木化の高齢者福祉施設
今なぜ木造施設が増えているのか
これまで、高齢者施設は鉄筋コンクリート造(RC造)で建てられることが多かったのですが、技術の進化に伴い火事に強い木造耐火建築が可能となり、平成12年に規制が緩和され、RC造等と同等の防火性能を有する木造建築物が認めれる様になりました。では、なぜ今木造施設が増えているのでしょうか?
木造建物は減価償却期間が短い
それは、木造施設で事業する方がメリットがあるからです。木造は、RC造に比べ建築コストが抑えられ、減価償却期間がRC造の47年に比べ22年と短く、25年〜30年の事業期間が終了する時に、未償却分が残りません。
木はストレスを解消する
でも、最も特徴的なことは、木造が人の健康に非常に良い効果を与えていることなのです。具体的には「フィトンチッド」と呼ばれる木の香りの成分が放出されて、人間に多くの恵みを与えているのです。フィトンチッドには、血圧を下げる、脈拍を落ち着かせる、精神を安定させる、ストレスを解消させる、肝機能を改善させるといった効果があります。
木は湿度を調節する
木は湿度が上がると水分を吸い込み、逆に乾燥すると水分をはき出す性質をもっています。この調湿効果により木造建物は、カビやダニが発生しづらい空間を提供してくれるのです。木造校舎は調湿された環境の効果で、RC造校舎より風邪やインフルエンザにかかりにくいことが知られています。
木は紫外線を吸収する
また、木は紫外線を吸収し、赤外線を反射する性質をもっています。紫外線はお肌にシミをつくったり、目を疲れさせてしまうといった影響がありますが、赤外線は体を温める効果があります。木で囲まれた部屋は、目に優しく光の照り返しをやわらげてくれます。
木造建物は地球温暖化を阻止する
さらに、樹木は大気中の二酸化炭素(CO2)を吸収して光合成を行います。そしてこの二酸化炭素(CO2)は、木が伐採されて木材として使用されても木の中に固定されたままでいて、大気中に放出されることはありません。木造建物は、大気中の二酸化炭素(CO2)を減らし、地球温暖化の阻止に役立っています。
高齢者住宅市場の動向
我が国の総人口は、少子化の影響で減少を続けており、2060年には8,674万人になるものと推計されています。
一方、高齢者人口は3,000万人を超え高齢化率も25%と実に4人に1人が高齢者となっており、高齢者人口は過去最高となっています。高齢者人口は、2042年にピークを迎え3,868万人になると推計されています。
注目されるのは、2020年に後期高齢者(75歳以上)が前期高齢者(65〜74歳)を上回り、その後も増え続けるということです。要介護高齢者のほとんどが後期高齢者であることから、後期高齢者の増加は要介護認定者の増加を意味しています。
しかし、介護付有料老人ホームやグループホーム等は、2006年以降、総量規制により新規の設置が大幅に制限され、現在では特別養護老人ホームへの入居待機者が52万人にも上がり、4年間で10万人増加しています。
現在、我が国の高齢者施設数は諸外国と同程度の数が整備されていますが、こと高齢者向け住宅となると、ほとんど整備されていません。
今後、要介護高齢者の早めの住み替えに対応できる「住まい」が増えてくると思われます。