住友林業グループの
サステナビリティ経営

SDGsへの貢献と重要課題

基本的な考え方

2015年に国連総会において採択された「持続可能な開発⽬標(Sustainable Development Goals: SDGs)」は、貧困や不平等、教育、環境などに関連して、 2030年までにあらゆる国と地域が達成するべき17の⽬標です。地球上の様々な課題解決を図り、誰⼀⼈取り残さないより良い国際社会の実現を理念として掲げています。SDGsで示される社会課題の解決に向けて取り組むことは、住友林業グループの新たな事業機会の創出や事業成⻑へつながります。⼀⽅で、取り組みが⼗分に⾏われない場合、法規制対応への遅れやレピュテーションの低下などのリスクへつながる可能性があります。

中期経営計画サステナビリティ編2024とSDGs

住友林業グループでは2022年2月、SDGsの目標年でもある2030年を見据え、脱炭素社会の実現に向けて、住友林業グループとしてのあるべき姿を事業構想に落とし込んだ長期ビジョン「Mission TREEING 2030」及び中期経営計画「Mission TREEING 2030 Phase 1」 (2022 年~2024 年)を新たに策定しました。5つの基本方針の一つには「事業と ESG の更なる一体化」を掲げており、これに基づきサステナビリティ戦略及び重要課題を組み入れた「中期経営計画サステナビリティ編 2024」を定めています。「中期経営計画サステナビリティ編 2024」では、住友林業グループが定めた9つの重要課題へ取り組む2024年度までの具体的な数値目標を、SDGsの視点を織り込み事業本部ごとに、より細かく設定しています。これら指標の達成を目指すことで、持続可能で豊かな社会の実現に貢献していきます。

重要課題とSDGs(目標及びターゲット)

住友林業グループでは、特定した重要課題とSDGsへの取り組みを一体化するために、SDGs(目標及びターゲット)との関係性を以下のように整理しています。活動においては、中期経営計画サステナビリティ編に基づき、2024年度をターゲットとした評価指標(数値目標)を用い、各事業本部が PDCAサイクルをまわし継続的に推進することとし、SDGs達成へ向けた体制を整えています。

9つの重要課題 重要課題 詳細 関連するSDGs
(目標及びターゲット)
①森林経営による「森」と「木」の価値向上 「森」を育てることで、「木」をはじめとする森林資源の価値を高め、引き出す
13.1

15.1
15.2
15.3
15.4
②「森」と「木」を活かしたカーボンニュートラルの実現 自らの二酸化炭素の排出を削減するとともに、炭素を吸収・固定した「木」を届けること、また低炭素・脱炭素商品・サービスを提供することによって、社会の脱炭素化に貢献する
7.2

13.1
13.2
③「森」と「木」を活かしたサーキュラーバイオエコノミーの実現 自然のエコシステムで再生可能な「木」という「森林」由来の素材の強みを活かしながら、あらゆる資源が循環する社会を実現する
7.2
11.6

12.2
12.5

15.1
15.2
15.4
④広く社会に快適でぬくもりある空間の提供 広く社会に対して、安心・安全で、快適さとぬくもりのある空間を提供する
3.9

9.4

11.6
⑤事業を営む地域の人々の暮らしの向上 事業によって雇用を生み出すとともに、コミュニティの発展に貢献する
3.9

8.3

11.3
⑥働く人が活き活きできる環境づくり サプライチェーンに関わるすべての人が、安全で健康に、そして活き活きと働ける場にする
3.9

5.5

8.5
8.8
⑦「森」と「木」の新たな市場の創出 「森」と「木」の活用の深化と拡大によって、新たな市場を創出し、経済を豊かにする
9.4

11.3
⑧DX・イノベーションによる市場の変革 DX・イノベーションをはじめとする市場の変革を通じて、経済の効率性と付加価値を高める
9.4
⑨強靭な事業体制の構築 不測の事態にも強い体制を築き、価値を提供し続けることで、経済の安定に寄与する
16.5
16.7

SDGsの浸透

住友林業グループでは、事業を通じてSDGsに貢献するうえで、浸透・理解が肝要であると考えています。社員をはじめとするあらゆるステークホルダーの意識向上へ向けた様々な取り組みを行っています(以下は一例)。

