まなびの森通信

まなびの森通信

自然あふれる富士山2合目の「まなびの森」フォレストアークから
四季折々のようすやボランティア活動についてお伝えします。
みなさん是非「まなびの森」へ足をお運びください。
お待ちしております。
富士山「まなびの森」フォレストアーク副館長・管理人
沢田明宏

【第224回】今年の2月は寒暖差が大きいです...

2024年 2月29日

 この冬はどちらかと言えば暖冬傾向にあります。2月に入って「まなびの森」でも春が到来したかと思うほど暖かな日もありました。しかし、1年で一番寒いと言われる2月だけに、降雪も何度かあり綺麗な雪化粧と雪の上に残された動物の足跡痕跡を見せてくれました。
 そんな積雪がとけ始めたある日、朝は青空だったのが昼すぎに一転して霰交じりの雪が再び降り始めました。アッと言う間に10㎝ほど積もり、辺り一面が真っ白になりました。
 1月と2月は「日本野鳥の会」南富士支部の皆さんによる鳥獣生息調査の冬鳥の調査が行われます。冬鳥の代表種の1つであるアトリが、今年は「まなびの森」で良く見られます。時には大きな群れで現れ、その数が100羽を超えることもあります。アトリは大きさ16㎝とスズメ(14.5㎝)より少し大きい鳥で、胸から脇がくすんだ橙色をしています。
 2024年も早2ヶ月が過ぎようとしています。麓の里ではジンチョウゲの花が咲いて春の薫りを辺りに漂わせています。「まなびの森」のミツマタも固い蕾が少しずつ膨らんでもうすぐ開花するでしょう。

  • この冬一番の積雪に見舞われ、「長老シナノキ」とその周辺が真っ白に

  • 「海の見えるケヤキ」のあたりもスッカリ雪化粧しました

  • 積もった雪がかなり溶け始めた矢先、降り始めた霰模様の雪でフォレストアーク周辺はあっと言う間に10㎝ほど積もりました

  • 風の強い朝、雪煙が舞い上がっている富士山

  • アトリの群れ
    ※この写真は他の場所で撮影したものを野鳥の会の方のご厚意で掲載しています

【第223回】新しい歳、2024年がスタート

2024年 1月31日

 2024年がスタートしました。
昨年末以来、小雨であったため、富士山が真っ白に雪化粧した姿をあまり見られませんでしたが、ようやく1月半ば過ぎの寒波で5合目あたりまで雪化粧しました。やはり、冬の富士山は雪化粧なしでは語れません。
 冬枯れの「まなびの森」は遠くまで見通せます。晴れた日には、トレールから雪をいただいた富士山も、駿河湾も、伊豆半島も、三保の松原も見えます。冬のトレール歩きのご褒美のようなものです。
 森の茂みに日に照らされて白くキラキラしているように見える塊りがあります。近づいてみると、それはボタンヅルの実の塊だと分かります。実に沢山の毛が生えており、それが日光に照らされているのです。
 見るものが少ない冬の森で次に目立つのはキハダの黄色です。エサとなる食べ物が少ない冬の森でシカが好んで齧っているのはキハダの根際の樹皮です。樹皮が齧られると黄色い肌を見せるのが名前の由来で、人間にとっては漢方胃腸薬である「黄檗(オウバク)」となります。
 1月の終わりに今冬最初の積雪がありました。わずか1~2㎝ですが、その積雪のためいろいろな動物たちの足跡が雪上に残されていました。シカ、テン、タヌキ、ノウサギ、そして野鳥も。
中でもノウサギの足跡は少し変わっています。進行方向の前側が大きく、後ろ側が小さいです。
小さいのが前足で、大きいのが後ろ足です。前足を地面に着いて、身体を縮めて後ろ足を引きつけて前足の更に前に着地させる。そういう跳び方をしているので、後ろ、前という順番になっています。植生回復の植樹で草地が少なくなり、ノウサギを見かけることは減りましたが、こうして積雪があると足跡で存在が分かります。
 冬には冬の森の楽しみ方があります。

  • やっと綺麗に5合目あたりまで雪化粧した富士山

  • フォレストアークを出てすぐ、「まなびの森」トレールの入口からの富士山

  • 遠目には白い花が咲いているように見えるボタンヅルの種

  • ボタンヅルの実の近影

  • シカによる皮剥ぎがあり鮮やかな黄色が目立つキハダ

  • 「海の見えるケヤキ」の向こうに光る駿河湾

  • 海の見えるケヤキの背景は駿河湾と伊豆半島

  • 薄っすらと雪化粧したフォレストアーク

  • フォレストアーク前に残っていたキジバトの足跡

  • 雪の上のノウサギの足跡、右側の2つが前脚、左側が後脚 ウサギは右から左に移動した

【第222回】真冬の候

2023年12月31日

 真冬の「まなびの森」でとにかく目につくのは地面から立ち上がる大きな霜柱です。時には10㎝を越えて大きくなり、昼間もとけないままとなります。
 葉が落ち切った冬枯れの森は見通しが大変良く、東は伊豆半島から駿河湾を挟んで西の美保の松原までが樹々の間から望まれます。写真でご紹介できないのが大変残念です。
 樹の上を見上げると、高い場所に丸いボール状の塊となっているヤドリギがあります。ヤドリギは常緑の半寄生植物で落葉広葉樹の枝や幹に根を喰い込ませるようにして生長しています。ヤドリギは自分で光合成していて、ミネラルを含んだ水分を取りついた樹からもらう半寄生と言うことになります。西洋ではヤドリギは古くから神聖視され、森の精が宿ると言うことからクリスマスに家の玄関につるされたりしています。
ほとんどのヤドリギは高い枝にくっついていますが、たまに2~3mほどの高さにあったりします。
 「まなびの森」プロジェクト開始25周年と世界文化遺産登録10周年と言う富士山にとって記念すべき2023年もいよいよ終わります。
 1年間ご愛読ありがとうございました。来年もどうぞよろしくお願いいたします。

  • 寒さで10㎝以上と大きく育った霜柱

  • ヤドリギの黄色い実は冬の野鳥の大好物

  • 3mほどの高さにあるヤドリギ

  • 早朝に飛行機の窓越しに眺めた富士山 左下には箱根の芦ノ湖が見えている

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