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国内における社会貢献活動事例
富士山「まなびの森」プロジェクト
富士山「まなびの森」プロジェクトは、台風により甚大な風倒被害を受けた富士山2合目に広がる国有林をもとの豊かな自然に戻すため、住友林業が設立50周年を迎えた1998年に開始したプロジェクトです。現在は、植栽したエリアの調査区で樹木の成長状況を「見える化」しながら、「まなびの森」自然林復元を見守っています。
2022年度はボランティア活動や環境教育の実施などにより、社内外の延べ1,636名が「まなびの森」を訪れました。これまでの累計訪問者は、約34,000名になりました。
森林(もり)づくりボランティア活動
1998年のプロジェクト開始以来、これまでに約3万本の地域固有の樹木の苗を植樹しました。延べ12,000名以上のボランティアが参加して、植樹と育林活動を進めてきました。
これまでの風倒被害林の森林づくり作業は、ヘキサチューブの撤去完了をもって一段落しました。2019年度からは森林づくり活動に必要な樹木調査を開始しました。2022年は樹木調査の4年目として、樹木医などの指導・協力の下、延べ71名のボランティアが参加し、 約1,800m2に植樹された510本の樹木の記録をデータベース化しました。
これまでボランティアによって植樹された樹木の成長を「見える化」することにより、より森林に親しみながら学べる場所「まなびの森」へとシフトしていきます。森を育てるには悠久の月日が必要であり、富士山「まなびの森」も100年の計画です。100年先の未来も継続していけるよう、森づくりや環境活動を通じて、一人でも多くの人に自然の大切さを知っていただく活動を続けていきます。
森林再生ボランティアの推移※
※ 2020年度以降の集計期間は各年1月〜12月、2019年度以前の集計期間は各年4月から翌年3月
環境学習支援プロジェクト
2006年度からNPO法人ホールアース研究所と連携し、地元小中学校の児童・生徒を対象とする「環境学習支援プロジェクト」を継続しています。活動内容は樹木や野生生物の足跡など生息痕跡の観察、五感を使ったゲームなどです。これらの自然を見つめ直す活動を通じて自然の大切さを知ってもらい、新しい自然との共存関係を考えることを目的としています。2022年度は16校1,110名の児童・生徒を招待しました。2022年度にはこれまで招待した児童・生徒数の累計が13,000名を超えました。
環境教育プログラムの推移※
※ 2020年度以降の集計期間は各年1月〜12月、2019年度以前の集計期間は各年4月から翌年3月
モニタリング調査
富士山「まなびの森」では、自然林の回復状況をモニタリング調査をしています。2000年から東京農工大学植生管理学研究室の協力の下、「植生調査」、日本野鳥の会南富士支部の協力の下、「鳥獣生息調査」を開始しました。また、2019年より常葉大学名誉教授の協力の下、「昆虫生息調査」を実施しています。これらの調査結果を活かして、今後の森林づくりの活動を継続していきます。
植生調査
「植生調査」では、植樹したブナやケヤキなどとともに、台風被害後に自然に芽生えたミズキ、キハダなども順調に成長していることが確認できました。この24年で、樹木が大きくなったばかりでなく、森林の構成種全体が回復していることが分かりました。
鳥獣生息調査/昆虫生息調査
「鳥獣生息調査」では、倒木が撤去されて土の見える環境から次第に草原、森林へと姿を変えていく中で、草原性のキジやモズが減少し、森林性の鳥であるキビタキやヤマガラを観察する機会が増えました。鳥類の生態からも、森林が順調に回復していることが分かっています。
2022年7月には、3回目の「昆虫生息調査」を実施しました。
風倒跡地の植生変化
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植樹活動
「奥松島自然再生ボランティア」
住友林業は東日本大震災発生後の2012年に宮城県東松島市と「復興まちづくりにおける連携と協力に関する協定」を締結し、復興に向けて尽力しています。東松島市は津波で被害を受けた野蒜海岸付近の洲崎地区で、湿地再生による観光復興を目指しています。住友林業は、その活動の一環として2017年度から試験的に植樹活動を開始しました。土壌調査で酸性度が強いことが判明したため、植林に適した樹種の選定や植樹方法等を検討。加えて、(国研)森林総合研究所ら第三者の意見も参考に植樹計画を策定しました。
