ニュースリリース(2011年)

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2011年4月25日

防火規制の厳しい地域における伝統的な日本建築の意匠を可能に!
「木造準耐火真壁構造」の開発に成功
~ 都市部における和室提案での差別化に ~

住友林業株式会社(社長:市川 晃 本社:東京都千代田区大手町)は、数奇屋造りや書院造りなどの日本の伝統的な工法に見られる内装仕上げである真壁造りを、防火地域や準防火地域などの防火規制の厳しい地域においても建築できる「木造準耐火真壁構造」を新たに開発しましたので、お知らせいたします。


今回開発した「木造準耐火真壁構造」は、当社が開発したオリジナルの技術として特許出願をしており、 「住友林業の家」の標準的な柱の太さや壁の厚みを変えることなく、防火地域での木造住宅や準防火地域での3階建て木造住宅において、内装の真壁仕上げを可能にしています。なお、耐力壁として構造計算に算入可能な外壁、および間仕切壁について国土交通大臣の認定試験に合格しております。


※真壁:柱と柱の間に壁を納め、柱が見えるようにした壁。一般に和風の部屋に見られる。これに対して、柱を外側に出さず壁だけを見せるものは大壁と呼ばれ、洋風の部屋に多く見られる。

 

目的
 

柱や梁を壁から露出した「現し(あらわし)」という工法は真壁造りといわれ、日本の伝統的な和室などの意匠として親しまれてきました。しかしながら、法規制や施工コスト、建築資材の変遷などを要因として、最近の一般的な住宅では見る事が少なくなっております。木造注文住宅のトップブランドである当社では、防火規制の厳しい地域においても、真壁を採用したこだわりの和室に対する顧客の要望が少なくありません。このような要望に応えると同時に日本の伝統工法の継承にも役立てるべく、「木造準耐火真壁構造」の開発に取り組みました。

 
背景
 

当社では住宅事業に進出して以来、木造注文住宅を中心に建築してまいりましたが、その歴史の中で乾燥材や集成材を先駆的に採用しており、同時にCADの導入による構造設計などをオープン化にすることで、日本の木造住宅の発展に努めてまいりました。

一方、当社は独自の技術で木造軸組み工法を進化させた「マルチバランス構法」や日本初となる木質梁勝ちラーメン構造の「ビッグフレーム構法」を開発しており、その確かな住宅性能に基づく、安心・安全、快適な住まいを提案しております。真壁造りは視覚的な落ち着きを感じるばかりではなく、木を適材適所に活用する日本古来の建築手法であり、最新のテクノロジーによって真壁造りを発展させることは、伝統文化を未来につなげる一助になると考えます。

 
テクノロジー概要
 

防火規制の厳しい地域では、外壁や間仕切壁には準耐火構造に相当する性能が求められます。室内火災に対する安全性を確保する必要があり、柱や梁を露出させた「現し」とする場合、火災時に構造材が直接加熱を受けて燃焼・炭化して断面欠損するため、従来の工法では現実的には不可能とされていました。

今回、当社が開発した「木造準耐火真壁構造」は、木受材や金物を用いて「住友林業の家」の標準的な105mm角柱を補強した後に強化せっこうボードなどによる標準的な内装施工をすることで、室内空間の有効面積を損なうことなく、準耐火構造45分以上の性能を実現しています。

さらに、「木造準耐火真壁構造」は新築時の施工に加え、耐火リフォームにも応用できるため、防火構造や準耐火構造の性能を維持しながら大壁の内壁を真壁に変更することも可能であり、木造戸建住宅にとどまらず、耐火性能を求められる伝統的建造物などへの適用など、その可能性が広がると考えております。

 
大臣認定試験
 

2011年3月から4月にかけて、(財)建材試験センターにて実施した大臣認定試験では、試験体を幅3,000mm、高さ3,230mmの実大規模で制作し、105mm角の杉集成柱を中央に配して、外壁側には太い木受材を、内壁側には一般的な寸法の木受材の上から補強金物を、それぞれ設置しました。外部仕上げとなる外壁側は壁内に断熱材を充填したモルタル15mm仕上げとし、内装となる内壁側は強化せっこうボード12.5mm仕上げとして試験を実施しております。


(財)建材試験センターの業務方法書に従い、ISO834に準拠する中央の「現し」とする柱に長期許容応力度に相当する荷重を行い、外壁の屋外側と室内側、および間仕切壁の3種類の試験体に対する45分間の加熱試験を各2回、合計6回実施しております。


防耐火性能評価では、遮炎性(裏面側への火炎貫通等がないこと)、遮熱性(裏面側温度が初期値に比べて最高180℃、平均で140℃上昇しないこと)、非損傷性(軸組み方向の収縮量が32.3mm、収縮速度が9.7mm/分を超えないこと)の3点において、外壁、間仕切壁ともに十分な余裕を残し、準耐火構造45分以上の性能があることが確認されております。

 
 
  準耐火構造45分の大臣認定試験に合格した真壁仕様(左:外壁、右:間仕切壁)
準耐火構造45分の大臣認定試験に合格した真壁仕様(左:外壁、右:間仕切壁)
 
 
  ISO834標準加熱温度曲線
ISO834標準加熱温度曲線
加熱45分時の試験体裏面(間仕切壁)
加熱45分時の試験体裏面(間仕切壁)
 
 
  防耐火性能評価
  遮炎性*1 遮熱性*2 非損傷性*3
火炎貫通 平均裏面温度 最高裏面温度 最大軸方向
収縮量
最大軸方向
収縮速度
外壁屋外側加熱2試験
外壁室内側加熱2試験
間仕切壁2試験
各試験共通
なし 100℃以下 100℃以下 2mm以下 0.3mm/分以下

*1:非加熱側へ10秒を超えて継続する火炎の噴出がないこと、非加熱面で10秒を超えて継続する発炎がないこと、火炎が通る亀裂等の損傷を生じないこと。

*2:試験体の裏面温度上昇が平均で140℃以下、最高で180℃以下であること。

*3:最大軸方向収縮率が32.3mm以下、最大軸方向収縮速度が9.7mm/分以下であること。


以上
≪本件に関するお問合せ先≫
住友林業株式会社
コーポレート・コミュニケーション室 大屋・佐藤
TEL:03-3214-2270
FAX:03-3214-2272

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