基本的な考え方

自然共生を目指す社会的な動きの中で、都市再開発やまちづくりなどにおいても地域に根ざした植物をできるだけ活用していこうとする動きが広がってきています。

このような動きの中、これまで住友林業緑化では、自然再生を目指す緑化計画においては郷土種、在来種の採用が好ましいとの考え方のもと緑化対象地に応じた樹種選定の指針を「ハーモニックプランツ®」として定義し、その普及に努めてきました。

樹木には、日本に古くから自生している植物(自生植物)と、外国から入ってきた植物(移入植物)があります。移入植物の中には、その特質により自生植物の生息する場所を奪い、地域の生物多様性を脅かすような種(侵略植物)もあります。

植栽計画においては、保全レベルを考慮した4つのエリア(保護エリア、保全エリア、里山エリア、街区エリア)に分け、これに応じて植物種を選択します。例えば、住宅の庭づくりを行う「街区エリア」では、「園芸品種を含む自生植物」を主体に「侵略性のない移入植物」からも緑化植物をバランスよく選択することで「彩り」を演出しています。さらに地域の生態系への悪影響が明らかな侵略植物を使用しない方針を立て、同社の技術統括部署において、その使用の有無をチェックしています。

※ 外来生物法に規定されている特定外来生物及び生態系被害防止外来種

まちづくりへの貢献

「知多半島臨海部の企業緑地群における生態系ネットワーク形成担い手育成事業」が2019年度「環境賞」審査員会特別賞を受賞

愛知県知多半島北部臨海工業地帯では、企業緑地を連携し、地域の生態系拠点として保全していこうとする取り組みが、学生・企業・NPO・行政が一丸となって行われています。

2019年6月この知多半島の生態系保全活動は、多様な主体がかかわり生態系保全に取り組む好例として、第46回「環境賞」(国立研究開発法人 国立環境研究所・株式会社日刊工業新聞社共催、環境省後援)において、審査員会特別賞を受賞しました。

本プロジェクトに対して、住友林業緑化では、MS&ADインターリスク総研株式会社、株式会社地域環境計画と共に、コンサルタント・アドバイザリーとして、生物多様性を高める緑地の改修方法や学生・社員参加のいきものモニタリング方法などをアドバイスするなど、広く協力を行ってきました。

生物多様性の健全化が、大きな高まりを見せている今日、生物多様性保全に係るコンサルティングをさらに深化し、広めていきます。

命をつなぐプロジェクト学生活動

命をつなぐプロジェクト学生活動

「愛知製鋼株式会社 中新田緑地」「ENEOS株式会社根岸製油所 中央緑地」でABINC認証取得を支援

ABINC認証取得支援を行った「愛知製鋼株式会社 中新田緑地(愛知県)」は、同社の本社地区の工場に隣接する約2haの企業緑地です。かつてここは工場用地でしたが、地域の生態系拠点として地域に開放することが計画され、湿地環境や草地環境を活かしながら、自然生態園として整備されてきました。従業員・地域住民・学生ボランティアなど、多様な主体が協力し、生物多様性を高める緑地づくりが進められています。

同様にABINC認証取得支援を行った「ENEOS株式会社 中央緑地(神奈川県)」は、3ヵ所のビオトープ池がある幅100m延長800mに及ぶ大規模な緑地です。近年、隣接する「三渓園」など周辺の豊かな自然と連携し、生物多様性に配慮した緑地を目指す取り組みが行われています。カワセミが訪れる水辺、アオスジアゲハが舞う草地など、多様な環境が整備され「工場の中の里山づくり」が進められています。

この2つの事例が示すように、近年、生産工場の緑地を生物多様性に配慮した緑地に改変していこうという試みが活発化しています。今後も生物多様性保全に関するコンサルティングに注力していきます。

※ 自然と人との共生を企業に促すため生物多様性保全の取り組み成果を認証する制度

愛知製鋼中新田緑地植樹イベント

愛知製鋼中新田緑地植樹イベント

愛知製鋼中新田緑地環境コミュニケーション活動

愛知製鋼中新田緑地環境コミュニケーション活動

ENEOS 根岸製油所自然観察会

ENEOS 根岸製油所自然観察会

ENEOS 根岸製油所 ヤギによる除草

ENEOS 根岸製油所 ヤギによる除草

第37回全国都市緑化ひろしまフェアに出展

2020年3月19日~11月23日までの250日間、広島県広島市(広島市中区基町中央公園)をメイン会場として、第37回全国都市緑化ひろしまフェア「♬「花笑(はなえみ)」ひろしまから花と笑顔と平和のわ♬」(主催:広島県、広島市を含む23市町、公益財団法人都市緑化機構 提唱:国土交通省)が開催されました。

全国都市緑化フェアは、緑がもたらす快適で豊かな暮らしがあるまちづくりを進めるための普及啓発事業として1983年から毎年、全国各地で開催されている花と緑の祭典です。

