ニュースリリース
(2023年)
2023年02月14日
住友林業株式会社
英国不動産市場本格参入に向け合弁会社を設立
~欧州で環境配慮型開発・マスティンバー建築推進~
住友林業株式会社(社長:光吉 敏郎 本社:東京都千代田区)は2月1日、英不動産開発会社Bywater Properties(代表:Theo Michell、本社:英ロンドン、以下Bywater)の創業者と合弁会社Bywater SFC Holdings、Bywater SFC Management、Bywater SFC Investmentsの3社(以下Bywater SFC)を設立しました。脱炭素に関する事業方針が一致した両社はロンドン市内にマスティンバー建築※1の6階建木造オフィスビルを共同開発しており、新会社設立でさらなる関係強化を図ります。住友林業はBywater SFCの設立で英不動産市場に本格参入し、欧州でも環境に配慮した不動産開発やマスティンバー建築を推進していきます。
Bywaterはオフィスを中心に不動産の開発、企画、管理に特化した会社でロンドン、マンチェスター、グラスゴー、ベルファストなど英国主要都市でマスティンバー建築や環境配慮型不動産を開発しています。住友林業は2022年2月に英国現地法人Sumirin UK(代表:吉澤雄次郎 本社:英ロンドン)を設立しBywaterとオフィスビル開発で協業しています。
今後はBywater SFCが「Bywater」のブランド名で不動産開発を推進します。すでに木造集合住宅の開発、既存建物の改修、既存工法を使いながらの環境配慮型プロジェクト等を複数検討しており、欧州市場での早期事業拡大を目指しています。
■住友林業グループのシナジー
当社は1995年のオランダ・アムステルダム駐在員事務所の開設以来、日本市場向けに欧州産の良質な住宅用木材製品を安定供給してきました。CLT等のエンジニアードウッドの世界的生産量・技術力を誇る欧州で、日本企業トップクラスの欧州材取扱高を持つ当社のネットワークを活用し不動産開発事業の拡大を後押しします。
■英国の市場環境
世界の気候変動政策を主導する欧州は環境に配慮した住宅・不動産の需要が大きく、特に英国は「建てるときのCO2排出量」や建物・家具等のHWP(伐採木材製品)※2が固定する炭素量の見える化など「脱炭素の評価手法」を確立した環境先進市場です。英国の建築物環境性能評価基準(BS EN15978)※3では持続可能な森林から調達した木材を用い解体後に木材を再利用する設計とすると、木材炭素固定量を建物の生涯炭素排出量(Whole Life Carbon)のマイナスとみなして計算できます。近年は木造耐火技術等の発展に伴い建築認証制度や行政の許認可プロセスも整理され、中大規模木造建築の施工事例が増えてきました。さらに英国は欧州の商業用不動産投資額や住宅取引件数※4で1位、ロンドンは法整備や取引情報の開示等を評価する不動産透明度ランキング※5で長年1位を維持するなど、市場の健全性も高く評価されています。
■今後の展開
住友林業は米国でツーバイフォー工法の大規模な木造集合賃貸住宅を年間4,000戸超開発、豪メルボルンで15階建、英ロンドンで6階建、米ダラスで7階建、米アトランタで3階建のマスティンバー建築のオフィスビルを開発するなど、国内外で中大規模木造建築を手掛けています。今後はBywater SFCを通じて英国でも環境に配慮した不動産開発やマスティンバー等を用いた中大規模木造建築を推進。すでに不動産開発事業を展開する米、豪、アジアで事業を拡大するとともに、欧州を中心とした新規市場の開拓も進めます。
さらに省エネ・創エネ、再生可能エネルギー利用、炭素クレジットによるオフセット等を組み合わせ、「暮らすときのCO2排出量(オペレーショナル・カーボン)」を実質ゼロにする「ネットゼロカーボン建築」の普及も目指します。健全な不動産市場を有し木造や環境配慮の建築を評価する環境が整った欧州でさらなるネットワークを構築し、ネットゼロカーボン建築を推進します。
住友林業グループは森林経営から木材建材の製造・流通、戸建住宅をはじめとした木造建築請負や不動産開発、木質バイオマス発電まで「木」を軸とした事業をグローバルに展開しています。2030年までの長期ビジョン「Mission TREEING 2030」では住友林業のバリューチェーン「ウッドサイクル」を回すことで、森林のCO2吸収量を増やし、木造建築の普及で炭素を長期にわたり固定し、自社のみならず社会全体への脱炭素に貢献することを目指しています。長期ビジョンで事業方針の1つに掲げた「グローバル展開の進化」を推進し、欧州でも脱炭素化への取り組みを加速させます。
