まなびの森通信

まなびの森通信

自然あふれる富士山2合目の「まなびの森」フォレストアークから
四季折々のようすやボランティア活動についてお伝えします。
みなさん是非「まなびの森」へ足をお運びください。
お待ちしております。
富士山「まなびの森」フォレストアーク副館長・管理人
沢田明宏

【第221回】晩秋から冬に

2023年11月30日

 今年は大きな台風がなく、木の葉が風で擦れあうことが少なかったこともあって、紅葉が色鮮やかだったように感じます。そんな11月の初めに一晩強い風が吹いたことで、樹々の葉っぱが一気に吹き落とされました。フォレストアークの黒い屋根に大量の落ち葉が積もり、見た目には茶色い草葺きの屋根と見紛うばかりになりました。こんな風景とは初めて出逢います。
 里山などのドングリ類の実りが少ないことがニュースになっていますが、「まなびの森」では今年ケヤキとツルマサキの実りが目立っています。
 ケヤキはフォレストアークの周囲にまるで小粒のアラレを撒いたようにたくさん実り、ツルマサキは離れたところからでもハッキリ見えるほどに多くの赤い実をつけています。特に、ツルマサキは冬の野鳥の大好物なので、給餌にたくさんのヤマガラやシジュウカラ、アトリなどの鳥たちが集まってきています。
 落ち葉の上に動物の糞を見つけました。大きさと見た目、色の違う2つの糞が重なるように落ちていました。下側の少し太めの糞には毛が交じっていることから恐らくキツネのものでしょう。その上に重なるようにあるものはそれより細く、小指ほどの太さで色も黒くて植物の種がたくさん交じっていることからテンの落とし物でしょう。どうも、身体の小さなテンが、自分より体つきがずっと大きなキツネに対して縄張りを主張しているとしか思えない様子を想像するとなんとも微笑ましいではありませんか。
 森は完全に冬枯れとなって見とおしがよくなり、鳥の姿も良く見える冬の到来となりました。

  • 西臼塚駐車場の真っ赤に色づいたモミジと富士山

  • 林床にくり広げられた「葉っぱの錦」

  • 今年はツルマサキの赤い実が豊作です

  • ある日、強風でフォレストアークの周りの樹々が一気に落葉し、屋根が枯れ葉で埋め尽くされました

  • この冬の初霜となります

  • ナナカマドの赤い実が沢山

  • 青空に映えるナナカマドの実

  • 2種類の糞が重なるようにありました 大きいのがキツネ、小さいのがテンと思われます

【第220回】季節は晩秋に向かって

2023年10月31日

 里ではなかなか秋が訪れませんでしたが、「まなびの森」は10月に入ると少しずつ紅葉が始まりました。紅葉の始まりの時期は緑の中にチラホラと赤、橙、黄が見え隠れしているだけですが、しだいに色づきが拡がっていきます。
 秋はなんと言ってもキノコのシーズンです。恒例のハタケシメジを始め今年は夏の猛暑が影響したのか、キノコが沢山発生しました。中でも、ヌメリツバタケモドキはあちこちの樹の幹に沢山発生しました。また、毒キノコであるツキヨタケも多く発生しました。ニュースではツキヨタケによる食中毒が度々報じられていました。ムキタケやヒラタケ、場合によってはシイタケなど美味しい食菌と見間違われることで食中毒が起きるのですが、ツキヨタケは二つに割ってみると付根に黒いシミがあることで見分けられます。
今年は2年振りにシイタケにも出会いました。なかなか天然のシイタケには出会えないので嬉しい限りです。
 雨水枡の中の落ち葉などを掃除していた時、モゾモゾと飛び出してきたものがいました。初めは泥まみれで良くわからなかったですが、落ち葉の中で冬眠の準備をしていたモリアオガエルでした。
 秋は小学生が自然体験教室に訪れ、自然ガイドの案内で半日森の中で過ごします。森を散策しながら1人1枚の落ち葉を思い思いに集めてくると「森のステンドグラス」ができあがります。陽にかざして見ると色も形もさまざまで、自然のアート作品の仕上がりに子どもたちの歓声が上がります。
 「まなびの森」はまもなく初冬を迎えようとしています。