地域の皆様にも協力いただきながら木が順調に生育していることが確認できたため、
2019年度より東松島市の野蒜海岸沿いの防潮堤で本格的に植樹活動「奥松島自然再生ボランティア」を始めました。
2022年は植樹活動に約230名が参加しました。地域の皆様、東松島市立宮野森小学校児童、住友林業の協力工事店、住友林業グループ社員が協力して、5種類の地域性植物930本を植樹しました。また、植樹の他、これまで植樹したエリアの苗木が大きく育つように下草刈りを実施しました。本活動では、宮野森小学校3年生への環境学習や地域性植物であるマルバシャリンバイを種から植樹する苗木になるまで自宅で育てる活動も実施しています。今後も地域とともに中長期的な活動に取り組んでいます。
試験的に植樹活動を開始した際の土壌調査で酸性度が強いことが示唆されてから、中和剤としてカキ殻粉砕物を使用し、植樹を行っています。
2022年3月に開催された森林立地学会主催の公開シンポジウムでは、「津波防災のため整備された防潮堤のり面における自然再生の取り組み:酸性土壌への植樹活動のその後」という表題にて、カキ殻粉砕物による中和効果について筑波研究所が講演を行いました。今後も土壌と植栽木のモニタリング調査を継続し、強酸性土壌の影響に留意しながら植樹活動に取り組みます。
地域社会との協働
住友林業グループでは、事業を展開する周辺地域の生物多様性保全や地域社会に密着した活動を、地域と共同で行っています。
「群馬まなびの森」での森林整備活動
住友林業と群馬県は、2012年に「県有林整備パートナー事業実施協定」を締結し、県と共同で赤城山山麓の森林整備を進めています。
群馬県は前橋市管内にある赤城の森を保有し、企業・団体と協力して、県有林の整備と保全を進めています。住友林業群馬支店は森林整備活動として、例年「群馬まなびの森」を実施しています。地元森林組合の協力の下、ヒノキの苗木の植樹や間伐などを行う活動です。昨年に引き続き2022年度も、新型コロナウイルス感染症の影響により活動は中止となりましたが、これまで社員のほか協力工事店の関係者やオーナーご家族などにご参加いただいています。
「かながわプラごみゼロ宣言」に賛同
海洋プラスチックごみの問題は、海洋の生態系や人間の生活に大きな影響を与えるものとして、国際的に非常に重要な環境問題として認識されています。2019年2月神奈川県下の営業支店(住宅・建築事業本部 横浜支店・横浜北支店・神奈川西支店・湘南支店・東京南支店)が「かながわプラごみゼロ宣言 ※」に賛同しました。新型コロナウイルス感染症の影響で活動は中止となりましたが、その一環として、例年、横浜、湘南支店を主管とする工事店と合同で、ビーチクリーン活動を実施しています。プラスチックごみだけではなく、注射器や古タイヤなども落ちており、改めて環境に目を向ける良いきっかけとなっています。
※ SDGs未来都市である神奈川県は、由比ガ浜に打ち上げられたシロナガスクジラの赤ちゃんの胃の中からプラスチックごみが発見されたことを「クジラからのメッセージ」として受け⽌め、2018年9⽉、持続可能な社会を⽬指すSDGsの具体的な取り組みとして「かながわプラごみゼロ宣⾔」を公表。プラスチック製ストローやレジ袋の利⽤廃⽌・回収などの取り組みを市町村や企業、県⺠とともに広げていくことで2030年までの可能な限り早期に「プラごみゼロ」を⽬指す
かながわプラごみゼロ宣言ロゴ
森林総合教育の出前プロジェクト
住友林業は2021年10月に、岐阜県立森林文化アカデミー(monoris※1)と連携して森林総合教育の出前プロジェクト「morino de van(森の出番)」を開始しました。自然観察、火起こし体験、触れる森の博物館など多岐にわたる、森を総合的にとらえたプログラム体験をヴァルトカー※2で出前する取り組みです。
monorisと自然体験プログラムを共同開発し、monorisは指導者の提供・育成やプログラム機材の手配・運用を行い、住友林業はヴァルトカーや社有林材を用いた木箱や製材後に発生する端材の寄贈を行いました。
