ワーク・ライフ・バランス

ワーク・ライフ・バランス

基本的な考え方

住友林業は、多様な働き方を認め社員がやりがいを持って仕事に取り組み、さらに社員一人ひとりの生活を充実させる職場を目指して、育児・介護諸関連制度の運用や時間外労働の削減などに取り組んできました。

人事部内に「働きかた支援室」を設置し、育児や介護、キャリアサポート、メンタルヘルス、定年再雇用などの働き方・キャリアに関する支援窓口を集約。社員が従来以上に相談しやすい体制を整えて、多様な働き方をサポートしています。

また、長時間労働の削減と生産性向上を目的として、フレックスタイム制度や勤務間インターバル制の導入、勤務時間のみなし労働時間制度から実カウント制への移行、時間あたりの生産性評価の導入などを行っています。

長時間労働による疲労の蓄積で健康を害することを防ぐとともに、時間に対するコスト意識を高め、またワーク・ライフ・バランスを実現することで、社員のモチベーションと生産性を向上させることを目的としています。

長時間労働削減の取り組み

住友林業では、長時間労働を放置することは、労働災害発生やブランドイメージ低下を誘発し、将来的な労働力不足につながりかねない大きな経営リスクだと認識しています。

2022年12月期より、住友林業グループ中期経営計画サステナビリティ編において、2024年12月期までの重点目標に「働き方改革による長時間労働の削減」を定め、取り組みを推進しています。国内関係会社も含め、各本部において、その達成状況を確認しています。

また、毎月、各部署の平均所定外労働時間及び管理職も含めた部下の所定外労働時間を各部の責任者に通知して、長時間労働削減の意識付けを強化しています。

特に、住宅事業本部では、注文住宅の販売・施工において、お客様との密なコミュニケーションが欠かせず、結果として長時間労働になりやすい状況にあります。そのため、各支店で開催される「衛生委員会」では、それぞれの支店で長時間労働削減の取り組みを検討しています。勤務制度や業務フロー改革など、支店単位での実施が難しいものについては、住宅事業本部内で制度提案し、長時間労働削減運動を継続・実施しています。

  • 所定外労働時間
    2022年度(2022年1月―12月)成果
    (2017年度比)(単体)

    13.8%減

  • 所定外労働時間
    2022年度目標
    (2017年度比)(単体)

    16%減

人事制度の改定

2017年度には、人事制度の改定を行い、時間外労働時間をみなし労働時間制から実カウント制へと移行するとともに、フレックスタイム制度や勤務間インターバル制、時間当たりの生産性評価を導入し、長時間労働削減と生産性向上を推進しています。

実カウント制への移行と生産性評価の導入は、時間によるコスト意識を高めて、長時間労働を削減し、仕事の質と生産性を高めることを主な目的としています。

また、フレックスタイム制度では、1ヵ月の総労働時間を定め、1日の労働時間をフレキシブルにすることで、業務時間全体の平準化に取り組んでいます。

さらに、勤務間インターバル制では、前日の終業時刻から翌日の勤務開始まで11時間の休息時間をとることとし、休息時間が始業時刻またはコアタイムに及ぶ場合は、勤務を免除し働いたものとみなします。これにより過重労働の防止や社員の健康の保持増進を目指します。

年次有給休暇取得の促進

住友林業では、年間付与日数の70%以上の年次有給休暇取得を推奨し、拠点ごとの取得実績一覧を社内WEBサイトに公開するなど、年次有給休暇の取得を促進してきました。半日単位や時間単位の年次有給休暇制度も導入するとともに、計画的なリフレッシュ休暇や夏季休暇の取得を促すことで、休暇を取得しやすい環境を整備しています。

また、住宅事業本部では、全部署が休業する計画年休を設定しています(原則年4日)。

こうした取り組みにより、2022年の年次有給休暇の取得率は68.4%でした。

有給休暇取得率
(2022年)
(単体)

68.4%

年次有給休暇取得率の実績(単体)

2019 年 2020 年 2021 年 2022 年
年次有給休暇取得率(%) 60.2 60.7 64.1 68.4

※ 各年の年次有給休暇取得日数をその付与日数で除して算出

※ 役員、海外勤務者、受入出向、長期休暇・休業者は除く

  • 社員平均有給休暇
    取得日数
    2022年度成果

    (単体)13.1

    (国内関係会社)11.8

  • 社員平均有給休暇
    取得日数
    2022年度目標

    (単体)14

    (国内関係会社)11.3

有給休暇取得推進の取り組み

住友林業では、心身の健康を保ち、精力的に業務に取り組めるよう、休暇を取得したい時に取得できる職場環境づくりを進めています。その一環として、夏季休暇・年末年始休暇とは別に、本人の予定に合わせた連続休暇を「リフレッシュ休暇」として取得を奨励。2019年よりリフレッシュ休暇日数を従前の「3日」から 「5日」へ変更し、年次有給休暇の連続取得を奨励し、より取得しやすい環境を整えました。

