モニタリング活動

■まなびの森鳥獣生息調査

富士山「まなびの森」では、自然林回復活動を実施して以来、その回復状況をモニタリングするため、植生及び鳥獣生息の調査を行っています。

■2013年度調査結果

1.調査結果

【繁殖期1回目・2013年5月11日(土)】
記録された野鳥の総数は28種78羽、テリトリーは11種26箇所。哺乳類はモグラ塚、イノシシとニホンジカの糞や食痕が観察された。
(調査員:田口浩行, 田口まさみ,影山秀雄,中根敏雄,中根由香里,望月近美)

【繁殖期2回目・2013年月1日(土)】
記録された野鳥の総数は30種90羽、テリトリーは6種12箇所、外来種1種であった。哺乳類ではニホンリスとタヌキの足跡、ニホンジカの糞や足跡が記録された。
(調査員:渡辺修治,渡辺文子,田口浩行,田口まさみ,中根敏雄, 中根由香里,影山秀雄,菅谷勝芳,平岡誠治)

【越冬期1回目・2014年1月11日(土)】
記録された野鳥の総数は24種104羽であった。哺乳類はモグラのモグラ塚の他に、積雪があったためノウサギ、ニホンリス、ノネズミ(種不明)の足跡や、イノシシとニホンジカの糞や食痕が記録された。
(調査員:渡辺修治,渡辺文子,田口浩行,田口まさみ, 中根敏雄,中根由香里,影山秀雄)

【越冬期2回目・2014年2月11日(火)】
記録された野鳥の総数は19種90羽であった。哺乳類は積雪の上にノウサギ、ニホンリス、ノネズミ(種不明)、タヌキ、ニホンテンなどの足跡が確認でき、調査地全域でニホンジカの糞や足跡や食痕も確認された。
(調査員:坂東誠,坂東英代、田口浩行,田口まさみ, 中根敏雄,中根由香里,影山秀雄, 菅谷勝芳)



2.野鳥の生息状況

2000年5月から開始したこの調査も今年で14年目となった。この調査の中で生息状況に特徴のあった種について記してみる。

グラフ.1
ウグイス〔グラフ.1〕は、2001年より5,6月の調査では常に最優先種として記録されてきたが、富士山全域に見られるササの減少から繁殖地を失い2009年以降生息数・テリトリー数ともに減少傾向にある。2012年度には生息数で若干数を増やしたものの、今年度はまた一昨年と同じ数まで減ってしまった。テリトリー数は5月-5箇所,6月-3箇所で、数の復活はなかった。
グラフ.2
キビタキ〔グラフ.2〕は、かつては富士山南麓ではごく限られた地域でしか姿を見る事ができなかった種だが、本調査では開始当初から観察されている。上のグラフを見て分かる事は、2006年から観察例が増えたのと同時に、5月より6月の方が数が多い傾向がはっきりしてきた。今年はテリトリー数が5月には確認できなかったものの6月には6箇所と昨年に続いて最多を記録した。
グラフ.3
コルリ〔グラフ.3〕は例年5月の記録が6月を上回っていた。2011年度は6月の記録が無かったが今年度は5月,6月ともに同じ3羽が記録されている。今までは「五月の鳥」の印象の強かったコルリだが、今後キビタキのように渡来の時期が6月に増加傾向になる可能性も感じられる。今後の記録を注目していきたい。
グラフ.4
調査開始当初は草原だった地域が森林に姿を変えていく中で最も動向を注目してきた種がモズ〔グラフ.4〕である。草原の森林化に伴い繁殖環境の減少から生息数が減少したことはグラフが示す通りである。2010年には繁殖期・越冬期とも記録がなかったが2011年と2012年には復活。今年度再び記録がなくなったが、モズの生息環境が完全に失われてしまったとは思われないことから今後の記録に期待したい。
グラフ.5
冬鳥として渡来するベニマシコ〔グラフ.5〕もモズ同様に草原性の種で、繁殖期・越冬期ともに低灌木がまばらに生えた草原を好む。特に調査開始当初から予想していた草原の森林化に伴う生息数の減少が調査結果からはっきりと読み取れる。フォレストアーク西方の植栽地にはまだベニマシコが好む環境が残っているように感じるのだが、2012年は2月に1羽の記録があったが、それ以降は記録が途絶えた。
グラフ.6
外来種のソウシチョウとガビチョウ〔グラフ.6〕は、調査地では2001年にソウシチョウが、2002年にガビチョウが始めて観察され、2003年以降は両種が毎年観察されてきた。しかし今年度はガビチョウが6月の調査で2羽確認されたのみにとどまった。
グラフ.7
14年間に記録した野鳥の総個体数〔グラフ.7〕では全体を通じて個体数はゆるやかな減少傾向にあると言える。(2000年1月,2003年1月,2005年2月,2006年1月,2011年2月に全体から飛び出た記録があるのは、いずれもアトリの大きな群れが記録されたからである)

グラフ.8
記録した野鳥の種数〔グラフ.8〕を見ると、2001年と2003年の54種をピークに2004年以降徐々に減少している事がわかる。
グラフ.9
まなびの森にテリトリーを持った鳥の種数とテリトリーの数〔グラフ.9〕を見ると、2002年から2005年にかけてピークが見られるが、これは調査エリアの中に草原の環境が整った時期と一致する。 グラフ.10
草原性の野鳥のテリトリー数〔グラフ.10〕を見ると2006年以降草原の森林化に伴いキジ、トケン類、モズ、ホオジロなどの草原性の野鳥のテリトリーが減少している。
この他にジュウイチ、ビンズイ、カヤクグリ、ヤブサメ、アオジなどの減少が目に付く。

今年度の調査では繁殖期と越冬期の記録を合わせると43種の野鳥と1種の外来種が記録された。



3.哺乳類の観察状況

【モグラ】(種不明)
5月と1月の調査でモグラ塚が観察された。
モグラ

【ノウサギ】
森林化が進んだためかここ2年ほど記録の無かったノウサギだが、今年度は冬季1月と2月に積雪があったため、雪上に残る足跡と姿も観察できた。
ノウサギ

【ニホンリス】
個体数が少なく樹上性が強いためなかなか痕跡は発見しにくいのだが、6月には遊歩道の泥の上に、冬季には雪上に足跡を観察する事ができた。
ニホンリス

【ノネズミ】
哺乳類の中ではこの地域で最も個体数が多いと思われるノネズミだが、今年度は冬季1月と2月に雪上に残された足跡を多数観察できた。
ノネズミ

【タヌキ】
夜行性が強いため日中にその姿を見る機会は少ないが、今年度は6月と2月に地上に残された足跡を多数観察できた。
タヌキ

【ニホンテン】
2月の調査で足跡が観察された。(調査地域外での撮影)
ニホンテン

【イノシシ】
近年生息の痕跡がめっきり減ったイノシシだが、5月と1月に地面を掘り起こした食痕が観察された。
イノシシ

【ニホンジカ】
年間を通じて調査地に生息している。ほぼ全域で糞や足跡が記録されているが、夏には標高の高いところへ移動する個体も多いらしく痕跡は減少する。冬季は姿を見る機会も多い。
ニホンジカ

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