出前授業による自然体験プログラムで全ての人と森がつながり「共生」する社会の実現を目指します。
※1 岐阜県立森林文化アカデミーの中にある森林総合教育センターの愛称。全ての人と森をつなぎ森と暮らす楽しさと森林文化の豊かさを次の世代に伝えていくことを目的としている
※2 「森の車」の意味。ヴァルト(WALD)はドイツ語で森を意味する
名木・貴重木を後世に受け継ぐ技術
住友林業は、各地の名木・貴重木を後世に受け継ぐため、所有者からのご依頼により、従来の技術である接ぎ木や挿し木に加え、最新の技術であるバイオテクノロジーを活用しています。それにより名木・貴重木の花や葉といった性質をそのまま受け継いだ苗木を増殖し、名木・貴重木を後世に受け継ぐことに力を注いでいます。また、樹木のDNAデータベースを構築し、高度な個体識別も進めています。
組織培養増殖に成功した
盆梅を展示
「長浜盆梅展※1」で、組織培養で増殖した盆梅※2(ぼんばい)のフラスコ苗と培養苗を展示しました。展示したのは、樹齢350~400年の貴重な盆梅である「不老」と「芙蓉峰(ふようほう)」と、北野天満宮のご神木の飛梅「紅和魂梅」から組織培養で増殖したフラスコ苗と培養苗です。「不老」・「芙蓉峰」の苗の展示は2021年に続き 2度目、「紅和魂梅」の苗は2022年が初めてのお披露目となりました。
培養物と苗は、温度管理された無菌室で育成されており、通常公開されることはありません。今回は、温度管理に細心の注意を払う仕組みを作り、特別に展示を実現しました。時代を超えて引き継がれる盆梅と最先端技術であるバイオテクノロジーをたくさんの方にご覧いただきました。
※1 滋賀県長浜市の慶雲館で1952年から始まった歴史・規模ともに日本一の盆梅展。約300鉢の中から開花時期に合わせて入れ替えし、常に見頃の盆梅を約90鉢展示しています。2022年 1月9日から3月10日の日程で開催されました。
※2 盆栽の梅
北野天満宮の飛梅、組織培養苗木が開花
北野天満宮の梅苑「花の庭」で、組織培養により増殖したご神木の飛梅「紅和魂梅(べにわこんばい)」の苗木が開花しました。組織培養で増殖した観賞用の梅の開花は世界初となります。北野天満宮では今回の開花を契機に、当社が組織培養で増殖した飛梅の苗木を後世に守り伝えていく「令和の飛梅伝説」プロジェクトを開始します。
飛梅を後世へ
近年、梅を脅かすウイルスによる病気の発生や地球温暖化等の環境変化により梅の生長に与える影響が懸念されている中、今回の研究成功は梅を確実に受け継いでいくという点で意義深いものです。今後の梅の保護・保存に加え、京都の景観維持や文化の継承に大きく寄与します。今後は組織培養で増殖した梅を、後世に守り伝えていく「令和の飛梅伝説」プロジェクトの実現に向け、苗生産の体制を構築します。
土牛《醍醐》の桜を山種美術館に植樹
住友林業は2021年10月に、組織培養により苗木増殖した醍醐寺「太閤しだれ桜」を山種美術館に寄贈しました。豊臣秀吉が「醍醐の花見」をしたことで知られる京都・総本山醍醐寺の「太閤しだれ桜」は、樹齢約170年といわれる名木で、山種美術館と縁の深い日本画家・奥村土牛が代表作《醍醐》に描いたことから、「土牛の桜」ともよばれています。
山種美術館の「【開館55周年記念特別展】 奥村土牛 ―山﨑種二が愛した日本画の巨匠 第2弾―」開催に合わせて、2021年11月15日に植樹式を行いました。
オオシマザクラ「桜株」が里帰り
東京都と住友林業は、組織培養技術を用いて、大島に自生する推定樹齢 800年のオオシマザクラ「桜株(さくらっかぶ)」の増殖に成功し、苗木は1mほどに成長しました。こうしたことから2022年3月に、伊豆大島にて植樹式を実施しました。今回の事業は、平成31年に東京都と住友林業が開始した「TOKYOサクラプロジェクト」の第1弾です。当社が持つ組織培養技術を、国指定の特別天然記念物に対して用いたのは今回が初めてとなります。
今後も東京都と住友林業は、都内の自然公園に生育するサクラやサクラ以外の稀少な植物種の保護増殖に取り組みます。
次世代育成教育
紋別バイオマス発電所・チップ工場見学受け入れ