また、住宅事業本部の支店は、お客様と土日に商談をすることが多いため、火・水曜日が定休日ですが、社員が家族の学校行事や地域行事などへ参加するための休暇を取得しづらい場合もあります。 そこで、土日のうち月1日は休暇を取得し、家族との時間や趣味の時間に充てる「ファミリーフレンドリーデー休暇」を整備。支店内での社員間の業務分担や打ち合わせスケジュールの調整を促し、土日の休暇取得がしやすい職場環境整備を進めています。

リフレッシュ休暇・ファミリーフレンドリーデー休暇の取得率(単体)

2019 年 2020 年 2021 年 2022 年
リフレッシュ休暇取得率(%) 43.7 31.3 31.3 24.7
ファミリーフレンドリーデー
休暇取得率(%)
36.8 30.5 26.6 31.2

育児中の働き方支援

住友林業は、次世代育成支援対策推進法が施行された2005年第1期行動計画を策定し、それ以降継続し、現在は第8期行動計画(2022年 4月1日2024年12月31日)について取り組みを進めています。

「業務変革委員会」の取り組み

住友林業は、2019年4月より、取締役副社長を委員長とし、本社・本部の責任者を委員とする業務変革委員会を発足。アンケートや提案箱から社員の声を吸い上げ、業務改革・働き方改革関連の全社テーマに取り組み、テレワークの推進やペーパーレス化、検印手続きの見直し等を進めてきました。今後も社員の業務の見直し、効率化を進めていきます。

「家族の職場参観日」の開催

住友林業は、2014年7月より、社員の家族が職場を訪問するイベント「家族の職場参観日」を開催しています。このイベントは、社員を支える家族に感謝の気持ちを表現するとともに、家族の仕事への理解、社員間の相互理解を促進し、いきいきと働くことができる職場環境づくりを目的にしています。

毎年夏に、これまでに18拠点で開催し、149組433名の社員とその家族が参加しています(20202022年度は新型コロナウイルス感染症感染拡大の影響により中止)。朝礼参加やお子さんたちが木製台紙に名前を書いて作った名刺の交換、職場の同僚への「お仕事インタビュー」などの定番プログラムの他、各拠点で工夫を凝らして開催しています。

男性社員の育児参加促進

住友林業では、男性社員が配偶者の妊娠・出産の予定を、上司と人事部働きかた支援室に報告することにしています。その後、「仕事と育児の両立支援Handbook」や育児関連制度のガイドブックを上司と一緒に確認しながら、育児の状況や育児休業の取得について相談します。

面談後に育児休業の取得希望と上司のコメントを「育児休業 周知・意向確認書」に記入し、働きかた支援室に返送します。この書類の提出は、子どもが生まれた社員に支給している「子育て支援一時金」の支給申請時に必須とすることで、面談の実施率を高めています。また、希望内容により、個々のスムーズな育児休業取得をフォローしています。

これにより、男性社員の育児参加について、職場の理解が進むとともに、促進につながり、2022年度は77名が育児休業を取得しました。

主な育児支援制度(2022年度)

制度 内容
出生時育児休業 子の出生から8週間以内に2回まで取得可能
育児休業 子が2歳到達直後の3月31日までの期間内で、休業を取得することができ、2回まで分割取得可能。 育児休業開始当初5日迄は給与全額支給
配偶者の出産休暇 配偶者の出産から2週間以内に5日間取得可能。給与全額支給
勤務時間の短縮等の制度 子が小学校6学年末を迎えるまでの間、短時間勤務、週休3日制、所定外労働免除、法定時間外労働の制限、深夜業の制限の利用が可能
フレックスタイム制のコアタイム短縮 子が小学校6学年末を迎えるまでの間、コアタイムの終了時刻を30分単位で1時間まで短縮できる
子の看護休暇及び行事休暇 小学校6学年末までの子が病気やけがをした場合、子が1人の場合は年10日、2人以上の場合は年15日、30分単位で休暇を取得することが可能(100%給与支給)。そのうち5日(子が2人以上の場合は10日)までは、子の行事のために利用可能。子が2人以上の場合に行事のために5日以上利用した場合でも、看護のために10日まで利用することが可能(ただし、15日を超えた分は無給)

育児支援制度

育児支援制度

※1 妊娠中または産休・育休復帰後で出産後1年未満

※2 2歳到達直後の3月31日までの期間。準備保育の理由に限りさらに14日間を加えた期間まで可能

育児休業者座談会実施

住友林業は、2022年3月、育児休業復職予定者を参加者としたオンライン座談会を実施しました。復職前の不安を解消することや、育児者同士のネットワーク構築につながっています。