※1. CLT、LVL等、複数の木材を組み合わせて成形した比較的質量や体積の大きいエンジニアードウッドである「マスティンバー」を用いた建築。住友林業とBywaterがロンドンで開発中のオフィスビルに関するリリースはこちら:https://sfc.jp/information/news/2022/2022-02-14-01.html
※2. Harvested Wood Product(伐採木材製品)の略。建物や家具等に用いられる搬出後の木材を指す。京都議定書の第2約束期間以降、HWPに固定されている炭素量の変化を温室効果ガスの吸収量・排出量として計上できるようになった。
※3. 欧州統一規格を基に規定された英国の国家規格。BS EN は British Standard European Normの略。
※4. European Mortgage Federationが発表する欧州各国の年間住宅売買件数。
※5. 不動産市場透明度とは法整備・専門家・不動産取引における情報の公開状況・投資家保護制度の観点での総合評価を行うもの。同ランキングはJLL社・LaSalle社が作成している。
■ロンドンで建築中の6階建木造オフィスビル内観
■住友林業グループの中大規模木造建築
(参考リリース・WEBサイト)
・ 豪メルボルン/15階建木造オフィス(リリース):https://sfc.jp/information/news/2021/2021-10-06-01.html
・ 英ロンドン/6階建木造オフィス(特設サイト):https://paradise11.co.uk/
・ 米ダラス/7階建木造オフィス(リリース):https://sfc.jp/information/news/2022/2022-12-26-02.html
・ 米アトランタ/3階建木造オフィス(リリース):https://sfc.jp/information/news/2022/2022-12-01.html
・ 東京都/桐朋学園宗次ホール(リリース):https://sfc.jp/information/news/2022/2022-05-13.html
■Bywater SFCグループ概要
今回新設する3社(①Bywater SFC Holdings、②Bywater SFC Management、③Bywater SFC Investments)を総称してBywater SFCグループと呼びます。住友林業は100%子会社Sumirin UKを通じてBywater SFC Holdingsに出資。Bywater SFC HoldingsはBywater SFC ManagementとBywater SFC Investmentsを統括する持株会社で、Bywater SFC Managementは各プロジェクトの開発管理、Bywater SFC Investmentsは各プロジェクト会社への出資を担当します。主に不動産開発を担当するBywater SFC Managementの概要は以下の通りです。
本 社 |
:英ロンドン |
代表者 |
:Patrick O' Gorman |
設 立 |
:2023年2月 |
事業概要 |
:欧州での不動産開発 |
■Bywater Properties概要
本 社 |
:英ロンドン |
代表者 |
:Theo Michell |
設 立 |
:2008年8月 |
事業概要 |
:オフィス開発を中心に開発企画・管理機能に特化したブティック型の事業モデルで、ロンドン、マンチェスター、グラスゴー、ベルファストなど英国主要都市で不動産開発事業を展開。中大規模木造建築などのCO2排出等を抑えた環境配慮型の開発を得意とする。 |
■Sumirin UK概要
本 社 |
:英ロンドン |
代表者 |
:吉澤雄次郎 |
設 立 |
:2022年2月 |
出資関係 |
:住友林業が100%出資 |
事業概要 |
:住友林業グループの欧州事業の統括 |
■本リリース配布先
国土交通記者会、国土交通省建設専門紙記者会、林政記者会
以上
≪お問い合わせ先≫
住友林業株式会社
コーポレート・コミュニケーション部 河村・川上
TEL:03-3214-2270