SDGsワークショップ、認知度調査の実施

住友林業グループでは、外部講師を招き、SDGsと事業との結びつきを学ぶワークショップや研修を社員へ向けて実施しています。

ワークショップの一例としては、「経済」「社会」「環境」の世界状況を表すバロメーターを意識しながら「富を得ること」「悠々自適な暮らし」「環境保護」など、2030年までの人生のゴール目標の達成を目指すカードゲームを行います。そこで得た結果から「誰一人取り残さない」世界を実現するためにレゴブロックを用いて住友林業として何ができるのかをグループに分かれて話し合います。

2020年度は国内グループ社員に対し住友林業グループのSDGsへの取り組みの認知度調査を行い、SDGsの認知度は87%という結果となりました。

住友林業グループでは、ワークショップの展開をはじめとして、社内外へ向けてSDGsの理解と目標達成に向けた活動のさらなる浸透を図っていきます。

レゴブロックを用いたワークショップ

レゴブロックを用いたワークショップ

「新居浜市SDGs推進企業」に登録

SDGsのターゲット達成に向けて意欲的に取り組む企業を支援する「新居浜市SDGs推進企業登録制度」に2021年2月、総務部新居浜事業所が選出されました。

住友林業の事業発祥の地である新居浜市において、障害者雇用の促進、持続可能性や生物多様性に配慮した木材・資材の調達、社有林管理を通じた森林の公益的価値の創造等のSDGs目標達成に資する活動をこれからも推進していきます。

2022年3月には、SDGs目標達成に向けた取り組みや活動の進捗状況、新たな指標となる2024年度目標の報告を行いました。

「新居浜市ESD(持続可能な開発のための教育)主任研修会」を開催

2021年11月、新居浜市教育委員会からの依頼を受け、市内各小・中学校のESD主任教師(26名)に対する研修会を、住友林業の森林情報発信施設であるフォレスターハウスにて開催しました。

研修会では、住友林業グループの事業紹介及び森のエコシステムの説明などの座学と周辺散策や実験林(固定標準木)の見学といったフィールドワークを実施し、住友林業の歴史や取り組み、理念などを学んでもらいました。

今後は、学校への出前授業の開催など、新居浜市のSDGs達成へ向けた取り組みに協力していきます。

新居浜市内小学校での出前授業の開催

新居浜市教育委員会では、持続可能な社会の担い手を育てるため、学校と地域が連携した教育活動を展開しており、住友林業に対し環境教育への協力依頼があったことから、各小学校を訪問し出前授業を開催しました。

出前授業では、住友林業の仕事や取り組み事例を紹介しながら、木や森のはたらき、公益的機能などを学んでもらいました。

2022年3月開催 泉川小学校4年生

2022年3月開催  垣生小学校5年生

「かながわSDGsパートナー」への登録

神奈川県が、県と連携した取り組みを促進させることを⽬的とし、県内のSDGsに取り組んでいる企業団体等を登録する、「かながわSDGsパートナー」に2020年4月より住友林業として登録しています。温室効果ガスの削減のためZEHを広く普及させることで気候変動問題への貢献、経済の活性化、環境意識の浸透を目指しています。また、関係拠点に在籍する社員の意識向上を目指し、神奈川エリアにおける ZEHの普及状況を四半期毎に社内にアナウンスしています。これら活動等を受け、受注時のZEH比率は2021年67.7%から、 2022年には 78.7%と上昇しました。

かながわSDGsパートナーロゴ かながわSDGsパートナーロゴ

かながわSDGsパートナーロゴ

「静岡市SDGs宣言」へ賛同

住宅事業本部静岡支店では2019年11月より、静岡市内の事業所や団体等によるSDGs活動を促進し、優良事例の発掘と横展開を図る「静岡市SDGs宣言」に賛同し、取り組み目標としてZEH普及を80%以上にすることなどを掲げました。