  • 赤、橙、黄、緑とコハウチワカエデが葉の錦を織りなしています

  • 紅葉のグラデーションがみごとに陽に映えています

  • スラッと20㎝以上伸びたオオツルタケ

  • 美味しそうな食菌に見間違われる有毒のツキヨタケ 2つ割りした付根の黒いシミが識別ポイント

  • 倒木から発生したシイタケ

  • シイタケ

  • 樹の幹にヌメリツバタケモドキがびっしりと発生しました

  • ヌメリツバタケモドキ

  • 堆肥と化していた落ち葉の中で冬眠の準備をしていたモリアオガエルのメス

  • 森の散策中に子どもたちが一人一枚集めてでき上った「葉っぱのステンドグラス」

【第219回】少しずつ秋が深まってきました

2023年 9月30日

 日暮れがだんだん早まるにつれて、残暑も納まりを見せはじめ秋が深まっていきます。
 普段はあまり訪れることがない森の箇所を歩いていると、神々しいホオノキの巨木に出遭いました。幹周りは優に6mを越えているようです。
 秋はやはりキノコの季節です。今年は秋も気温が高めなせいか、夏のキノコであるタマゴタケが9月になっても傘の直径が25㎝ほどの大きなものが発生しました。
 コチャダイゴケは少し変わった形をしています。腐食がすすんだ木片の上にまるでコップを並べたように発生し、コップの中には碁石状の塊がたくさん入っています。この塊(小粒塊と言う)の中には胞子が入っていて、雨粒に打たれるとその塊ごとコップから弾き飛ばされて胞子を拡散します。実にユニークな生態をもっています。
 今年も「まなびの森」で何回か猛毒のカエンタケが発生しました。中でも一番気味悪かったのは写真で紹介した地面から赤い手が伸びているようにも見えるものでした。触るだけでも皮膚が爛れると言われているので、どこかで見つけても決して触らないようにしてください。
 秋の草花のナンバーワンはなんと言ってもその優雅な姿のアズマレイジンソウでしょう。
ほかには、毎年見かけるギンリョウソウモドキやトリカブトなど。
 ある日、フォレストアーク玄関を夕方閉めようとしたら、扉の陰にアズマヒキガエルが潜んでいました。まさか、そのまま冬眠をするつもりではなかったと思いますが、突然の出現にチョッとビックリしました。キッとカエルの方もビックリしたことでしょう。
 森の中で小さなイガイガを纏った丸い可愛らしいキノコを見つけました。ヒメホコリタケらしいです。ハリネズミを連想させる姿に思わずニッコリ、ホッコリしました。
 こうして「まなびの森」は来月には紅葉のシーズンを迎えようとしています。

  • 神々しいほどのホオノキの巨木

  • 食用キノコの王様、タマゴタケ

  • ウスヒラタケが倒木にビッシリと発生 これも優良食菌です

  • ギンリョウソウモドキ 別名はアキノギンリョウソウ

  • アズマレイジンソウ

  • チシオタケ(血潮茸) 和名は手で傘や軸を触ると赤い汁が滲んでくるようすを表している

  • コチャダイゴケ(小茶台苔) コップ状本体の中に碁石が入っているような変わった形のキノコ

  • 変形菌の1種であるエダナシツノホコリ(枝なし角ホコリ)

  • 猛毒のカエンタケ(絶対に手で触らないこと)、今回のものは地面から赤い手が生えているような気味悪さ…

  • フォレストアーク玄関扉の影に隠れていたアズマヒキガエル

  • ハリネズミを彷彿とさせるヒメホコリタケの幼菌

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