ニュースリリース
(2023年)
2023年11月27日
住友林業株式会社
東京建物株式会社
中央日本土地建物株式会社
米ワシントンD.C.近郊で大型賃貸用集合住宅を共同開発
~木材利用で脱炭素と経済性を両立~
住友林業株式会社(社長:光吉 敏郎 本社:東京都千代田区)、東京建物株式会社(社長:野村 均 本社:東京都中央区)、中央日本土地建物株式会社(社長:三宅 潔 本社:東京都千代田区)は米ワシントンD.C.近郊で総戸数400戸の8階建て賃貸用集合住宅を開発します。日本企業3社と米大手デベロッパーFairfield Residential Holdings LLC(代表:Richard Boynton 本社:カリフォルニア州サンディエゴ 以下Fairfield社)が共同で開発し、大規模な再開発が進む地下鉄沿線エリアで旺盛な住宅需要を取り込みます。2024年4月に着工し、2026年2月以降、工事完了部分より順次賃貸を開始します。建物全体の竣工は2027年1月を予定しています。総事業費は約213億円※1です。
■建物の特徴
本物件は下層3階が鉄筋コンクリート(RC)造、上層5階が木造のハイブリッド構造とし、経済性と環境配慮を両立。戸建住宅と同様の2×4材や2×6材の規格品を用いた木造枠組壁工法を採用し、建物すべてをRC造にした場合と比べ、コストを抑制しました。一般的に木造建築は鉄骨(S)造やRC造に比べ「建てるときのCO2排出量(エンボディドカーボン)」が少なく、木は吸収したCO2を炭素として内部に固定します。多くの木材を使う本物件も炭素を長期間固定し続けるため、脱炭素社会の実現に寄与します。
■立地の特徴
建設地はワシントンD.C.中心部から西に約30kmのバージニア州ハーンドン市。2022年11月に開通したライトレールのHerndon Metrorail駅を中心に再開発が進み、さらなる利便性向上が期待されているエリアです。半径10km以内には米国を代表する有名企業のオフィスが集まり、今後も底堅い住宅需要が見込めます。
本物件は最寄り駅まで徒歩3分、敷地に面する幹線道路でワシントン・ダレス国際空港まで最短8分、ワシントンンD.C.中心部まで30分でアクセスできます。商業施設や病院も車で5分とアクセスが良く、交通面と生活面の双方の利便性を兼ね備えた好立地が特徴です。
■スキーム
住友林業の100%子会社SFA MF Holdings、東京建物の100%子会社Tokyo Tatemono US Ltd.、中央日本土地建物の100%子会社Chuo-NittochiⅠLLCが組成したJVとFairfield社が共同出資する特別目的会社(SPC)が開発主体です。住友林業の100%子会社SFCアセットマネジメント株式会社(代表取締役:吉澤 雄次郎 本社:東京都千代田区)がFairfield社を含む本プロジェクトの参画企業との組成に関する事務の取り纏めや調整をします。Fairfield社との賃貸用集合住宅開発は、住友林業は2件目、東京建物と中央日本土地建物は本物件が初の取り組みとなります。
■参画の経緯
住友林業グループの集合住宅の年間供給戸数は全米で6位相当まで成長し※2、米国の戸建分譲住宅に次ぐ収益源として拡大を続けています。全米有数の集合住宅デベロッパーであるFairfield社を現地の優良パートナー企業と位置付け、さらなる協業の機会を探っていました。東京建物グループは海外事業の成長を中期経営計画における重点戦略の1つとして挙げています。現在、海外事業については中国及び東南アジアにて事業展開していますが、この度米国に再進出することを決定し、本事業へ参画することとしました。中央日本土地建物は海外事業のさらなる強化・発展を目指し、事業エリアの拡大、新たな優良事業パートナーとの協業を模索しているなか、初の米国東部におけるFairfield社との賃貸用集合住宅の開発事業の参画に至りました。なお、住友林業と中央日本土地建物はシアトル近郊やデンバー近郊の集合住宅開発プロジェクトで協業しており、今回で米国における3件目の協業となります。
■今後の方針
住友林業グループは森林経営から木材建材の製造・流通、戸建住宅・中大規模木造建築の請負や不動産開発、木質バイオマス発電まで「木」を軸とした事業をグローバルに展開しています。2030年までの長期ビジョン「Mission TREEING 2030」では住友林業のバリューチェーン「ウッドサイクル」を回すことで、森林のCO2吸収量を増やし、木造建築の普及で炭素を長期にわたり固定し、自社のみならず社会全体の脱炭素への貢献を目指しています。長期ビジョンで事業方針の1つに掲げた「グローバル展開の進化」を推進し、米国でも脱炭素化への取り組みを加速します。
東京建物グループはグループ長期ビジョン・中期経営計画において、「社会課題の解決」と「企業としての成長」をより高い次元で両立するため、ESG経営の高度化を推進することに加え、海外事業の成長を重点戦略の1つとして掲げています。現在、中国、タイ、インドネシア等において分譲マンションやオフィス等の開発事業を推進しています。引き続き海外事業については、現地有力パートナーとの協業を軸として、分譲マンション等の短期回転型を中心に中国及びアジアの既存投資国に加え、米国をはじめとする先進国においても事業機会の獲得に努めていきます。
中央日本土地建物グループは、都市開発事業、住宅事業、不動産ソリューション事業、資産運用事業を手掛ける総合不動産グループです。未来を見据えた新たな挑戦や成長への投資にも積極的に取り組むなか、米国での不動産開発事業や台湾・米国での再生可能エネルギー事業への出資など、海外における取り組みも加速しています。脱炭素化社会の実現に向けて、環境性能の高い不動産の開発・運営や再生可能エネルギーの活用などを通じ、入居者や共同事業者など関わる全ての人とともに、自然環境と調和したまちづくりを推進していきます。
※1. 1ドル150円で換算
※2. 住友林業グループの米3社の年間供給戸数を合計すると、全米集合住宅事業者ランキング NMHC2023の6位に相当します。
■物件概要
物件名 |
:555 Herndon Parkway |
所在地 |