また、2022年2月に静岡県立浜松北高校よりSDGsに関するオンライン取材をうけ、国際科1年生10名へこれら取り組みについて説明しました。

「前橋市SDGsパートナー制度」へ登録

住宅事業本部群馬支店は2022年11月に、SDGsの理念を踏まえ、地域課題の解決や、誰一人取り残さない持続可能なまちづくりを行うための共に取り組む企業・団体等として「前橋市SDGsパートナー制度」に登録し、SDGsの達成に向 けたアクション宣言に、ZEH普及80%を目指すことなどを掲げました。

小中学生向け学習Webサイト
「EduTown SDGs」への事例掲載

東京書籍によるSDGsに関する教育サイト「EduTown SDGs-わたしたちが創る未来-」では、小学生から中学生へ向け、SDGsの各目標を通してグローバルな視点で地球の未来を考え、自分たちにできることを考える教材を提供しています。同サイトにおいて、 2020年度より住友林業の取り組んでいる“木を育て、使うことで、森林の循環をつくる”活動がSDGsの目標15の事例として掲載されています。

「住友林業の家」のオーナーへ向けたSDGs の啓発

2022年6月発刊の「住友林業の家」のオーナー向け情報誌「すてきな家族」101号で、リボーンベジタブル(再生野菜)を紹介しました。同じく11月発刊の「すてきな家族」102号では、「住友林業×脱炭素」と題し、ウッドサイクルや植林について紹介しました。

また、「すてきな家族」101号より、送付用封筒をビニール製から紙製に変更しました。

すてきな家族99号 すてきな家族99号 すてきな家族99号

「すてきな家族」101号 リボーンベジタブル(再生野菜)

すてきな家族99号
すてきな家族99号

101号紙封筒

すてきな家族99号 すてきな家族99号 すてきな家族99号

「すてきな家族」102号 『住友林業×脱炭素』

すてきな家族99号
すてきな家族99号

102号紙封筒

サステナブルファイナンスにおける取り組み

ポジティブ・インパクト・ファイナンスの融資契約締結

2020年3月に、三井住友信託銀行株式会社と、国連環境計画・金融イニシアティブ※1が提唱するポジティブ・インパクト金融原則※2に即した「ポジティブ・インパクト・ファイナンス(資金使途を特定しない事業会社向け融資タイプ)」の融資契約を締結しました。これは住友林業のSDGsに貢献する取り組みが評価されたもので、本件借入については通常の融資と比べ金利水準が優遇されます。本件締結にあたって、株式会社日本格付研究所よりポジティブ・インパクト金融原則への準拠性、活用した評価指標の合理性について第三者意見※3を取得しています。

今後も、SDGsの目標達成に向けた取り組みをより一層強化し、中長期的な企業価値の向上を目指します。

※1 国連環境計画・金融イニシアティブ(UNEP FI):国連環境計画(UNEP)は、1972年に「人間環境宣言」及び「環境国際行動計画」の実行機関として設立された国連の補助機関。UNEP FIは、UNEPと200以上の世界の金融機関による広範で緊密なパートナーシップであり、1992年の設立以来、金融機関、政策・規制当局と協調し、経済的発展とESG(環境・社会・企業統治)への配慮を統合した金融システムへの転換を推進。

※2 ポジティブ・インパクト金融原則:UNEP Fが2017年1月に策定。企業がSDGsの達成への貢献を開示し、銀行はそのプラスの影響を評価して資金提供を行うことにより、資金提供先企業によるプラスの影響の増大、マイナスの影響の低減の努力を導くもの。融資を実行する銀行は、責任ある金融機関として、指標をモニタリングすることによって、インパクトが継続していることを確認。

サステナビリティ・リンク・ローンの融資契約締結

2022年8月に、株式会社三井住友銀行と、サステナビリティ・リンク・ローンを締結しました。サステナビリティ・リンク・ローンは借り手の経営戦略をもとにサステナビリティ・パフォーマンス・ターゲット(以下、「SPTs」)を設定。借入条件とSPTsの進捗実績を連動させて、環境的・社会的に持続可能な経済成長を促進します。本ローンの契約で設定したSPTsの達成を目指すことで、サステナビリティ経営の推進へとつなげていきます。
本件のSPTsは国際的なNGOのCDPが温室効果ガス排出削減活動や気候変動緩和対策の取り組みを評価する気候変動スコアを採用しています。

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