ニュースリリース
(2020年)

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2020年06月12日

~厚さ36㎜から90㎜までのCLTをふんだんに活用~
薄物CLT建築の木質構造躯体工事を担当

 住友林業株式会社(社長:光吉 敏郎 本社:東京都千代田区 以下当社)は、建築資材の流通を軸に事業を展開する株式会社ミヨシ産業(社長:谷野 利宏 本社:鳥取県米子市 以下ミヨシ産業)広島営業所新築工事で、木質構造部材の調達・加工及び躯体工事を担当しました。6月13日に開設する本物件は事務所棟と倉庫棟からなる薄物CLTのみで建築された物件であり、林野庁の2019年度CLT活用建築物実証事業に採択されています。

 本物件にはミヨシ産業の関係会社である株式会社鳥取CLTが生産するCLTを主に用いました。鳥取CLTは90mm以下の薄物CLTを専門とする製造会社で、本物件には36mm、45mm、54mm、72mm、90mmの5種類の厚さのスギCLTが合計80立方メートル使用されています。

 厚く、大判の製品が製造できるというCLTの特徴から、日本のみならず世界的にも厚物CLTを用いることが多い非住宅建築において、本物件は薄物CLTのみで構成されています。薄物CLTだからこそ表現できる繊細なデザインが特徴で、Hafnium Architects/ハフニアム アーキテクツが意匠・構造設計、現場での設計監理を一貫して担当しました。デザイン性を兼ね備えた構造躯体として、様々な厚さのCLTが適材適所に活用された設計です。

 元請である蜂谷工業株式会社による綿密な工程管理、施工指導のもと、当社は専門工事業者(サブコントラクター)として、施工図の作成、製造工場・加工工場に対する品質管理、施工計画立案を行い、2020年1月より建て方工事を開始しました。

 事務所棟は一部の柱に72㎜厚CLTを用いた在来軸組工法で、庇を兼用する臥梁(がりょう)※1を45㎜厚CLTで構成。屋根を支える小屋組は加工難易度の高い三角形の54㎜CLTを組み合わせた立体張弦トラスとし、9.1mスパンの構造美あふれる執務空間を実現しました。

 倉庫棟は主構造をCLTとした工法です。90㎜厚CLT壁柱の上部に72㎜厚CLTで臥梁を設け、小屋組はスパン13.2mの集成材張弦トラスに室内側(下面)に36㎜厚CLTを用いたストレスト・スキン・パネル※2(SSP)を架け渡し、倉庫とは思えないような表情豊かな大空間を実現しています。壁柱相互間には、様々な建材商品をストックするための棚板を36㎜厚CLTで設置しました。 CLTをはじめとする木質構造部材は形状に応じた工場の選定を行い、CLTマザーボードを2工場から調達し、加工工場を3社起用しました。また現場での施工日数短縮のため、SSPは鳥取CLTの近傍にある倉庫内でパネル化し、わずか3日での敷設を実現しました。

※1外壁の頂部を固める板状の水平梁のこと  ※2垂木枠材をCLTと構造用合板で挟んだパネル

倉庫棟 図

 

ストレストスキンパネル イラスト

事務所棟内観

 

倉庫棟内観

 木構造推進室は木質構造部材の調達・販売のみならず、サブコントラクターとして躯体工事も行うことでより付加価値の高い機能を提案できる体制を構築すべく、2018年4月に発足。これまで「天草市複合施設」の屋根トラス架設工事、「九電工久香園別府保養所」・「城南信用金庫高円寺支店」の木質ハイブリッド躯体工事などに取り組んできました。耐火木造建築をはじめとする各種中大規模建築物の木造化・木質化を推進する当社グループにおいて、事業領域と販売チャネルの拡大に寄与しています。住友林業グループは今後も、木質部材の調達や製造、設計・施工にいたるまで、「木」を扱うプロフェッショナルとして社会のあらゆるニーズに対応してまいります。

■物件概要

物件名

株式会社ミヨシ産業 広島営業所

所在地

:広島県広島市安佐南区伴南8015-1

延床面積

:事務所棟157.3㎡ 倉庫棟498.2㎡ 

構造

:木造(CLT)平屋建て

建物用途

:事務所および倉庫

竣工

:2020年5月

設計

Hafnium Architects/ハフニアム アーキテクツ
(旧名:福山弘構造デザイン)(本社:神奈川県川崎市)

施工

蜂谷工業株式会社(本社:岡山県岡山市)

木躯体工事

:住友林業株式会社


(参考)

以上

《お問い合わせ先》

住友林業株式会社

コーポレート・コミュニケーション部 橋本・河村

TEL:03-3214-2270