2022年10月、紋別バイオマス発電、オホーツクバイオエナジーは北海道紋別高等養護学校1年生13名を対象に発電所とチップ工場の見学会を実施しました。チップの製造工程や燃料搬送経路に沿って、チップ工場、ボイラー、タービン、発電機の主要設備を案内し、電気がどのように作られているか理解を深めてもらいました。
本見学会は、参加者の卒業後の進路意識を高めることを目的に実施しています。木質バイオマス資源を中心とした燃料の調達方法や発電所の仕組み等、事業の内容を紹介するとともに、従業員の実体験を交えながら工場、発電所の業務内容を説明し、働くイメージを描いてもらいました。
同校の見学会は2021年に続き2回目です。2016年9月の発電所運転開始以降、地域の中学生から大学生まで延べ400名以上の生徒や学生を受け入れ、地域の次世代育成教育に貢献しています。
チップ生産、原材料の運搬や管理などを担う協力会社にはこれまで見学会に参加した学校の卒業生も入社しています。今後も積極的に見学を受け入れることで、地域の森林資源を発電事業に活かし、その収益を森林に還元する住友林業グループの循環型発電事業を広く理解していただくとともに、地域に根差した企業を目指していきます。
愛媛県立松山東高校へのセミナー実施
2014年から文部科学省が実施する高等学校等のリーダー育成に資する教育課程等の改善、研究開発事業※の一環として、愛媛県立松山東高等学校の生徒が住友林業グループ発祥の地である愛媛県新居浜市を訪問し、毎年セミナーを受講しています。残念ながら、2020年度より新型コロナウイルス感染症の影響などのため、開催中止となっています。
2014年度~2018年度 | スーパーグローバルハイスクール事業 |
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2019年度~ | 地域との協働による高等学校教育改革推進事業 |
セミナーでは、新居浜事業所で住友林業グループの事業紹介及び海外駐在経験者の体験談などの座学、旧別子のフォレスターハウスでのフィールドワークの2部構成で行っています。住友林業の330余年に及ぶ歴史と受け継がれる企業精神が、現在の海外での事業展開に寄与していることを伝えています。また、2014年度と2015年度はジャカルタ事務所に生徒が訪問し、インドネシアでの住友林業の事業展開を見聞しています。
一連の活動を通して住友林業は、文部科学省「高等学校等のリーダー育成に資する教育課程等の改善、研究開発事業」に賛同・協力しています。
※ 質の高いカリキュラムの開発・実践、体制整備により、将来のリーダーとなる人材を育成
新居浜市中学校ふるさと学習への協力
新居浜市の各中学校は、新居浜発展の礎となった別子銅山の歴史や史跡に学ぶことで、地域の特色を理解し、郷土を愛する心情を高めるべく、別子銅山登山(ふるさと学習)を実施しています。
住友林業は、教育委員会の依頼により、中学生たちが登山前に植林の歴史を学び緑が蘇った別子銅山を感じてもらうため、フォレスターハウスの施設見学や説明に協力しています。
2022年5月 | 北中学校 |
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2022年5月 | 新居浜市教育委員会現地研修 |
2022年6月 | 船木中学校 |
2022年7月 | 別子中学校 |
他企業の社会貢献活動支援
「BAUM オークの森」での
植樹活動をサポート
住友林業は、株式会社資生堂のブランド「BAUM(バウム)」が岩手県盛岡市の「BAUM オークの森」で実施した植樹活動をサポートしました。昨年に続き、2022年は、住友林業が調達した約600本のオーク(ナラ)の苗木が植樹されました。
「樹木との共生」をテーマに掲げる資生堂のブランド「BAUM(バウム)」は、「樹木の恵みを受け取るだけではなく、自然に還していく」というブランドの思想を持っています。パッケージの木製パーツに使用するオーク(ナラ)の苗木をBAUM店舗内で育成し、育てた苗木を植樹し森林資源の循環を実現します。住友林業は BAUMが誕生した2020年6月より店舗内で育てる苗木の提供・メンテナンスや店舗内で育った苗木の植樹に向けたさらなる育成など、同ブランドの活動をサポートしています。
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