:555 Herndon Parkway Herndon, VA 20170 |
賃貸床面積(予定) |
:30,194.70㎡ (325,013平方フィート) |
住戸数(予定) |
:400戸 |
構造・工法 |
:1~3階は鉄筋コンクリート造、4~8階は木造(枠組壁工法) |
着工(予定) |
:2024年4月 |
賃貸開始(予定) |
:2026年2月(工事完了部分から順次賃貸開始) |
竣工(予定) |
:2027年1月 |
■Fairfield社概要
本 社 |
:カリフォルニア州サンディエゴ |
代表者 |
:Richard Boynton (Chairman, CEO) |
従業員 |
:1,360名(2022年12月時点) |
事業概要 |
:1985年に創業した米国の集合住宅不動産会社。 全米11か所に拠点を持ち、土地の仕入れから建設、 賃貸管理、売却まで一気通貫で不動産開発事業を展開。 創業以来32州で不動産開発の実績があり、 既存物件のリノベーション・再販及び新規開発を約29万戸手掛けています。 |
■SFCアセットマネジメント概要
本 社 |
:東京都千代田区大手町 |
代表者 |
:吉澤雄次郎(代表取締役) |
設 立 |
:2020年11月 |
事業概要 |
:住友林業グループ等が組成する投資ファンドに関する私募取扱・投資助言業務等 |
※SFCアセットマネジメント株式会社コーポレートサイト:https://sfcam.jp/
(住友林業参考資料)
■木造建築の優位性
世界のCO2排出量の37%が建設セクターから排出されており※1、「暮らすときのCO2排出量(オペレーショナルカーボン)」はZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)やZEB(ゼロ・エネルギー・ビル)の普及で削減が進んでいます。一方、「建てるときのCO2排出量(エンボディドカーボン)」の削減が今後の課題となっており、S造やRC造に比べてエンボディドカーボンの少ない木造建築が注目されています。また、樹木は光合成により取り込んだ炭素を伐採後も木材内に固定・貯留します。これを「炭素固定」といい、脱炭素社会の実現には炭素を固定した木材を用いた木造建築の推進が不可欠です。
※1. 出典:global alliance for building and construction(2023)
■住友林業グループの中大規模木造建築
住友林業グループは2030年までの長期ビジョン「Mission TREEING 2030※2」で事業方針の1つに「グローバル展開の進化」を掲げ、中大規模木造建築のグローバル展開を推進しています。米国では木造の戸建分譲住宅事業、豪州では木造の戸建注文・分譲住宅事業が先行して拡大しましたが、近年は中大規模木造建築の開発事業も急速に成長しています。
現在は日本国内に加え、豪メルボルン、英ロンドン、米ダラス、米アトランタでマスティンバー※3を用いた中大規模木造建築のプロジェクトが進行。米国では木造ツーバイフォー工法を採用した集合住宅の開発実績も多く、住友林業グループの集合住宅デベロッパーとしての年間供給戸数は全米6位相当に位置します※4。
※2. 長期ビジョン「Mission TREEING 2030」動画(3分):https://www.youtube.com/watch?v=2ty-tASVWPk
※3. CLTやLVL等の複数の木材を組み合わせて成形した比較的質量や体積の大きいエンジニアードウッド
※4. 住友林業グループの米3社の年間供給戸数の合計が全米集合住宅事業者ランキング NMHC2023の6位に相当(自社集計)。
■中大規模木造建築の開発実績
■参考リリース
*1. 豪メルボルン/15階建木造オフィス:https://sfc.jp/information/news/2021/2021-10-06-01.html
*2. 英ロンドン/6階建木造オフィス:https://sfc.jp/information/news/2023/2023-02-14.html
*3. 米ダラス/7階建木造オフィス:https://sfc.jp/information/news/2022/2022-12-26-02.html
*4. 米アトランタ/3階建木造オフィス:https://sfc.jp/information/news/2022/2022-12-01.html
*5. 東京都/桐朋学園宗次ホール:https://sfc.jp/information/news/2022/2022-05-13.html
*6. 東京都/上智大学四谷キャンパス15号館:https://sfc.jp/information/news/2022/2022-06-29-02.html
*7. 例えば、以下の事例があります。
米ダラス/5階建集合住宅:https://sfc.jp/information/news/2023/2023-06-19.html
米シアトル/5階建(地下2階)集合住宅:https://sfc.jp/information/news/2022/2022-06-21.html
米シアトル/6階建集合住宅:https://sfc.jp/information/news/2021/2021-10-07.html
米シアトル/5階建集合住宅:https://sfc.jp/information/news/2021/2021-04-14-01.html
米シアトル/8階建(地下2階)集合住宅:https://sfc.jp/information/news/2023/2023-07-05.html
米デンバー/5階建集合住宅:https://sfc.jp/information/news/2023/2023-09-07.html
以上
≪お問い合わせ先≫
住友林業株式会社
コーポレート・コミュニケーション部 川上・内田
TEL:03-3214-2270
東京建物株式会社
コーポレートコミュニケーション部 尾松
TEL:03-3274-1984
中央日本土地建物グループ株式会社
経営企画部広報室 鈴木・向田
TEL:03-3501-6906