本フェアでは、「ひろしま未来ガーデン」として「ひろしまの未来のライフスタイルの提案~住まい、仕事、遊び、子育て、趣味など、人々が過ごすあらゆる空間における花と緑のライフスタイルの提案~」をテーマに、庭園出展コンテスト(50の企業・団体が出展)がおこなわれました。住友林業緑化は作品タイトル「緑と暮らすルーフトップガーデン」を出展し、「金賞・一般財団法人日本造園建設業協会会長賞」を受賞しました。シック&モダンなアイアンと風合いのあるウッド、そして緑の木々に包まれたアーバンな隠れ家「緑と暮らすトップガーデン」は、屋上という都市の無機質な環境に潤い豊かな庭空間を創出します。植栽は、ハイノキ、クロバイ、ヤマグルマ等、宮島や広島の山野に自生する種を主体にセレクト、ウッドフェンスは地元広島県産材のスギを使用しました。ウッドデッキ床材はヒノキの間伐材を採用しサステナビリティに配慮。木材腐朽を抑制する熱処理により高い耐久性を実現しました。水景施設は太陽光発電を利用した循環ポンプ式とし、心地よい水音を楽しむことができます。

「緑と暮らすルーフトップガーデン」

「緑と暮らすルーフトップガーデン」

自然と和の美しさを感じる高層階の日本庭園

2020年7月、東京都八重洲・八丁堀地区に「ホテル八重の翠(みどり)東京」が開業しました。「日本の美しさを重ねる」をコンセプトに、都心のビジネス街にいながら非日常感と日本らしい上質な安らぎをお客様に味わっていただけるよう、最上階に日本庭園を設置、鹿威しや水盤等をしつらえた水景を中心に、四季の移り変わりを感じられる木々に囲まれ、自然と日本文化の美しさを五感で感じられる空間づくりを目指しました。

この空間の実現にあたっては、樹木を地上と地中の二重の支柱で固定するなど、高層階ならではの荷重制限を考慮した綿密な設計・施工の工夫に加え、自生種の植栽にこだわるなど、随所に住友林業緑化の経験と技術が活かされています。

高層階の日本庭園

高層階の日本庭園

高層階の日本庭園

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生物多様性保全の啓発

「生物多様性読本VOL2地域性植物編」を刊行

生物多様性に配慮した緑化に求められる地域性植物とはそもそもどういうものなのか、地域に根ざした植物の生産・流通・消費について現状はどうなっているのか、地域に根ざした植栽計画とはいかなるものか、今後どのように進んでいくのかなど、多くの疑問が寄せられるようになってきました。

住友林業緑化ではこれらの声に対応する形で「生物多様性読本VOL2 地域性植物編」を2018年1月に制作しました。

ここでは主に以下の内容について、地域性植物を活用した最先端の事例を交えて解説しています。

  1. 地域性植物による東日本大震災復興事業
  2. 大規模テストコース開発における地域性植物活用
  3. 地域性植物を用いた海浜植生再生事業
  4. “江戸” 由来の地域性植物による都市再開発
  5. 大規模人工地盤上の地域性植物による雑木林再生

生物多様性読本VOL2地域性植物編表紙

生物多様性読本VOL2地域性植物編表紙

「住まいの樹木図鑑 改訂版」を刊行

環境省及び農林水産省は、外来種についての国民の関心と理解を高め、様々な主体に適切な行動を呼びかけることを目的とした、「我が国の生態系等に被害を及ぼすおそれのある外来種リスト(生態系被害防止外来種リスト)」を新たに公表しました。

これまでの特定外来生物だけでなく、侵略性が高く生態系、人の生命・身体、農林水産業に被害を及ぼすおそれのある外来種が選定されています。

住友林業緑化では、生態系被害防止外来種リストの制定を受け、生態系に係るさらなる影響も勘案し、住友林業緑化独自の外来種に対する基準を再構築しました。この基準に基づき刊行済みの「住まいの樹木図鑑」掲載の樹種を一部入れ替え、2017年3月に改訂版を刊行しました。

今後は「ハーモニックプランツ®」や外来種に対する基準の活用を進め、お客様への植栽提案や社員の意識啓発を図っていきます。

住まいの樹木図鑑 改訂版表紙

住まいの樹木図鑑 改訂版表紙

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海外緑化事業

豪州のメルボルン市北部で住友林業とNTT都市開発株式会社が共同で宅地開発を行うAnnadale分譲地(総販売区画数1,087区画)にて、当社のノウハウを活かし、現地ランドスケープ設計会社Tract社と設計協業を行いました。

2017年1月から始まった設計協業において、当社はTract社作成の基本設計案に対し「Growing Wellness Life&The Five Sense(健康的な暮らしと五感の育み)」というコンセプトを提案しました。Tract社より、「豪州では通常設計企画にストーリー性を持たせることは少ないため、非常に参考になる」と高い評価を受け、子どもの運動機能を発達させる自然石や丸太を使った遊具、植栽計画が実施設計に採用されました。引き続き実施された2期の公園計画においても当社から基本コンセプトを提案し、その案を基に基本設計が行われ、2020年11月に完成いたしました。

豪州や北米において緑地は、宅地開発の価値を高めるためになくてはならないものであり、緑あふれる魅力的なオープンスペースの創造が求められています。また、住友林業が住宅不動産事業を進める東南アジア地域においても、2019年から現地造園会社との協業についての取り組みをスタートしています。当社の海外緑化事業の取り組みはまだ始まったばかりですが、海外のお客様や住民に愛される美しく快適な空間創造を目指し、これからも事業化を進めます。

自然石を使ったNature Play(自然遊び)道具(Annadale分譲地1期公園)

自然石を使ったNature Play(自然遊び)道具(Annadale分譲地1期公園)

Annadale分譲地2期公園コンセプト提案

(左)Annadale分譲地2期公園コンセプト提案

Annadale分譲地2期公園コンセプト提案

(右)完成写真

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企業・IR・CSR情報