国内社有林における生物多様性保全

国内社有林においては「生物多様性保全に関する基本方針」として、保護地域の適正管理や森林の連続性配慮による「生態系の多様性」、希少動植物の保護による「種の多様性」、個体数の維持による「遺伝的多様性」の3つを掲げています。これらの方針のもと、樹木の成長量などの一定基準に沿って森林を適切に区分・管理しています。また、絶滅危惧種リストやマニュアルの整備、鳥獣類のモニタリング調査にも取り組んでいます。

 

国内社有林における「生物多様性保全に関する基本方針」
(抜粋)(2006年6月)

  1. 生態系の多様性
    自然公園法などに指定された厳格な保護地域は法律に則り適正に管理する。それ以外の区域は、特に皆伐作業を行う場合にその面積を限定することにより森林の連続性に配慮する。
  2. 種の多様性
    天然林について、拡大造林などの樹種転換を伴う生態系に大きな影響を及ぼす極端な施業を行わないことにより、森林に存在する種数の減少を防ぐ。希少動植物の保全については、あらゆる作業において、レッドデータブックを活用し、その保護に留意する。
  3. 遺伝的多様性
    遺伝子レベルの変異とそれを維持するための個体数の維持が問題となるが、この分析は容易ではなく、行政や公的機関が実施しているモニタリング調査の結果が存在すれば、それを注視するなどを、今後の取り組み課題としたい。

「住友林業レッドデータブック」「水辺林管理マニュアル」の作成

住友林業では、社有林内に生息する可能性がある絶滅が危惧される動植物のリスト「住友林業レッドデータブック」を作成し、山林管理に従事する社員及び請負事業者に配布しています。施業時にデータブック記載の動植物を確認した場合には、専門家の意見を参考に適切に対処しています。現在の最新版ブックを用いながら、生物多様性を重視した施業を引き続き進めていきます。

また、多様な生物が生息する水辺では、「水辺林管理マニュアル」を作成して、適切な管理と保全に努めています。

写真:住友林業レッドデータブック

住友林業レッドデータブック

鳥獣類のモニタリング調査

住友林業では、社有林における鳥獣類の生息状況をモニタリングしました。生物多様性に関連する基礎資料作成、及び森林施業が周辺の環境に及ぼす影響を長期的に把握するため、紋別(北海道)、新居浜(四国)、日向(九州)、兵庫・三重など(本州)の4地域において調査し、各地域のデータを蓄積しました。

これまでの9回にわたるモニタリング調査によって、皆伐施業地が徐々に森林に遷移する段階で、様々な生息環境が発生し、哺乳類や鳥類の成育数にも変化を生じさせ、生物の多様性を維持していることが判明しました。

また、皆伐施業地は一時的に生息種数を減少させることがある一方で、クマタカ等のアンブレラ種の営巣適地と狩場適地をモザイク状に分布させることに寄与し、上記種等の成育に良好な環境が実現されていることが確認できました。

今後も、これまでのモニタリング状況を踏まえ、社有林が有する環境保全、生物多様性の維持などの機能を適切に維持できるような施業に取り組みます。

※ その地域における生態ピラミッド構造、食物連鎖の頂点の消費者

これまでの調査で確認された哺乳類と鳥類の種

  管理
面積(ha)
  確認された鳥獣類(単位:種)
2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016
四国社有林 14,782 哺乳類 14       11       10
鳥類 31       34       24
九州社有林 9,182 哺乳類   11       12      
鳥類   33       29      
北海道社有林 18,199 哺乳類     10       9    
鳥類     38       40    
本州社有林
※2013年 岡山、兵庫、三重取得
※2015年 和歌山追加取得
5,804 哺乳類       12       (和)10
(兵)6
 
鳥類       25       (和)29
(兵)21
 
合計 47,967  

※ 2015年は和歌山、兵庫の2地区にて実施

写真:2016年度新居浜(四国)山林で確認されたニホンジカ

2016年度新居浜(四国)山林で確認されたニホンジカ

写真:2016年度新居浜(四国)山林で確認されたニホンザル

2016年度新居浜(四国)山林で確認されたニホンザル

シカ生息数の適切な管理

近年、日本全体でシカが増加することにより、若木が食害を受けたり、樹皮が剥がれてしまったりするといった林業被害の増加や、林床の草本が食べられてしまい植生が単純化することによる生物多様性の損失、土壌の流出が懸念されるようになっています。

住友林業グループでは、森林を適切に管理するために、シカを捕獲・駆除したり、ツリーシェルターを設置したりすることで苗木の食害を抑制し、森林の成長を促しています。

シカの数を適切に管理することで、森林の成長促進による次世代の森づくりと、多様な林床植生の維持による生物多様性の保全、土壌流出防止による地域の災害防止に貢献しています。

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海外植林地における生物多様性保全

ワナ・スブル・レスタリ(WSL)社及びマヤンカラ・タナマン・インダストリ(MTI)社の取り組み

熱帯林には全世界の生物種の半数以上が生息しているとされ、生き物の宝庫といえます。一方でその面積は、無秩序な開発や違法伐採、森林火災などにより現在でも減少の一途をたどっています。住友林業グループの関係会社であるワナ・スブル・レスタリ(WSL)社及びマヤンカラ・タナマン・インダストリ(MTI)社は、インドネシアの西カリマンタン州において、産業植林と環境保全を両立した事業を行っています。

当事業を開始するにあたっては、精緻な測量や調査を行い、保護エリア、緩衝帯、植林エリアを決定しています。保護林においては、定期的に動植物の調査を行い、希少動物であるオランウータンやテングザルについては、個体数のモニタリングだけでなく、食べ物となる実をつける樹木が十分にあるかどうかといった調査まで行っています。

また、動物の活動時間は早朝もしくは夜間が多いため、暗い中での観察となり、熟練したスキルが必要とされます。そこで、カメラトラップによる自動撮影や、ドローンに熱センサーを搭載させて、早朝、夜間にテングザルやオランウータンを直接観察することに成功しています。

保護エリアに設置したカメラトラップにより、合計38種・766個体(撮影期間:2019年8月上旬~2021年2月上旬)の動物が撮影され、このうち哺乳類は26種でした。

2019年度はオランウータンの親子が初めて撮影され、また、2020年度に、近隣よりも個体数の密度が多いことが確認されました。これらの結果は、オランウータンの個体数が増えている証しといえます。

泥炭地は膨大な水を蓄えており、事業実施に伴う河川への影響が懸念されるため、陸上の生態系だけでなく、水棲生物の調査も行っています。WSL社の管理エリアの下流域では、絶滅危惧種であるカワゴンドウの生息が確認されています。熱帯泥炭地における水棲生物のモニタリング調査は事例が少なく、世界的にも先駆的な取り組みです。

写真:調査で発見された水棲生物の一覧

調査で発見された水棲生物の一覧

写真:熱センサーによる動物の直接観測

熱センサーによる動物の直接観測

写真:オランウータンの親子(2019年10月撮影)

オランウータンの親子(2019年10月撮影)

タスマン・パイン・フォレスト(TPF)社の取り組み

ニュージーランド固有種であるKea (ミヤマオウム)を保護するKea Conservation Trustへの寄付を実施しました。Keaは世界で唯一の山岳地帯に生息するオウムであり、世界で最も賢い鳥の一つともいわれています。絶滅危惧種としてニュージーランドでは保護されており、国民の間で親しみ愛されている鳥です。TPFの山林内でも時折発見されており、都度関係機関へ報告し保護しています。今回の寄付はKeaの保護官のトレーニングに使われます。

写真:Kea(ミヤマオウム)

Kea(ミヤマオウム)

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