育休復職者×上司ペアセミナーの実施

住友林業は、2022年11月に育児休業からの復職者とその上司を対象にペアセミナーを実施しました。セミナーでは、出産・育児を取り巻く社会情勢、仕事と育児の両立、今後のキャリア等についての講義や育児中の先輩社員のパネルディスカッション、参加者同士のグループディスカッションを行いました。育児者が仕事と育児、キャリアをいずれも両立していくために、上司、本人それぞれがどのような行動をとっていくべきか改めて考える機会になりました。

介護中の働き方支援

住友林業では、仕事と介護の両立支援を行っています。対象家族1人につき365日まで複数回の介護休業を取得できる他、短時間勤務、週休3日の勤務形態も可能にしています。なお、2021年1月からのフレックスタイム制度の全社員適用(裁量労働制社員を除く)に合わせ、介護の理由により、コアタイムを短縮できるようにしました。30分単位で取得できる「家族の介護休暇及び傷病休暇」も整えています。

2021年には仕事と介護を両立するための基本的な知識や情報、高齢者施設や介護サービスの基本などを記載したガイドブックを作成し、社員への情報提供を行っています。

主な介護支援制度(2022年度)

制度 内容 利用実績
介護休業 家族を介護する社員が対象家族1人につき複数回、通算365日の休業を取得することが可能 介護理由の制度利用者:
延べ1名(週休3日制)



介護休業者:1名
勤務時間短縮等の制度 短時間勤務、週休3日制、所定外労働の免除、法定時間外労働の制限、深夜業の制限の利用が可能
フレックスタイム制適用の社員は、コアタイムの終了時刻を30分単位で1時間まで短縮可能
家族の介護休暇及び傷病休暇 家族を介護する社員が年10日の休暇を30分単位で取得することが可能(要介護状態の家族が2人以上の場合は年5日を追加)。年10日のうち5日までは、家族の傷病のために利用が可能

介護支援制度利用実績(単体)

2019 年 2020 年 2021 年 2022 年
介護休業者数(名) 1 2 2 1
介護理由の制度利用者数(名)
(延べ人数、フレックスタイム制度、短時間勤務など)
4 4 1 1

仕事と介護の両立支援セミナーの実施

住友林業では、2021年から、仕事と介護を両立していくためのオンラインセミナーと個別相談会を開催しています。介護のために仕事をあきらめるのではなく、日常の生活の中で両立できる環境をつくり、心身ともに健康で活躍していくためのヒントを得てもらうことが目的です。

2021年12月に「仕事と介護を両立させる秘訣」、2022年7月に「仕事と認知症介護の両立」、2022年12月に「高齢者施設と介護費用の基本」というテーマのセミナーを開催し、すでに家族の介護をしている人や準備を始めたい人、部下や同僚のために学んでおきたい人など、各回50~150名ほどの社員が受講しました。セミナー後、希望者にはセミナー講師による個別相談会を毎回開催しています。

今後も継続してセミナーや相談会を開催し、仕事と介護の両立を支援していきます。

テレワークへの取り組み

住友林業では、通勤時間が削減でき、それにより生まれた時間を仕事や家庭生活に活かせることや、自宅の静かな環境で集中して業務を行えることなどから、2009年度より在宅勤務制度を導入しています。

2018年度からは、総務省、厚生労働省、経済産業省、国土交通省、内閣官房、内閣府と東京都及び関連団体、企業が連携し働き方改革を推進する「テレワーク・デイズ」の取り組みに、特別協力団体として参加してきました。

2020年度は、新型コロナウイルス感染症への対応を機に全社員がテレワークを実施できる環境を整備し、サテライトオフィスの利用も開始しています。

2022年1月には、従来の在宅勤務規程を廃止し、サテライトオフィス勤務及びモバイル勤務の定めを加え、対象者を拡大したテレワーク規程を整備しました。新型コロナウイルス禍における全社的なテレワークの経験を踏まえ、ワーク・ライフ・バランスの向上と、生産性向上を目的として整備したもので、週2日まで全社員が利用できます。週3日以上の利用については申請することで実施できるようにしています。

今後もIT 環境整備と ICT活用による生産性の向上などの促進とともに、さらなる活用を検討していきます。

勤務地の希望を申告する制度

住友林業は、結婚または配偶者が転居を伴う転勤をした場合にも勤務を継続できるよう、結婚と配偶者の転勤の理由に限り、本人が希望する地域への異動を配慮する制度を2008年度に整備しました。

2014年度には、申請理由に新たに「育児」を加え、育児と仕事の両立のために配偶者との同居を希望する場合にも異動を配慮。また「介護」を理由に異動希望を申告できる制度も新設するなど、仕事と育児、介護の両立のために勤務地に制限がある場合にも異動を配慮しています。

これらの制度を利用して、2022年12月末までに累計で46名が異動しました。

さらに、育児や介護、自身の疾病などのやむを得ない理由により、現在の勤務地から転居を伴う異動の無い働き方を希望する社員に対して、申請認可制によりコースを設けており、それぞれの事情に応じた働き方ができるようにしています。