをとり、重要な情報にアクセスできるよう、テレビ会議ツールやお知らせ周知用の掲示板を整備するなど、様々な対応を実施しています。


しかし、今後、世界的な感染拡大が収束せず事業活動への制約が長引いた場合、下記のようなリスクの顕在化が、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

(イ)サプライチェーン及び事業継続に関するリスク
当社グループでは、住宅資材のサプライチェーンに対し、中国を含む各国の製造拠点の操業状態や在庫状況をモニタリングし、調達に支障をきたさないよう対策を実施しています。ただし、中国で感染が再拡大した場合や他の資材調達先の国々で感染が拡大した場合、住宅資材の調達に支障が生じ、住宅の完工時期に影響を及ぼす可能性があります。また、海外関係会社各社において、支払業務等の重要業務を継続するため、あらかじめ策定しているBCPに基づいた対応を実施していますが、コロナウイルス感染拡大による経済活動低迷が継続した場合、当該海外関係会社の資金繰り悪化に対する追加資金調達を要したり、当初計画していた利益の計上や投資の回収が困難になったりする可能性があります。

 

(ロ)国内外の住宅市場の動向に関するリスク((1)に関連)
国内外における新型コロナウイルスの感染拡大の影響による経済活動の鈍化、景気の見通しの後退、雇用環境の悪化が、個人の消費を落ち込ませ、お客様の住宅購買意欲を減退させる可能性があります。特に、当社グループは米国における住宅・不動産事業を展開していますが、米国での新型コロナウイルス感染者数は世界最多となっています。感染拡大収束後の景気の後退、失業率の増加、個人消費の停滞などが予測されるため、当社グループの戸建住宅の売上が落ち込む可能性があります。

(ハ)取引先への信用供与に関するリスク((5)に関連)
新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、当社グループの取引先事業者が、資金繰りの悪化などによる支払い不能等に陥る可能性があります。信用供与にあたっては、適切な限度額や貸倒引当金の設定を行うなどの対策を実施していますが、実際に発生する損失がこれを超過する可能性があります。

(ニ)資金調達に関するリスク
当社グループは、金融機関からの借入、社債及びコマーシャル・ペーパーの発行等により資金調達を行っています。これに関し、金融機関との取引関係の維持、調達先の分散、複数の金融機関とのコミットメントライン(特定融資枠)の設定など、資金調達リスクを軽減するため様々な対応策をとっていますが、新型コロナウイルスの影響による経済環境の変化や金融資本市場の混乱等により、資金調達コストが増加したり資金調達に制約を受ける可能性があります。

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