住友林業グループは2022年2月、脱炭素社会の実現に向けて、SDGsの目標年でもある2030年を見据え、住友林業グループとしてのあるべき姿を長期的な事業構想に落とし込んだ長期ビジョン「Mission TREEING 2030」と中期経営計画「Mission TREEING 2030 Phase 1」(2022 年~2024 年)を策定しました。

長期ビジョン
「Mission TREEING 2030」
の全体像

Mission TREEING 2030

〜地球を、快適な住まいとして受け継いでいくために〜

私たちは、地球環境、人々の暮らしや社会、市場や経済活動に価値を提供することで、将来世代を含むあらゆる人々やすべての生き物に、地球が快適な住まいとして受け継がれていくことを目指します。これまでも強みとしてきた「森」と「木」の価値を活かし、深め、新たな未来の力へ変えていきます。

3つの価値と9つの重要課題

長期ビジョンを達成するために、重要課題を「地球環境への価値」、「人と社会への価値」、「市場経済への価値」に紐づけ、それぞれの価値を損なうことなく、より一層高めることで、3 つの価値を同時に満たす事業活動を推進します。

地球環境への価値

重要課題1
森林経営による「森」と「木」の価値向上

「森」を育てることで、「木」をはじめとする森林資源の価値を高め、引き出す。

重要課題2
「森」と「木」を活かしたカーボンニュートラルの実現

自らの二酸化炭素の排出を削減するとともに、炭素を吸収・固定した「木」を届けること、また低炭素・脱炭素商品・サービスを提供することによって、社会の脱炭素化に貢献する。

重要課題3
「森」と「木」を活かしたサーキュラーバイオエコノミーの実現

自然のエコシステムで再生可能な「木」という「森林」由来の素材の強みを活かしながら、あらゆる資源が循環する社会を実現する。

人と社会への価値

重要課題4
広く社会に快適でぬくもりある空間の提供

広く社会に対して、安心・安全で、快適さとぬくもりのある空間を提供する。

重要課題5
事業を営む地域の人々の暮らしの向上

事業によって雇用を生み出すとともに、コミュニティの発展に貢献する。

重要課題6
働く人が活き活きできる環境づくり

サプライチェーンに関わるすべての人が、安全で健康に、そして活き活きと働ける場にする。

市場経済への価値

重要課題7
「森」と「木」の新たな市場の創出

「森」と「木」の活用の深化と拡大によって、新たな市場を創出し、経済を豊かにする。

重要課題8
DX・イノベーションによる市場の変革

DX・イノベーションをはじめとする市場の変革を通じて、経済の効率性と付加価値を高める。

重要課題9
強靭な事業体制の構築

不測の事態にも強い体制を築き、価値を提供し続けることで、経済の安定に寄与する。

事業方針
  1. 01

    森と木の価値を最大限に活かした脱炭素化とサーキュラーバイオエコノミーの確立

    国内外のあらゆる領域において、オペレーショナル・カーボンを削減するとともに、木材資源の持つCO2削減効果を訴求し、事業を通じて社会の脱炭素化に貢献する。

    森林の持つCO2吸収機能とHWP※の見える化、国内林業の活性化、中大規模木造建築事業の拡大を通じて、木材資源の価値を飛躍的に向上させ、国産材を中心とした循環型経済システム(サーキュラーバイオエコノミー)を確立させる。

    ※ Harvested Wood Products/伐採木材製品

  2. 02

    グローバル展開の進化

    米国・豪州・アジアにおける事業プラットフォームを核に海外におけるグループ事業領域と規模の拡大を進める。

  3. 03

    変革と新たな価値創造への挑戦

    デジタル化の推進を始めとした事業変革とイノベーションにより、国内事業の収益基盤の再構築を図る。

  4. 04

    成長に向けた事業基盤の改革

    グローバル化の進展や事業の多様化に対応した人財の継続的確保・育成・エンゲージメントの向上を図るとともに、リスクマネジメント体制を強化する。

業績目標

2030年 経常利益目標2,500億円

「森林」が脱炭素社会実現の
重要なカギを握る!

カーボンニュートラルの達成には森林によるCO₂吸収量を増やすことが重要

日本は2050年にCO₂の排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」の実現を目標に掲げています。化石燃料の使用削減、再生可能エネルギーへの代替など、可能な限りの削減努力をしてもCO₂排出量ゼロの達成は困難です。残りの排出量は、森林のCO₂吸収量を増やしてオフセット(相殺)することが重要です。

伐採~製材・加工~植林を循環させてCO₂の吸収量を高める

世界では森林火災や農地への転用など森林の減少によって大量のCO₂が排出されており、 森を守ることが重要です。一方、日本は戦後に植林した人工林が伐採適齢期を迎え、その約半分は樹齢50年を超えます。木は高齢化するとCO₂吸収量が低下するため、伐採・再植林し、森林の若返りを促すことでCO₂吸収量を高めることが大切です。

世界の森林面積の減少推移

林齢によるCO₂吸収量の変化

木材を住宅などに活用することで長期にわたり炭素を固定する

木は光合成で大気中のCO₂を吸収し炭素として取り込みます。木が伐採され木材などになっても、炭素は蓄えられたままです。木材を木造建築や家具などに活用すれば、炭素は長期間固定され、CO₂を排出せずにすみます。また廃材などをバイオマス発電に活用すれば化石燃料の代替にもなります。

炭素の循環と固定期間

住友林業グループの取り組み

住友林業グループは森林経営から流通・木造建築・バイオマス発電まで「木」を軸に事業活動を展開しています。このユニークなバリューチェーンを「WOOD CYCLE」という図で表現しました。我々はこの「WOOD CYCLE」を回すこと、つまり森林のCO₂吸収量を増やし、木材の炭素固定を促し、木造建築で長期間にわたり炭素固定することで脱炭素社会へ貢献できるのです。この事業全体を通じて、自社のみならず、社会全体のCO₂吸収・固定に寄与していきます。

「Mission TREEING 2030 Phase1」

将来の成長と脱炭素化への
貢献に向けた基盤をつくる3年

新たな中期経営計画は、将来の成長と脱炭素化への貢献に向けた基盤を作る3年になっています。

長期ビジョン・中期経営計画
(動画)

脱炭素と生物多様性保全に向けた森林ファンド組成発表会
(動画)